July 07, 2006

ウルトラバイオレット

  
「ウルトラ」という言葉にすぐ反応してしまう、“シュワッチ”な世代の性である。
「悪魔のあっくん」に尻を叩かれなくても、他の映画の予告編で「ミラ・ジョヴォジョヴォジョヴォビッチ」(嗚呼言いにくい、以下ジョヴォ子と呼ぶ)のカッチョイイ!!アクションをちょいと見ただけで、本編は絶対見ようと思っていたのだ。

今や常連となってしまった「亀有MOVIX」に、ショッピングセンターのオープン前から乗り付け、エレベーターさえまだ動かないのに、ホールでご近所の若い主婦と共に佇んでいた。
心の中では「あなたもジョヴォ子ですか ?」と話しかけていたのだが、不審者と思われないように行儀よくしていた。

映画館が開場すると同時に、熱いコーヒーを手に入場し、いつものDの9番の席に腰を下ろす。
ちらほらと入ってくる観客を数えれば、なんと男ばかりたったの6人だ。
しかもオヤジとさほどかわらない年齢の、“お前仕事はどうしたんだいっ?”といいたくなるネクタイ族だ。
みんな「悪魔のあっくん」同様屈折した者だけが、「ジョヴォ子」の癒しを求めているのかもしれない。

オープニングタイトルで流れたコミックの「ヴァイオレット」で、この映画もまたアメリカン・コミックが原作かと思いきや、そうではなく、監督が1980年のジーナ・ローランス主演の「グロリア」からインスパイアーされて誕生した、オリジナルの映画だということだ。
しかし、まあ、お話としては、手垢の着いた「また地域限定の終末決戦ですかい」と突っ込みたくなる展開だ。
だが、そんな些末なことはどうでもいい。
少ない観客が一心に思うのは、「ジョヴォ子」がカッチョイイかどうかということだけだ。

いやはや、魅せてくれます。(尻は見せども、乳首は見せぬ)
いきなり「トリニティー」もタジタジの舞踏のごときバトルアクション炸裂。
バッタバッタと敵をなぎ倒す、その華麗な舞はどうだ。
ストレートのサラサラヘアーも乱れず、毛先にチロチロと走る青白い放電も素敵。
もはやサングラスとバイクは戦う女の必需品です。
敵の戦闘員は強そうな格好をしているくせに、揃いも揃って一撃で倒されてしまう「ショッカー」の“イーッ!”状態、お約束通りの正しい弱キャラですな。
映画開始から15分足らずで、「ゾンビ」と「ヴァンパイア」と「ミュータント」のごちゃ混ぜのお話の先が見えてきます。
だが、そんな些末なことはどうでもいい。
少ない観客が一心に思うのは、「ジョヴォ子」がカッチョイイかどうかということだけだ。

重力レベラーを身に付け、「ドラえもん」の四次元ポケットみたいな武器収納ブレスレットを腕に巻き、ヘソ出し「ジョヴォ子」はまさに無敵の殺人マシーンだ。
だがお話は、子供に母性をくすぐられた「ジョヴォ子」の見せなくていい弱さをかいま見せ、ここへ来てテンポが少々もたつく。
「ジョヴォ子」の魅力は、敵を射殺すような戦士の目を持ち、強靭でしなやかな完璧な肉体と美貌の中に、脆い泣き虫な少女性が同居していることだが、あまりその面を強調すると、R・ベッソンの二の舞になってしまう。
ここはサラッと流して、アクションのてんこ盛りにしてほしかった。

30歳すぎてこの肉体とアクションは、ドモホルンリンクもびっくりですな。
さすがにモデルの「ジョヴォ子」ですから、衣装も黒から赤へ、はたまた白へと、ヘソだけは出しながら髪の色まで七変化。
刀のアクションも力強く、火花散る散る、炎も発す。
中だるみはしましたが、パート2でも、3でもどうでもなるような作りは、この手の作品の常套手段です。
だが、そんな些末なことはどうでもいい。
少ない観客が一心に思うのは、「ジョヴォ子」がカッチョイイかどうかということだけだったのですから。

わたしは思う。
演技派の「ジョヴォ子」なんてどうでもいい。
ただひたすらアクションに徹してくれるなら、次回もきっと心ときめかせて見るだろう。
欲を言えば、「ジョヴォ子」対「ケイト・ベッキンセール」の戦いをぜひ見てみたいのであります。

10:20:00 | mogmas | | TrackBacks