April 21, 2007

サンシャイン 2057

  
50年後の未来。
原因は不明だが、太陽の活動が衰え、地球は急速に冷えて人類滅亡の危機を向えている。
それを救うために、最後のミッションに向う宇宙船「イカロス2号」。
細長い船体の前に、パラボラアンテナのような太陽熱を遮断するシールドを広げ、さらにマンハッタンと同じサイズの巨大な核爆弾を取り付け、瀕死の太陽に向って進む。
「イカロス2号」というからには当然「1号」も存在し、それは7年前に先発して消息不明。
太陽に何の変化もない事から、最初のミッションは失敗に終わったと推測され、地球上のすべての核物質をかき集めて「イカロス2号」の爆弾は造られた。
この“人類最後の希望をこめた核爆弾 ! ”を軌道上から投下し、再び太陽を甦らせ地球を救おうというのだ。
無謀にして勝算の限りなく薄いミッションに挑むのは8人の選ばれたクルー。
「イカルス2号」の冷静沈着なリーダーは、カネダ船長(よぉっ、真田広之いいです ! )。
キリアン・マーフィもミシェル・ヨーも、いいねっ !
宇宙船、宇宙空間という密室の中で、次々に絶望に追い込まれる男女。
果たしてミッションは成功するのか ? 地球の運命は ? 「イカルス1号」は ? 乗組員はどうなる ?

と、様々なスリルとサスペンスな問題をを抱えて物語は暗黒の宇宙空間で展開するが、ご都合主義のハリウッド映画「アルマゲドン」で感動して泣けた人には、このお話はちょいと重く、手放しなハッピーエンドを期待して見ると肩すかしを食らう。
「2001年宇宙の旅」「エイリアン」「イベント・ホライゾン」「惑星ソラリス」といった一連の宇宙物を思い浮かべるも、思索的だがジャンル映画ともちょっと趣きが異なる仕上がりで、たぶん、劇場公開時には不人気でも、DVDがリリースした後に話題が高まるようなカルト的な要素が強い作品だと感じた。
「核爆弾」という悪魔の兵器を「希望」とする、ちっぽけで宇宙の塵に過ぎない人間のあがきを「絶望」へ向わせる「意志」の存在は、1人の人間の死によって多くの命を救うという、思い上がった安っぽいヒューマニズムを打ち砕く。

“人類なんて滅亡してもいいんじゃないか”
“失敗してもなにも変わらないんじゃないか”
しょせん運命はコインの表・裏。
“どっちが出ようといいじゃないか、アンタならどうする ? ”
スクリーンの向こうからシニカルに笑いかける「意志」は、監督「ダニー・ボイル」だろう。
「トレインスポッティング」や「普通じゃない」、「ザ・ビーチ」「28日後…」のイギリス人は、地球でも宇宙でも巧妙に嘘をつく。

しかし、太陽までの長い航海が可能なテクノロジーを持ちながら、最終手段が「核爆弾」しかないという50年後の人類は悲しいし、人間以上の存在と予定通りのカタストロフィはやや不満だ。
まあ、東宝特撮のように超兵器や怪獣が登場しても困っちゃうんだけど・・・。
シネコンではもうすぐ終わっちゃうだろうし、DVDが出たらもう一度見るかも。


11:51:12 | mogmas | | TrackBacks