November 18, 2006

ジョニーVSバーバー/酉の市の舌戦

 
スコットランドの「ジョニーさん」のfatherは、元美容師だったそうだ。
ヘア・ファッションのメッカ英国の美容師だから、腕前もたいしたものだったのかもしれない。
その息子が、なぜか日本の片隅の千住らしからぬお好み焼屋のカウンターで、みちのくの「刈り魔王」、昭和の酔っぱらい「バーバーくん」と出会うなんて、なにか“縁”を感じてしまう。

せっかく感じた“縁”でもあるし、もっと日本を知っていただこうと、毎年出かけている酉の市に誘ってみた。
こちらの商売の都合とジョニーさんの仕事の都合で、浅草入りは夜の10時を過ぎた。
浅草が仕事場の「バーバーくん」と先行した「ヨウコリン」に、待ち合わせ場所の「ロックス」前でロックン・ロールを踊っていてくれといったのに、普通に出会ってしまった。
「ジョニーさん」とパートナーの「ヒカルちゃん」とは、鷲神社の前で会うことになり、つらつらと縁日の中を向かう。
屋台のおっちゃんやおばさんを冷やかし雑踏の中を歩いてゆくが、今年は三の酉まであるせいか、二の酉の今夜はさほど混んではいない。
ほどなく鷲神社の前で「ジョニーさん」と「ヒカルちゃん」に落ち合い、鳥居をくぐって総勢6人で境内へ。

酉の市は「ヨウコリン」と「ジョニー&ヒカル」の3人は初めてで、「バーバーくん」はもちろん初めてではないが、いつも酔っぱらってちゃんと見ていなかったということで、みんな興味津々だ。
正面から入るとすぐにいい場所にある店には、毎年政治家や芸能人の名前が高そうな熊手に付けられている。
その近くでロッテ・マリーンズの「ジョニー黒木」の熊手を見つけ、さっそく「ジョニーさん」に見せると、なんだか曖昧に納得して写真を撮った。

売り子の法被姿の兄さんや姉さんや、しゃんしゃん手拍子などの日本の風習を知ったかぶりで説明しながら行くと、出ました ! 一団の“その筋の人々” !!
とたんに「ヨウコリン」は俯き肩が上がり、かあちゃんはオヤジの腕にしがみつく。
「ジョニーさん」も雰囲気でわかるのだが、「アノヒトタチハヤクザナヒトデスカ ? 」といいそうで「ヒカルちゃん」は気が気でない。
何事もなく通り過ぎると、意地悪なオヤジと「バーバーくん」は「ヨウコリン」の肩上げを笑い、「あとで吉原に面接に行くんだからね」と脅かす。
「ヨウコリン」はわけがわからず「 ? ? ? ? ・・・」だ。

賽銭を上げる前にお線香を身体にかけることを「ハッピー・スモーク」などと適当にいうと、「アナタシャンプーシテナイノ ?」と逆に突っ込めるぐらいの「ジョニーさん」だ。
「バーバーくん」に「バーバーサンハ、キョウモブルーシートノオウチカラキタンデスカ ? 」とジョークをいうのも慣れたものだ。
夜風に冷えて、熱燗をみんなで回し飲み、イモやらおでんなどをつついたあと、「ジョニーさん」が甘いものが食べたいといってタイヤキを買うと、すかさず「タイヤキ買ってるスコットランド人はじめて見た ! 」と「バーバーくん」が茶化す。
タイヤキ屋のお兄さんに「しっかりアンコ入れてくれないと、英国と戦争になるぞ」と突っ込む。
「アンコ戦争」「アンコ反対」なんちゃって。

ちょっと腰を落ち着けて飲もうかと、寒風に吹かれ道端の席に陣取った。
冗談をいいながら飲み食いしていると、「ちょっとジョニー調子こいてるんじゃないの ? 」と「バーバーくん」がいえば、「バーバーサンハチョンコズイテマスネ」と「ジョニーさん」がやりかえす。
「チョンコズク」 ?
あちゃ〜とおでこを押さえる「ヒカルちゃん」、それは彼女の故郷長野の方言で「調子に乗る」ということだった。
いろいろな日本語を吸収する「ジョニーさん」に、「よし、おれが宮城弁教えっから、英語教えて」とバーターを持ちかける「バーバーくん」。

こうして国際交流は酉の市の夜にも花開くのであった。


16:25:48 | mogmas | | TrackBacks