February 15, 2007

ラン、乱、蘭、エピソード・2

  
全芋焼酎「さつま・蘭」を最初に飲んだのは、ほんの偶然だった。
まだ「宇宙人ジョーンズ」が理不尽大魔王の「悪魔のあっくん」だった頃に遡る。

その夜われわれは、上野の裏通りの一軒目の焼き鳥屋で飲み倒し、ブラブラと御徒町まで歩いて行き、「吉池」の脇、山手線のガード下にある「焼酎バー金魚」という店を二軒目として選んだ。
焼酎メニューが150種類ほどもあるその店は、取っ替え引っ替え焼酎をお試しして飲み漁るには丁度いい値段と雰囲気で、すでにいい気持ちちゃんのオヤジ共は、嬉々として次から次へと酒を選ぶのであった。
すると、おすすめメニューの中に元「悪魔のあっくん」の琴線に触れる焼酎があり、すかさずオーダーした。

それが全芋焼酎「さつま・蘭」だった。画像の表示

かつて彼の女神だった「天地真理」が「婆・地真理」に成り下がってみる影もなくなった今、青春の思い出としてすがるアイドルは、キャンデーズの「ランちゃん」しかいないのだった。
その「ランちゃん」と同じ名の「蘭」に飛びついたのは、思考能力が著しく低下しているからではなく、今となっては運命的な出会いだったと言えるかもしれない。
この「蘭」がありふれたヘナチョコな焼酎だったら、そこで終わってしまうのだが、これがじつに美味い。
元「悪魔のあっくん」は、
「なんでお前んとこは、このような旨い焼酎を置かないんだ。勉強が足らん。ただちに手に入れよ。ランちゃんを讃えよ ! 」
とオヤジに噛みつき、悪魔に半ば変身した目で睨むのであった。

すっかり「蘭」と「ランちゃん」に気をよくした元「悪魔のあっくん」は、何を血迷ったか、マニアックな店で美少女系のフィギアを衝動買いし、意気揚々と三軒目のコリアンな居酒屋のカウンターにおさまった。
「ハイ、オマタセネ、カイセンチヂミネ、トテモアツイヨ」
などと出された、コリアンなおねえさんの自信作にかぶり付き、
「なんでお前んとこは、このような旨いチヂミを置かないんだ。勉強が足らん。ただちにメニュー化せよ。ランちゃんを讃えよ ! 」
と、もはや悪魔の変身を止めようもないほどギンギラギンになってしまっていた。

まったく学習の足らないわれわれは、ここでもしこたま飲み、「マタヨロシクキテネ」と送り出されて、夜も更けた裏道を歩き出した。
もうその時の会話は憶えているはずもないが、突然元「悪魔のあっくん」が不機嫌になり、
「なんでお前は、このような○○××△△ないんだ。<{%#!68|が足らん。ただちに#%&"*`>せよ。ランちゃんを讃えよ ! 」
と、スタスタと歩き去ってしまったのだ。

それから間もなく「蘭」を入手し、コリアンな店の「カイセンチヂミ」を再現したり、悪魔のお言いつけ通り「ランちゃんを讃え」たりしたのだった。
しかし、なぜかメニューに書き入れることをしなかった。
そして前述したように、何本目かの残り少なくなった「蘭」を、マラソンマンと空けた夜に、伯母の「蘭子」の訃報を聞いたのだった。

千曲市ではまったく見当たらなかった「蘭」は、千住でも置いてある店は限られていて、なぜだか調べてみたら、蔵元「黄金酒造」の思いを理解できる酒屋さんのみに商品を取り扱ってもらっているから、ということが判った。
ますます「蘭」のファンになった。

さっそく「蘭」を入手した。
まだメニューには書いていないが、お望みの方にはお出ししよう。
とくに、「宇宙人ジョーンズ」と改名し、過去のデロデロなあんなことやこんなことを消し去りたいあの御仁には、すべての記憶をデリートできるまで堪能してもらおうじゃないか。
いや、伯母の供養のためにも絶対飲んで頂く。
生半可な飲み方は許さん !!


11:38:00 | mogmas | | TrackBacks