November 08, 2006

化け物とミイラを見に行く

  
化け物といっても、昔お寺の境内に出ていた見せ物ではありません。
れっきとした科学、文化史として上野の国立科学博物館にて11月12日まで開催中の特別展「化け物の文化誌」なんですな。

オヤジがご幼少のみぎり、漫画雑誌などで紹介された天狗や河童や人魚のミイラの現物が一堂に会して見れるってんだから、こりゃもう行くっきゃありません。
都の施設はたいていタダになっちゃうっていう“魔法の手帳”を持つ小僧をダシに使い、いそいそと上野へ出かけて行ったんですな。

国立科学博物館では他にも大英博物館とタイアップした「ミイラと古代エジプト展」やら、日本の科学者技術者展シリーズと銘打った「南方熊楠-森羅万象の探求者」という興味津々、期待ワクワクの展示を行っていたのでありました。

だがさすがに文化の秋、知識を満たすために多くの人が押しかけて、どの展示会場も満員御礼、係の人もてんやわんやの盛況であります。
人をかき分け、背中から覗き込むように、目指すは天狗や河童や人魚のミイラちゃん。

うひゃぁ、ありました。しかし、ちっちぇ〜っ ! 思っていたのとちょっと違う。
画像の表示画像の表示画像の表示
いやぁ、昔のフィギア職人が丹誠込めて作ったんですなぁ。
それなりにリアル。当時の人が見たら絶対納得の一点モノですなぁ。
よかったぁ、子供の頃から信じていたものを見れて。
博物館のX線による調査によると、動物の骨や皮や鱗、木材や植物などを実に見事に融合させて作られていたそうな。
いやいや、ありがたや、ありがたや。

その他の展示品もこれまた貴重なものばかり、教科書や本でしか知らなかった「和漢三才図絵」「本草網目」「百鬼夜行絵巻物」「妖怪絵巻」などがズラリと揃い、博物学者・南方熊楠、民俗学者・柳田国男の記した書物や業績のパネル展示から、博物館所蔵の知られざる生態の生き物、たとえばダイオウイカ、無脊椎動物の中では最大の生物、なんと全長18メートル !! もの記録もある伝説の海の魔物。
ゲソ1本だって食いきれないほど、ぽっぽ焼きにしたら100人前ぐらいあるんじゃないのという代物だ。

いやぁ面白い、時間があったら一日じっくり見て回りたい。
昼飯食わせろ ! と、ぐずり始めた小僧をなだめ、エジプトのミイラも見て博物館をあとにした。

パンフレットの中で主任研究員の方が書いておられるが、西洋では自然の不思議を徹底的に解読し支配しようとするが、日本では畏怖や畏敬の念に変え、侵さざる領域を定め、共生したのだという。
「もののあわれ」を感じることができた昔の人は、自然の気配を「もののけ(物の怪)」と恐れ、畏敬したのだ。
また、明治〜昭和期の物理学者「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉を残した寺田寅彦の言葉には、なるほど深く頷くものがある。
「昔の学者が信じた事実は昔の学者にはやはり事実だったのである。神鳴り(へぇぇ、そうかぁ !)の正体を鬼だと思った先祖を笑う科学者が、百年後の科学者に同じように笑われないとだれが保証しうるであろう」
「科学の目的は実に化け物を捜し出すことなのである。この世界がいかに多くの化け物によって満たされているかを教えることである」

UFOやネッシー、超能力や霊の世界、まだまだこの世には不思議がいっぱいだ。
でも現代の化け物といったら、スピリチュアルなことをまことしやかにおっしゃる、
美輪明宏とか江原ナニガシなどではないかいな。
真っ当なことを言っていると思わせて、見てきたようなご託を並べる話術はお見事だ。
科学を信じない頑迷なかあちゃんは、化け物の妖術にコロッと引っかかってしまうのだ。
困ったもんだ・・・、なんとかしろよ、テレビ朝日ィ !!






12:18:04 | mogmas | | TrackBacks