December 22, 2006

おっさん記念日

  
auちゃんのパパ「マラソンマン」のNくんは、当店でトップスリーに入る生ビール飲みの強者だ。
しかもクセのある昔っぽい焼酎も大好きで、「ヒトリモン」ですら敬遠する泡盛「白百合」も全然平気で飲む。
スポーツをよくやる彼は、昼間テニスで汗を流した後に仲間と飲み続け、そのまま夜になだれ込み、さらに延々と飲み、多少しどろもどろになっても泥酔もせず、じつに酒豪ぶりを見せてくれたものだ。
彼が実業団のランナーだった頃に、合宿でよく行っていた奄美でおぼえた黒糖焼酎「里の曙」は、オヤジもエラく気に入り、当店に常備するようになった。

もう7年ほども通ってくれているが、結婚前もパパになってからも、彼がヘロヘロに酔っぱらったところは3度しか見ていない。
しかも2度はごく最近だ。

つい先日、職場の方と一緒に、カウンターのいつもの席じゃないところに座った彼は、飲みだしてしばらくしたら突然シャックリが出はじめた。
これが、飲もうが食べようがビックリさせようが、まったくとまらない。
面食らう彼は「100回シャックリが続いたら死んでしまう」と焦る。
その様子を見てオヤジは思った。
酔っぱらいのバロメーターのひとつとして、シャックリというのはかなりきちゃっている状態だといえる。
シャックリが出はじめたら、もうそれ以上飲んでも酒は悪魔の水になるだけで、そろそろやめて寝なさいということだと体験上思うのだ。
その旨彼に告げると、「いや、それはない。まだまだ飲める。こんなもんじゃない」と認めない。
まあ、いつもの彼の酒量からいえば、酔っぱらうには早いと認めるが、仕事の疲れや、ストレス、それになにより30歳を過ぎれば、自分でも思わぬところで衰えが出てきたりするものだ。
「いや、ぜんぜん元気ですよ。酔っぱらっていないし、まだまだいけますよぉ」
首をかしげながら、言い訳する。
それがすなわち、酔っぱらいというものだ。
「まあさ、身体は正直だからね。頭ではいけると思っても、身体はしんどいのよ。いつのまにかおっさんになっていることを、頭はなかなか認めようとしないのよ」
「おっ、さん・・・」
絶句する「マラソンマン」。
関西出身の彼には、オヤジではなく、おっさんと呼ぶのが正しいと思う。
さらに追い打ちをかける。
「しゃっくりが出るということは、わたしはおっさんになりました。ということなのよ。だから、今日はおっさん記念日だね」
「い、や、だ。おれはおっさんじゃないよぉ。まだまだお兄さんですよぉ」
往生際の悪いおっさん初心者だ。
「どうあがいても、もうパパなんだし、ここへはじめて来た時から比べれば、腹は出てきたし、貫禄はついてるよ」
「ちがう、おっさんじゃない。だって、『ヒトリモン』先生や『バーバーくん』とは違いますって、おれはまだ昭和の酔っぱらいじゃないよぉ」
「いやいや、同じだって、あんたはりっぱな昭和の酔っぱらい ! 」
「ちがう、ちちがう、少なくとも『バーバーくん』よりは昭和じゃない ! 」
こういうのを五十歩百歩ということを、酔っぱらいは理解しようとしない。

「マラソンマン」と「バーバーくん」の年齢差はたったの二歳。
しかも「マラソンマン」の方が上で、四歳の娘の父なのだから、ん・・・、ひょっとして、父親のカンで、無差別女漁りアルカイダ「刈り魔王」の危険な匂いを察知して、娘を近づけてはいかんと余計な気を回してしまったのかもしれない。
フン、だぁいじょうぶだぁ。「バーバーくん」には清貧の誓いがあるし、昭和の酔っぱらいは一応身ぎれいだ。
それより、一刻も早く「おっさん」を受け入れて、シャックリを克服して、こちら側にいらっしゃい。
来年の12月18日は、晴れて祝いの「おっさん記念日」として飲みましょうよ。

その前に、少し酒を控えて東京マラソンのランナーとしてフルマラソンを走りきる身体をつくり、テレビでその勇姿を見せてほしいと思う。
そしてゆくゆくは、オヤジの野望「ホノルルマラソン」へ出場するためのおっ師匠さんとして、体力を維持していただきたい。
走れ「マラソンマン」 !  ゆけ ! 昭和の「おっさん」 !

15:05:01 | mogmas | | TrackBacks