July 17, 2006

リベリオン

  
あまり好きではないスピルバーグ監督の映画の中で、「太陽の帝国」は好きな方の部類だった。
その「太陽の帝国」の主役のお坊ちゃまは、立派に成人なされて、鍛え抜かれたいい身体で、2丁拳銃を撃ちまくり、華麗な技で敵をバッタバッタとなぎ倒す「GUN-KATA」の達人にお成りになった。
「リベリオン/反逆者」の原題は「EQUILIBRIUM/心の平静」だが、これではお客さんがこないということで「リベリオン」に変えたのだろう。
でもオヤジだったら、ずばり「GUN-KATA」か「CLERIC/クラリック(聖職者)」の方が良いと思うんだけど。

最初に「GUN-KATA」ときいたときは、GUNアクションに刀の殺陣を加えた技の名前かと思ったが、もっと複雑に中国拳法の手の動きとGUNを連動させ、敵の動きを瞬時に読み、相手の武器を自らの武器に変え、あらゆる攻撃をかわしながら有利に反撃に転じる、法の執行官が身に付けた実践的な技だった。
「GUN-KATA」のKATAは型のことのようで、敵を倒したあとの決めホーズは、歌舞伎や時代劇の「見得」に通じる。
様々な銃器が登場し、マニアの方はふんふんと頷きながら楽しく観賞できるに違いない。
「ウルトラバイオレット」の「ジョヴォ子」の技は、この「GUN-KATA」から発展したということがよくわかる。

こういう映画を、重箱の隅をつつくような見方をしてはいけないとは思うが、突っ込みどころ満載の、スキだらけのお話だから、アクションだけが浮いてしまうのは仕方がない。
「ウルトラバイオレット」でもそうだが、近未来の独裁者に管理された社会という設定は、本当に手垢がつきすぎているし、悪の総帥にはそれなりの魅力がなくてはいけないのに、強烈なキャラクターを用意できないままお話が進行しているので、どうも今イチ盛上がらない。
そこへもってきて主人公が超絶パワーの持ち主なので、あまりに簡単に悪を成敗してしまい、子供たちが大好きな「戦隊モノ」となんら変わらない出来になってしまうのだ。むしろ「戦隊モノ」の方が、最近は出来がいいかもしれない。

というわけで「リベリオン」は、アクションだけを語るのならOKだが、映画的にははなはだ退屈な作品だ。
「ウルトラバイオレット」の「ジョヴォ子」のような、カッチョイイ魅力的なキャラが主役を飾るのならオジさんはうれしいのだけれど・・・。


11:07:00 | mogmas | | TrackBacks