October 30, 2005

筋金入りの男-after 続き

およそ2週間近くの入院を余儀なくされた、ダメダメオヤジ。
手術のために生まれて始めて、片方だけ剃られた脇の下がヘンな感じ。
ニコニコしてオヤジの脇の下を剃ったのは、栃木なまりのウブなナース。が、その後座薬もひょろっと入れて、平然としている度胸の良さ。

手術後は痛みますよ、と聞いてはいたものの、これほどまでに苦しめられるとは。
特大の座薬数本ぶち込まれても文句は言わないくらい、歯を食いしばる痛みだ。
消灯時間がとっくに過ぎても、眠れるどころじゃない。
「ヤクだ〜、ヤクくれぃ」と叫び出す寸前、ようやくコウモン様からたどり着いた座薬が効きだしてきた。

ウトウトしかけた明け方4時頃、隣りのベットから陽気なイスラームなポップスが流れ出して来た。
同室の患者は、30代前半くらいのバングラデイシュ人。
日本に稼ぎにやって来て、深夜営業の焼肉屋さんで働いているときに、脳梗塞で倒れたとかで、24時間点滴に繋がれ、昼間は高鼾、夜になると目が冴えるらしく、在日のお仲間と携帯でひそひそ話。
そしてひとしきり話したのち、素敵なイスラームのポップスがイヤホンからシャカシャカと流れ出すのである。

私は、とくに人種的偏見もなければ、宗教観の違いも気にしないし、やくざや悪霊とだって同室できる。
だが、明け方4時過ぎの陽気で能天気なイスラームのポップスのシャカシャカだけは我慢ならない。
あの“ブッシュ”でなくても、スカッドミサイルをお見舞いしたい心境になったのは罪なことだろうか。

まんじりともせず明るくなり、6時過ぎにナースが来て「ご加減どうですかぁ」と聞かれた。
いいわけない!!
続いて、点滴。手術した腕は拘束されているので右腕に。
次に注射。腕に針を刺せないので、左足の脛の当たりにブチっとキツ〜イ一発。
完全に目覚める。

こうして天国への入国審査がつつがなく終わり、次の晩からは静かな個室で安らかに眠れるようになったのである。

およそ10日間の入院生活は、すっかりオヤジを羊のようにおとなしくさせてしまった。
人の苦しむ様を楽しむために、Cちゃん夫婦がお見舞いに来てくれた他には、平穏だが時々痛い日々だった。

なんとか病院から釈放されて、自宅へ戻り、自分が落ちたロフトの梯子を見ると、無惨にも捻れて、事故の衝撃の強さがわかった。

そしてまるまる1ヶ月。
食っちゃ寝と散歩、マッサージと水泳で身体を元通りにする日々。
多くの方にお世話になり、ご心配をかけ、励ましを頂いた。
モグランポはとうとう潰れたという噂の中、なんとか再開できました。
皆様本当にありがとうございました。
あれからもう1年たちました。
羊のオヤジはすでになく、酔っぱらいのくたびれたオオカミに元通り。

こんなオヤジとモグランポを、
これからも末永くよろしくご贔屓にお願い申し上げます。 


23:28:00 | mogmas | | TrackBacks

筋金入りの男-after

以前のコメントで“悪魔のあっくん”が、もっと色っぽい写真を載せろ、と言っていたので、くやしいから探してみた。

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              どうだっ!、白衣の天使3連発。
入院し、痛みに耐えて撮影した潜入激写。

ついでにこれだっ!。
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オヤジの体内から無理矢理摘出した「扁桃腺」のホルマリン漬けを、勝ち誇ったように見せびらかす悪魔の女医。
自分のだから「くれっ」といったら、ダメだと断られた。
所有権はすでに悪魔の女医か病院に移っているらしい。
なんと不条理な。
てめぇの身体の一部さえも搾取されるありがたい世の中さ。
ちなみに心ない人々は、オヤジの扁桃腺を喉チンコと勘違いして、以来私は、チンコなしのオヤジとして今日あるのだ。
10数年前の出来事である。

そして幾星霜。
悪夢は繰り返す。
1年前の今日。
午前7時頃のことであった。
前夜、とても忙しく、片付けやら何やらで夜明けの4時過ぎに帰宅したオヤジ。
市場の仕入れがあるのでこのまま寝ないで行って、ついでに仕込みもしてくれば、ゆっくりお昼寝が出来ると考え、バイクを駆って一っ走り。
段取り付けて帰って来たのが午前6時半。
ようやく寝ようとしたところ、早起きの小僧が起き出して来た。
こりゃ眠れんと、一人になれるロフトの梯子を朦朧とした頭で掛けたつもり。
一段二段と上がっていって、身体が空中に投げ出されたかと思ったら、その途端意識はフェードアウト。
気がついたときには救急隊の「大丈夫ですか? しっかりして下さい」という声に力なく首を振るばかり。
担架に乗れ、という声をうるさ気に制して、自力で歩いて救急車へ。
ご近所の好奇の目に見送られ、救急病院まで、すてきなドライブ。
「ここはどこ? わたしは誰?」というお定まりのおばかなセリフを度々口にし、かあちゃんはこのままいっそあの世に召されればいいのにと思ったそうだ。

病院の診察が終わる頃、猛烈な痛みが襲って来た。
左肘粉砕骨折。頭部打撲。左足打撲及び捻挫。
軽い意識障害が認められたため、その日は入院しなければいけないはめに。
だが、当日も店には予約が入っていたため、このまま病院でうなっているわけにはいかない。
取りあえず外出許可をもらい、必要な連絡やら、臨時休業のお知らせを張り紙し、病院に戻ったのはもう夕方だった。

その頃になると、左の腕は、手のひらから二の腕まで青黒い痣が禍々しい模様を作り、“贅沢し放題で太っちゃった〜”というぐらいに膨れ上がり、とても我が腕とは思えない状態になっていた。
とにかく痛みをなんとかしてほしい、そういうリクエストには即“座薬”である。
慣れた老練な看護婦の手により、赤子のように尻を剥かれ、すでにバージンじゃなくなっているコウモン様へ、流線型の銃弾がムニュ、ムニュ、ムニュッと・・・。
またしても貞節を汚された純真なオヤジは、その夜の枕を涙で濡らすのであった。

手術しかない、そう若い医者が告げた時、すでに覚悟を決めていた。
大学を出て現場経験が数年の医者より、幾多の修羅場をくぐって来たオヤジのほうが、状況は理解しているつもりだった。
だから、内科のデリケートな手術を想像していたオヤジは、手術室のガラス戸棚に、黒ずんだやっとこやらペンチ、ドリルなどの建築業者が使うような道具を目の当たりにし、手術台の上に括り付けられた時、思わず「やめろ、ショッカー!}と叫んで医者の失笑を買ってしまったのだ。

で、我が腕に施された改造手術の痕跡。
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 長さおよそ10センチの太めの針金と、細かい骨を縛った針金。

このような非道な行為を医療と呼ぶのなら、私はショッカーの手先となって正義と戦おうではないか。
が、この先もっと過酷な運命が私を待ち受けているとは誰が予想しただろう。
この続きはまた次回、もうちょっとお酒が入った夜のお楽しみということで、さらばじゃ。

11:05:00 | mogmas | | TrackBacks