June 05, 2007

森伊蔵と泡波

  
◎ 待てば海路の日和あり
◎ 果報は寝て待て
◎ 棚からぼたもち
◎ 「おりこうさんにしていると、今にきっといいことがあるからね」

で、これである。

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“幻の”という形容がつく酒が、なんと2本同時に日夜大酒を喰らっているオヤジの元へ転がり込んできたのである。
大枚をはたいてお買い求めになるのなら、なんの感動もないけれど、一銭の身銭も切らずに、このプレミアムなお酒を頂けたのは、ひとえにオヤジの人徳の賜物。
滝がお酒に変わるという「養老の滝」のような奇跡。
これをラッキーとか、天の恵みと言わずしてなんと言う。
で、人と天に感謝しつつ、ありがたく全部飲み干しましたとサ・・・。


てな独り占めをよしとしない、清廉潔白で酒飲み思いのオヤジは、この写真を次々とメールし、皆様と喜びを分かち合おうと思ったのである。
そして、平日は酒を慎んでいるはずのあの男が、ニヤニヤしながら一番乗りをしたのだった。

仕方がないのでグラスを2つ用意し、1つを「ヒトリモン」に手渡し、まずは「森伊蔵」からテイスティング。
ストレートでグラスにつがれた酒は、ふくよかないい香りだが、口に含むと軽い。
なんの抵抗もなく喉を通り、カッと熱いものに浸る余韻もなく消えてしまう。
次に氷を2つ3つ入れ、軽くステアして味わい、「ヒトリモン」と顔を見合わせてしまった。
「なんだこりゃ、水だな」
氷を入れただけで、全然ユルユルになってしまい、芋焼酎の醍醐味もなにもなくなっている。
「ヒトリモン」もオヤジも「森伊蔵」を飲んだことがないわけではない。
しかしはるか以前のことで、その時も別段あまり感動などしなかったが、確かに「ヒトリモン」とオヤジのファースト・インプレッションは間違っていなかったのだ。
香りを楽しむ酒「森伊蔵」は、ストレートで飲まなきゃ意味がない。
水割りなんぞで飲もうなんて、ヘナチョコのすることだ。
そんな輩は2万も3万も出して買うがいいのだ。
どっかの悪徳政治屋に建設業者が「これでひとつ何ぶんよろしく」と、「森伊蔵」の箱にゲンナマを忍ばせて贈る、現代版“越後屋”に使われるような酒だ。
そんなものをありがたがってはいけない。
庶民は正しく「普段飲みの芋焼酎」を選ぶべきなのだ。

まてよ、それともオヤジたちの口が、安っぽくできているのかね ??

気を取り直して、つづいて泡盛「泡波」。
これは以前「ヒトリモン」から100mlのミニチュア瓶をお土産にもらって飲んでいる。
でもこれも、正直それほど美味いとは思わなかった。
地元では千円ちょっとで売っていたものが、最近ではTシャツと一緒、他のお土産と一緒じゃないと買えないような抱き合わせ販売もしているらしいし、島人が仕舞い込んで小出しにしているという噂があったり、他の島へ持っていくと倍の値段に跳ね上がるとか、小さな蔵で生産量が限られているとはいえ、「森伊蔵」以上に尋常じゃない価格設定で売られている。
だれだか知らないが、仕掛けたヤツはほくそ笑んでいることだろう。

あらためて飲んでみたが、ごく普通の泡盛だ。
クースでも無濾過でもなく、普段飲みの普通酒だ。
これを何万も出して買う気にはとてもなれない。
「ま、ちょっとでいいや。いつものちょうだい」
と「ヒトリモン」。
なにが、いつものだ。
自分で持ち込んだ泡盛をキープしやがって。
でも、たしかに彼の持ってきた無濾過の泡盛の方が、数段旨い。

頂いておいて言うのもなんだか悪いが、“幻”はまぼろしのままにしておいた方がいいこともありますな。
まあ、こけおどしには使えるので、ボトルだけはありがたく飾っとくとしようか。



15:32:38 | mogmas | | TrackBacks