April 16, 2006

ダニー・ザ・ドッグ

「SPIRIT」が封切られる前から、劇場で見逃したジェット・リーの「ダニー・ザ・ドッグ」を見たいとTUTAYAさんに通ったが、いつも貸し出し中で、「SPIRIT」を見たあとよけいに見たくなって、ようやく先日借りてきた。

ジェット・リーはよほどL・ベッソンがお気に入りなのか、はたまたL・ベッソンがジェット・リーにご執心なのか、「キス・オブ・ザ・ドラゴン」以来2度目のコンビだ。

『チンケな取り立て屋のボスに飼い殺しにされているダニーは、首輪を外され「やっちまえ」と囁かれると、惚けたような普段の顔に殺気がみなぎり、凶暴な火を吹く龍となって相手に襲いかかる。
相手が死のうが、骨が砕けようが情け容赦なく打ちのめし、制止されるまで暴れまわる。
一仕事終えて住処に帰ると、地下の檻に放り込まれ、粗末な食いものを与えられて寝るだけだ。
そんな彼が盲目のピアノ調律師と出会い、人間らしい感情と記憶を取り戻していくというドラマだ』

L・ベッソンとしては「レオン」「ニキータ」に次ぐキャラを作りたかったのだろうが、お話上は成功したとは言い難い。
ジェット・リーがいけないのではない。
昔々の日活映画の主人公みたいな朴訥で飾らない好青年をジェット・リーはよく演じている。
盲目のモーガン・フリーマンもレイ・チャールズみたいでいい。
背の高い彼との対比で、ジェト・リーがいっそう幼く脆く見える。
アクションも実績のあるユエン・ウーピンが担当し、そつなくバトルシーンを魅せている。
しかし、予定調和なのだ。
観客は一歩先を読んで、物語の意外性を些細な違いはあるにせよ予測するものだ。
それを満足のゆくドラマで納得させるか、意外な展開で観客の度肝を抜くかは監督の力量だ。
L・ベッソンは制作者として冠を頂く立場になってしまい、そのブランドで満足してしまってないか?
アメリカっぽい設定でもおフランスの匂いを発算する効果はいいとしても、なんだか違和感を感じるのはフランス生まれのオヤジだからなのだろうか。
欧米人がカンフーの立ち回りをしてもなぜかしっくりこないし、迫力不足なやられ役として見てしまう。

はっきり言って、この映画の主演はジェト・リーではなくてもいい。
他の役者でもこのドラマは充分できる。
「L・ベッソン」ブランドの映画はみな要注意だ。
でも時間つぶしに、何も考えずに見るにはいいかもね。


13:54:17 | mogmas | | TrackBacks