June 08, 2007

三十路焼

  
どこのどんな人間も避けて通れないのは“歳をとる”ということ。
人は生まれた時から“死”へ向かって歩みだす。
途中で強制終了したり、不慮の災難や病に見舞われないかぎり、まちがいなく“その日”がやってくるのである。
その日を不幸と考えるか、「やったぁ、これからだ」と考えるかで後の人生の見方が変わってくるのだ。

“その日”がきた女が独り、カウンターで「森伊蔵」と「泡波」のボトルを前に、喜々としてグラスを傾けていた。
彼女は「今日は行くぞぉ ! 」という構えでいつもやって来るので、何を食べようか真剣にメニューとにらめっこする。
「う〜ん、全部制覇したかなぁ・・・」とつぶやいたのを、オヤジは聞きのがさなかった。
彼女の背丈は「ミニモニ。」級で、まだ高校の制服が着れると“ほざく”ほどノリはよく、よく食べよく飲みよく笑う、天然「娘 ? 」だから、“その日”のお祝いに、思いつきでお好み焼きを焼いてあげることにした。

三十路焼 ?
三十路焼 ? posted by (C)084-jan

薄い生地を3枚焼き、それぞれ味の違うソースをぬり、3段重ねにした中に、トマト、コーン、ベーコン、オニオンスライス、大葉、山芋のソテーを挟み込んだミルフィーユ仕立てのお好み焼。
最後にハート形の目玉焼をのせて完成。
題して「三十路焼」、なんちゃって。

三十路の女が三十路焼を切る
三十路の女が三十路焼を切る posted by (C)084-jan

味の方は保証の限りではなかったが、「三十路の女」は「三十路焼」を切っては食べ、切っては食べ、完食した。

ノリのいい「三十路の女」は、当店ではわけあって「とっくりさん」と呼んでいる。




13:54:45 | mogmas | | TrackBacks