August 16, 2007

オヤジを映画に連れてって トランスフォーマー&ダイ・ハード4.0編

  
小僧が夏休みでヒマを持て余し、
「今日は何をしますか ? 買い物はありますか ? 合羽橋方面は何かありますか ? 秋葉原は何かありますか ? 」
などと、しつこいご用聞きみたいにまことにうるさく、金魚のフンみたいにくっついて歩き、オヤジの行動は逐一観察されている。
ならば一緒に行動するのがよかろうと、
「映画に行こう」
と誘ったら、
「映画は結構です。映画以外の何かはありますか ? 」
ぜんぜんのってくれない。
「映画いこうよ。映画館は涼しいぞ。おもろいぞ」
「けっこう、けっこう、けっこう毛だらけ !! 」
ケンモホロロ・・・。
かくなる上は、
「映画に連れて行ってくれなければ、お前とは遊んでやらない。ポケモンセンターに苦情を言ってやる。林檎屋に電話してやる。スティーブ・ジョブズにメールするぞ ! 」
脅しである。
なんという保護者であろう。
しかし、しぶしぶシネコン行きを了承したので、気分が変わらないうちに家を出た。

汗を拭き拭きたどり着いた亀有MOVIXは、夏休みのせいで長蛇の列。
それを見た小僧は、
「やめましょう」
と弱気になるが、ここまで来て諦めるのは癪だ。
延々並んで、予告編の上映が始まってからようやくチケットを買えた。
駆け足で劇場内へ。

小僧様のリクエストにより、「トランスフォーマー」日本語吹替え版を、「愛の手帳」のご利益により千円でご鑑賞。
普段2時間を超える映画を一緒に見ると、必ず途中で退屈してアクビをしたり、モゾモゾ伸びをしたりする小僧なのだが、なんと2時間25分の上映時間にもかかわらず、まったく退屈せず、夢中で鑑賞していた。
それほど展開がスピーディーで、圧倒的なCGだったのは間違いない。
それに加えて、ペンタゴンで林檎のスタジオディスプレーが大量に使われていたり、MacBook Proが活躍したりと、林檎好きの小僧を喜ばせるシーンがたくさんあったのも大きい。
鉄人世代のオヤジには、こんなに湯水のごとく金をかけてロボットものができるハリウッドがうらやましく、スピルバーグもマイケル・ペイにもまったく期待していなかったが、彼らの子供心を満たす題材ならばけっこう見れる映画ができるんだなと実感した。
アニメの実写版がヘロヘロになってしまったのを何度も目の当たりにしているが、なまじアニメ版「トランスフォーマー」を見ていなかったのも幸いして、なかなか楽しめた。
大味の料理を腹一杯食べたような満足感ではあった。


「お願いだから、今日も映画に連れてって」
まるで駄々っ子のように小僧にすがる。
「今日はけっこうです。ダイハードはけっこうです」
またもやケンモホロロに突っぱねられるオヤジに、かあちゃんが援軍を出してくれた。
「いうこときいてあげないと、海に連れて行ってもらえないよ」
まったく、なんという駆け引きをする親なのだろう。

で、銀座、朝一。
水曜日だから女性は千円の日。
チケット売り場の前には、またもや行列ができている。
天下の「愛の手帳」を提示し、オヤジと小僧も千円でチケットを買ったが、
「やっぱりオレは見ません。オレは行くところがあります」
と言い出し、昼飯代と電車賃をくれという小僧に、行き先を訊いても「秘密」というばかりでラチがあかない。
けっきょくチケットはかあちゃんにわたった。
まあいいや、夫婦で映画も久しぶりだ。

世界一不運な男「ジョン・マクレーン」刑事、52歳のブルース・ウィルスの帰還は、是が非でもスクリーンの大画面で見なければと思っていたが、なかなかタイミングが許さず、今日まで延び延びになってしまったのだ。
ロデリック・ソープの原作「ダイ・ハード」の主人公、警察の保安顧問を務める「リーランド」に、年齢だけは近づいたものの、相変わらずの猪突猛進的タフネスぶりを発揮する「マクレーン」。
その場の思いつきと、協力者の知恵と強運のおかげで、何度も死地をズタボロになって脱するのはお約束。
その他にもシリーズのパターンとお約束満載で、しかしこれまた驚愕のCGとアクションはエスカレートするばかり、仕掛けが大きくなればなるほど、アラも見えてくるは、頭脳明晰で冷酷な敵の作戦も無謀に思えるばかり。
だが監督の「レン・ワイズマン」は、「アンダーワールド」でセンス抜群のかっちょいい絵を撮った人だから、ここでもその本領は遺憾なく発揮されており、あれよあれよという間の息をも付かせぬ展開で最後まで引っ張る。

しかしアクション・SF映画はどこまでCGがエスカレートしてしまうのだろう。
もはやできないことはない、神の御業のようなクリエーターの成すがまま、さらなる刺激を求めて際限なく突き進んでしまうばかりだ。
ジェットコースターから下りたばかりのような“びっくらこえたぁ”気分は、しばらくすると跡形もなくしぼんでしまう。
そして作品も残らなかったりする。
ほんとうに、豪華絢爛たる満願全席のような欧米の大味料理を腹一杯食べた気分。
かといって、能書きと作法と値段ばかり高くて、腹八分目にも満たない日本映画を見せられるよりは、よほど満足感があるのだが・・・。


12:27:40 | mogmas | | TrackBacks