April 05, 2007

トモちゃん

  
先頃行ったイベント「FOODEX」の楽しみは、いろいろな試食や試飲やサンプルが貰えるということのほかに、毎年知った顔に出会えるということもある。
さすがにお勤め人時代の知り合いはもうぜんぜん見なくなったが、店を始めてからの顔見知りには何人か出会える。
なかでも一番うれしいのは、「タニノくん」と「トモちゃん」のふたりに見つけてもらえることだ。
人でごったがえす会場で、たっぷり焼酎や日本酒を試飲していい感じになっているオヤジと、甘いものの試食を求めてキョロキョロするかあちゃんは、多くの来場者にまぎれてしまっているのだが、いつも彼らの方から見つけて声をかけてくれて、うれしい再会を果すのだ。
今年は思いもかけずに、中国ブースの1つから声をかけてくれた。

1997年にモグランポがオープンして1週間も経たない頃、ランチタイムの遅い時間に、毎日のように1人でカウンターに着き、アタッシュケースからパソコンでプリントアウトした数字ばかり並んでいる用紙を取り出し、難しい顔で見入る青年がいた。
べつに無愛想というわけではなかったが、会話もなく、何日か過ぎて、ようやく会話らしいものを交わした。
彼は「あさひ銀行」(現・りそな銀行)の隣りのビルの1階で、「おかし市場」というお店を経営しているのだという。
もともと実家がお菓子の卸問屋で、彼は新規事業として「おかし市場」をはじめたのだった。
これから店舗を増やすという計画や、街の状況、人の様子など、彼は熱心に語り、オヤジもその熱心さにつられていろんなことを話し、しだいに彼とは打解けてきた。
しかし相変わらずプリントアウトの用紙に難しい顔を向けてばかりいたが、だがそれは数字に悩んでいるのではなく、ある娘のことを想っているのだと、ある日わかった。

彼のお店の2階に入っている美容室のスタッフの1人で、長い髪をパイナップルみたいに盛り上げたチョンマゲヘアーの娘に、彼は恋しちゃったのだ。
明るくて元気のいいその娘(バーバーくんならぬ、バー子ちゃんだ)は、彼のお店で立ち話をしている時など、気さくに挨拶してくれたり、とても感じがよかった。
だが彼はなかなか告白できずにいたので、「悩んでないで、いっちゃえ ! 」とオヤジはけしかけ、かあちゃんもその尻馬に乗って彼を焚き付けた。
結果。
ニヤニヤとだらしなく満面の笑みで、「バー子」改め「トモちゃん」と2人でいつものカウンターの席についた彼は、悩んでいたことが嘘のように、つき合いはじめたことを語るのだった。
そしてほどなくして2人は結婚。
彼が23歳、「トモちゃん」20歳。 なんとも、まあ、初々しく、ままごとみたいな夫婦の誕生だった。

当店の縁結びのカウンター席に座り、結婚したり、子供ができたりと幸せを紡いでいるカップルは、この10年で10組はいる。
その記念すべき最初の2人が「タニノくん」と「トモちゃん」のカップルだ。
まことにもって、目出たくもありがたいことだ。
(その反面、酔っぱらいのひとり者も数多く座る席なのだけれど・・・)

幸せな2人は、仕事の面でも息のあったパートナーになり、彼らは忙しく、住まいも離れたところに構え、しだいに顔を見る回数も少なくなってきた。
けれど毎年「FOODEX」の会場で会い、近況を聞き、元気な姿を見ることができるので、オヤジもかあちゃんもそれを楽しみにしている。
今年は「トモちゃん」には会えなくて残念だったと言ったら、先日、久しぶりに2人で店に来てくれて、10年前に2人がはじめて座ったカウンターにつき、昔話に花が咲いた。

それからしばらくして、彼の会社から、大きな段ボール箱に入った大量のお菓子が届けられた。
とても我が家だけでは食べきれない量と種類で、そのうえオヤジには「酒井ゆうじ」プロデュースの食玩「ゴジラ全集Final」やシャレたボトルの泡盛、小僧にはポケモンの食玩まで入れてくれて、ビックリやら、感激やらでもう大変。
この場を借りて、あらためて


ありがとう ! 若社長
トモちゃ〜〜〜ん。
 子供ができたらしらせてくれよーーーーーい !




12:06:19 | mogmas | | TrackBacks