June 23, 2006

8ミリの希望

ついに、オヤジ待望の過去の遺産が発掘された。
今までにも何度となく探してみたが、見つからず、ほとんど諦めていたのだが、とっ散らかした甥っ子たちのオモチャに埋もれて、それは眠っていた。
保管状況と年数を考えると、箱を開けて中身を取り出すのが恐ろしかったが、埃もなく、きれいにクリーニングしてしまっておいたおかげでなんとか無事のようだ。

30数年前、まだクレジットとかキャッシングなんて言葉もなかったとき、近所の馴染みのカメラ屋の親父に頼み込んで、15回払いの「月賦」を組んで手に入れた、ガキのオモチャにしては高級すぎる機器だ。
その支払いをするために、朝4時起きして新聞配達のバイトをしたのだった。
なぜしまった場所を憶えていなかったのだろう。
今までに何度か引っ越しをしたが、それはずっと実家に置いていたし、ビデオが登場するまではそれは現役だった筈なのに。

久々のご対面!画像の表示
ステレオサウンド8mm映写機、エルモ「GS-800」。
扇千景の「私にも写せます」のCMも懐かしい、FUJICA Single-8「P300 SOUND」。
高校の文化祭で公開のフィルム、家族の記録、映画の学校の卒業制作フィルム、カス・クズフィルム等々。

「GS-800」という映写機はすぐれもので、当時、高価な映写機はまだまだたくさん上をみれば切りないほどある中で、ガキでもちょいと背伸びすれば手に入る価格で、サウンドトラックに多重録音できるステレオサウンド映写機で、音楽や効果音をアフレコでき、その音声をFMで飛ばしてワイヤレス再生も可能という高機能なのだ。

箱から取り出して、電源ケーブルを接続。
照明ランプが点灯し、ファンが回りだす。
アームを起こしリールをセットする。
が、リールが回転しない。
操作つまみを映写の方へ倒しても、映写ランプが点灯しない。
やはり、歳月は間違いなく消耗品を作るのだ。
リールが回らないということは、モーターのベルトがへたったか、切れているのだろう。
映写ランプは寿命だから交換しかない。
さて、困った。
「エルモ」という会社は、今どうなっているんだろう?

こんなときつくづく便利だと思うのは、ネットの検索ちゃんだ。
早速調べると、「エルモ社」はまだ健在だった。
監視カメラやデジタル製品に商品ラインナップはチェンジされていても、まだ映写機の交換部品やパーツ類がサポートされていた。
しかもうれしいことに、過去のフィルムをVHSやDVDに焼き直してくれるテレシネサービスを行っているのだった。
当時シノギを削っていたライバル「キャノン」は完全にデジタル製品へ移行してしまい、8ミリの“ハ”の字もないというのに。
オヤジに“8ミリの希望”を残してくれた「エルモ社」に感謝。

さてさて、如何致しましょうか。
映写機を修理して甦らせるか、はたまたきれいすっぱり見切りをつけて、DVDにしてから我が家の林檎で編集手直しをするか。
8ミリフィルムの編集機は、先日点検したところ、ビューワーの四隅が曇り、ランプも点灯せず、裏側にカビまで生えていて、泣く泣く処分したのだ。
テープスプライサーだけあっても、これでは何もできない。
さあどうする・・・。

しばし黙考。
結論。
映写機は復活させる。
シングル8のフィルムを探す。
性懲りもなく未完の映像を撮る。
そして、フィルムはスクリーンに映写して確認後、テレシネでDVDにする。
これに決定!
どうだ、スターウォーズなみに遠大な計画ではないか。
ただし、一文の徳にもならないが、自己満足だけは30年ぶりに味わえそうだ。
ギョエ〜ッ、またまた自分にしばりを科してしまった。
忘れられた8ミリ小僧の、眠れない日々がこの先ずっと続くのだ・・・。


10:26:00 | mogmas | | TrackBacks