October 13, 2006

夢でよかった…

  
山手線に乗っていたのだ。

もうすぐ新宿というあたりで、窓の外をゆっくり飛来する物体を見た。

その細長い物体は、誰かが放り投げたようにゆるやかな放物線を描き、高層ビルの屋上に突き刺さった。

爆発はなかったが、破壊された建物の瓦礫が地上へ降り注ぐ。
青空にのんびりと白煙が上がる。
車内にはその轟音は届かず、乗客の中でそれに気づいたのはほんの数人で、あまりに非現実的な光景に空々しい態度を取ってしまっている。

私の隣りには顔のわからない連れがいて、何事か楽し気に私に話しかけてくるのだが、窓の外を注視する私にはその声はまったく響かない。

間をおかず、謎の飛翔体は2本、3本と空を横切ってゆく。
その先端は鉛筆のように尖っており、終端には尾翼がついていた。
“ミサイル”という言葉が浮かんだが、やや違和感があった。
それは、銀色に輝く機体の回りに円筒形のブースターが取り付けてあったからだ。
“ミサイル”というよりは“ロケット”のようだった。
しかしそれは火を吐いて飛ぶというよりは、やはり誰かが投げたダーツの矢のような航跡で、音もなく新宿の上空を飛んでいる。

電車は新宿駅のホームに滑り込み、多くの人が乗り降りする間、私はずっと窓の外を睨みつけていた。
やがて発車の音楽が流れたその時、デパートの壁面に1本の飛翔体が深々と突き刺さった。
崩れ落ちる建物ともうもうと上がる黒い煙がスローモーションで展開される。
だが何事もないように電車は発車した。

連れが呆然と言った。
「なに、あれ ? 」
乗客もようやく恐ろしい現実に気づき、運良く我が身に振りかからない車窓のスペクタクルを言葉もなく見つめるのだった。
近くにいた誰かが無意識に非情停止ボタンに手を伸ばしたので、私はその手を掴み首を横に振った。
顔をみるとその“男 ? ”には、目も鼻も口もなかった。
ぎょっとして連れを振り返ると、連れの顔ものっぺらぼうだった。
あらためて気づけば、他の乗客全員がのっぺらぼうであった。

私は声にならない叫びを上げ、ドアに背中を押し付けた。
窓の外を、飛翔体が電車めがけて迫ってくるのを目にしたのを最後に、すべてが暗闇に包まれた。

汗びっしょりで、重い頭で目覚めた朝、北朝鮮が核実験を強行したニュースを知った。
この夜見た夢は3本で、先の2本もむちゃくちゃないや〜な夢だったが、最後の1本があまりにリアルだったため、もうあまり憶えていない。
いったいこれは何を意味するんだろうか ?
将軍様はミサイルに核爆弾を搭載して発射するのだろうか ?

いやいや、自慢のミサイルさえ満足に飛ばせない国だ。
ほんとに核実験だったかも怪しいもんだ。
瀬戸際外交も最後のカードを切ったら、あとは何が出てくるんだろうか ?

だから言ったじゃないか、早く「チーム・アメリカ」を北朝鮮中にバラまけと。
首切れ将軍様人形をバラまけと。
じょーだんじゃないよって !

11:27:22 | mogmas | | TrackBacks