March 02, 2007

ハイラル

  
合羽橋から浅草方面へ。
言問通りを横切り、浅草5丁目あたりの交差点の角。
長崎ちゃんぽんの店「ハイラル」。

ちゃんぽん
ちゃんぽん posted by (C)084-jan
 
店の存在はかなり前から知っていたが、入ったことがなかった。
ラマダンも解けたことだし、腹の虫はイケイケドンドンなので、入ってみた。

8人がけほどのカウンターと4人がけのテーブル1つのこじんまりした店内に、威勢のいい「いらっしゃいまし ! 」という声が響く。
60歳は優に過ぎていると思われる、白いコック服のオジさん2人と、若いときの艶っぽさを残したオバさんの3人で切り盛りしている。
「お昼時はちゃんぽんとラーメンのみの注文になります」という張り紙があるが、その他のメニューも皿うどんとギョーザぐらいしか表示されていない。

昔の東宝映画の常連バイプレーヤーの1人にどことなく似ている痩せたオジさんは、キビキビと新兵のように(軍隊経験がないので想像だが)歯切れのいい声で注文を復唱し、「お水でございます」「たいへんお待ちどう様です。ちゃんぽんでございます」と丁寧この上なく、ほんとうに軍隊の食堂(兵役経験がないので想像だが)のようだ。
忙しく鍋を振るのは、真っ白い眉毛が中国のお大尽のような、恰幅のいいオジさんだ。
この2人のオジさんの暗黙の連携プレーは、ダラッとしたチェーン店のアルバイト店員など及びも付かない、熟練の賜物である。

人通りの多いあたりではないのに、引っ切りなしに客が入ってくる。
その度にオジさんたちの「いらっしゃいまし ! 」の声がハモる。
やがて出来上がったちゃんぽんは、あっさり味で、野菜がたっぷりのスタンダードなちゃんぽんだった。
これで600円なら御の字だ。
客は無駄口も叩かず、黙々と麺をすすり、スープを飲干し、金を払い、「ちゃんぽん、600円でございます。ちょうど頂きます。ありがとうございます。またお越し下さいませ」という丁寧でキビキビした声で兵舎を送り出される上官(兵役経験がないので想像だが)のように店を出ていく。

店名の「ハイラル」ってなんだろうと調べたら、

【海拉爾】Hailar
中国内モンゴル自治区北東部、大興安嶺西部草原地帯の中心都市。
付近はモンゴル族の遊牧地。
人口22万3千。


だ、そうだ。
どうりで、白い眉毛のオジさんが中国のお大尽に見えたわけだ。
けっこう本格派のお店だったのか。

ミナサンモ イチドオタメシスルトイイネ キビキビシタトコロガキモチイイヨ タバコトケイタイハ メイワクニナルカラタメネ デハマタネ シェイシェイライライ


13:57:31 | mogmas | | TrackBacks