July 24, 2008

温泉水酌姐さん

  
高湯温泉  はとてもアクセスがいいのに俗っぽくなく、ひなびていて静かでなんにもない。

浴衣を着て温泉街をそぞろ歩く楽しみはないが、白濁した硫黄泉が豊富に湧き(「何もしない手を加えない」高湯の給湯方式を言葉で表すと「自家自噴源泉完全放流型掛け流し方式(加水加温無し)」というのだそうだ),ヒグラシの鳴き声を聞きながら露天風呂に浸るにはもってこいのロケーションで,このまま手垢がつかずにいてほしい気持ちのいい温泉地だ。

宿  は料金の割にはとてもきれいで、従業員の人当たりもよく,アクセスの良さとお湯の良さが気に入ったので,常宿にしたいくらいだ。

チェックインしてから時間があったので,宿からほど近い共同浴場「あったか湯」で、青白く濁った露天風呂に漬かってのんびりしていたら,相次いで携帯に連絡があった。
しかし山深くひなびた温泉地ゆえ、電波の状態があまりよろしくない。
簡潔に用件だけメールして,ふたたびマッタリしていたら,絶好調の2人組が到着した。

1人は午前中から人間ドックに入って,隅から隅まで検査してベストな状態でこの地に乗り込んだ蟒蛇の女帝「Cちゃん」。
いま1人は福島から新幹線でわずか20分の仙台に住まいしている,もと浅草の「刈り魔王」こと調子コキ,何の取り柄もない自称色男の「バーバーくん」。
2人が我が家の温泉旅行に参加することになったのは、ほんの偶然のようなものだが,この2人がいて、オヤジが飲まないでいられるわきゃぁハナからないのだ。
ホテルのベランダに出て「うわっ、玉子くせぇ」と叫び、一服つけて盛大に屁をこいた「バーバーくん」と、濁り湯大好きな「Cちゃん」とともに、ホテルの温泉でまたひとっ風呂浴びた。

部屋に戻ってくると,先に出たばあさんと「Cちゃん」がすでにビールで一杯やっていた。
来る直前まで調子が良くないみたいなことを言っていたばあさんは、オヤジがすすめても飲まなかったくせに,お気に入りの「Cちゃん」とは喜んで飲むのだ。
これは遅れてはならじと、「バーバーくん」と駆けつけ一杯、そして2本,3本とビール瓶を空にするのであった。

そうこうしているうちに夕食の時間になり,食事処で仕切り直しの生ビールで乾杯。
久しぶりのお食事をつまみに生ビールをおかわり,夕食後に部屋へ戻って再びビールを飲み,「バーバーくん」持参の日本酒になだれ込んだ。
「ビールの次はビール」の女帝は、一応オヤジの身体を気遣ってくれるようで,
「水を飲みなさい。酒の次は水を飲め」
とコップに水を注いでくれる水酌姐さんになり、その合間を縫って「バーバーくん」が酒を注ぎ,酒を飲み水を飲み,水を飲み酒を飲むという、身体にいいんだか悪いんだかわからないようなお酌合戦に、それでもいい気持ちちゃんに酔ってくる心地よさで上機嫌。
やはり温泉のあとの一杯にまさるものはない。
ま、一杯じゃないんだけど・・・。

日本酒をペロッと飲んじゃっても、まだ時間は0時前。
しかしここは自制をきかせすっぱりと部屋に引き上げて、歯を磨いて直ちに就寝。
夜中に岩手で大きな地震があり,高湯温泉でも大きく揺れたらしいが,いい気持ちちゃんのオヤジは白河夜船でつゆとも知らず,翌朝そのことを聞かされた。

♪ ばばんば ばんばんばん は びば ののん ♪




20:20:59 | mogmas | | TrackBacks