June 11, 2007

ニジュウクサイ焼

  
モグランポの数年前のメニューには「ぐわん焼」というお好み焼があった。
この「ぐわん」とは、小僧が小さかった時に「ごはん」と言えず、「ぐわん」と言っていたことに由来し、お好み焼とごはんを合体させた、いわゆるライスモダン焼だ。

作り方は、まずセルクル(丸いものを力技で三角形に加工)を鉄板の上で温め、基本のお好み焼を半量流し込む。
そこへごはんをたいらに敷き込み、三角形の各頂点あたりに三種類の具、ゴマ昆布、練り梅、明太子をのせ、残りの生地を流して半面をよく焼く。
頃合いを見計らってセルクルごと引っくり返し、上から軽く押してごはんと具と生地をなじませながら焼く。
セルクルを外せば、大きな三角おむすびみたいなお好み焼があらわれる。
両面にしょうゆダレをぬり、海苔をのせて完成。

「炭水化物友の会」に推薦したいようなボリューム満点のお好み焼だが、やめてしまって久しい。
この「ぐわん焼」が、名前を「ニジュウクサイ焼」と変え、ひょんなことから一夜限りの復活をした。
じつはその夜、当店の「ある記録」が「ある男」により更新されたのである。

かつてモグランポの開店(当時はランチタイムをやっていた)から閉店まで居続け、酒を飲み続けた記録を持つ伝説の大酒飲み「ウッチー」は、もうひとつの記録保持者で、それは1週間毎日来店したことだった。
そこまで気に入られれば本望とも言えるが、彼はフリーランスの業界人だったから、毎日長時間店にいるということは、仕事がないということなので、さすがにオヤジも心配になって、「営業してきたほうがいいんじゃないの」と苦言を足れたのだ。
しかし彼はまったく動ぜず、尻に根が生えたようにカウンターの定位置から動かなかった。
彼はなんでもよく知っている男で、けっして能力がないわけではなかったが、肥後もっこすのくせに江戸っ子みたいに「宵越しの銭」は持たない主義で、追いつめられないとアクションを起こさないタイプだった。
それなのに、
「オレ様の他に、モグみたいなチンケな店に通いつめる客がいるわけがない」
と失礼なことを平気で言う男なのだ。

フン、「ウッチー」め。
アンタの記録は破られたぜ。
しかも、アンタよりず〜と若い、ションベンみたいな若造にさ。

期せずして8日間連続で来店した、「ニジュウクサイ」になりたての声のでかい男のリクエストは、「ボリュームがあってガツンと食べられるもの」ということなので、
まさに「ぐわん焼」の出番となったのだ。

ぐわん焼
ぐわん焼 posted by (C)084-jan

ランチをやめてしまった現在、具の一つのゴマ昆布がないので、シーチキンに変更し、表面に白ゴマを振ってみた。

ニジュウクサイ焼
ニジュウクサイ焼 posted by (C)084-jan

いつものしょうゆダレではなく、秘伝のたまり醤油をぬって、香ばしく焼けた。

カ
posted by (C)084-jan

で、かぶりつくところを写真に撮れとのご所望で、パチリ。
どうですか、この相変わらずのおだつもっこ(調子コキ)は。
「ニジュウクサイ」男は、あっという間に「ニジュウクサイ焼」を食べ、「ガッ、ハッ、ハッ」と高らかに笑うのである。
この男は別名を「刈り魔王」とも、「昭和の酔っぱらい唾三十郎」とも、「蟒蛇5号」とも、「チビ助」とも、「浅草刈男」とも呼ばれているが、その実態はみちのくの男「バーバーくん」なのである。

07:00:00 | mogmas | | TrackBacks