May 09, 2008

I'M NOT THERE


理解し難い者が現れると、為政者やマスコミはその者を何れかのジャンルとかカテゴリーとかに色分けしようとする。

だが、I'M NOT THERE・・・・

時代の代弁者が現れると、大衆は酔い、すがり、求め、一体化しようとしてその者がすり切れても離さない。

だが、I'M NOT THERE・・・・

彼のことはよくわからない。
様々なミュージシャン、世相に多大な影響を与えたことは見て聞いて知っている。

学生街の喫茶店の片隅で、考え深そうな顔をした恋人たちが彼の歌を聴いていたこともあるだろう。

窓にもたれて古ぼけたフォークギターでおぼえたての「風に吹かれて」をつま弾き、いつかはこの国の目を覚まさせてやると青臭い思いを抱いた路地裏の少年もいたろう。

でもいつまでも彼の話をする君の親切にウンザリして、決別を告げた者もいるだろう。

だが、I'M NOT THERE・・・・

彼は何者か ?
スクリーンの中にそれらしい姿を見るが、彼ではない。
時代も人種も違う彼のコピーが、そこにいないものを伝えようとしている。
ビリー・ザ・キッドとウディ・ガスリーに何を見る ?
ケイト・ブランシェットはいい女だけれど、びっくりするほど彼を体現していた。
クリスチャン・ベイルも、騙されるほどの演技で彼を見せてくれた。
だが、彼とは何者 ?

無性に、無性に彼の歌が聴きたくなった。
意味もわからず、なんとなく口ずさんでた頃のことを思い出す。
そういえば途中から彼のことは興味の対象ではなくなっていた。
いま、自分が反省期を過ぎたいま、あらためて振り返って、その軌跡を辿りたいと強く思う。
だが、やはり、I'M NOT THERE なのだろうか ?

彼は何者 ?

答えは、そう、あのびゅうびゅう吹いている風ん中にあるんだろう。







Posted by mogmas at 15:33:31 | from category: 映画の引出し | TrackBacks
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