June 09, 2007

真夜中の交番に、おまわりさんを呼び出して・・・

  
おまわりさんは日夜忙しいのだ。
悪者やヘビを捕まえたり、怪しい酔っぱらいに職質かけたり、休む間もなく自転車で走り回っているのだ。
“カトちゃん”みたいな“ヘックション ! ”なおまわりさんなんて、もうとうに絶滅してしまったのだ。
だから深夜1時半の交番には、鼻ちょうちんを膨らませて居眠りしているノンキなおまわりさんなんているはずないのだ。
そうと知りつつ、オヤジとかあちゃんは千住旭町交番に向かった。

ほんとうはちょっと面倒くさかったし、酔っぱらっているから、あらぬ疑いをかけられて、やってもいないことを白状したり、過去の悪事をほじくりかえされたり、痛くもない腹を探られたり、酔った勢いでおまわりさんをいじってしまうかもしれないし、できることなら警察関係の建物に出入りしたくはなかった。
だが、こんなオヤジにだってちょっとした正義感はあるし、まっとうな ? 市民としての義務を果たすこともある。

交番には案の定おまわりさんはおらず、仕方がないのでデスクの上に載っている千住警察との直通電話の受話器を取り上げて、相手が出るのを待った。

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ややあって、眠たそうな声のおまわりさんが「はい、どうされました ? 」と、かた通りの質問をしてくる。
交番の天井の隅には、監視カメラがしっかりオヤジを見つめている。
「携帯電話を拾ったんだけど、ここに置いていってもいい ? 」
「ああ、いやぁ、それはちょっとまずいですね・・・」
ほらきた、待たされちゃうんだぁ・・・。
「ちょっとお待ちください。パトロールの警官を呼び出しますので・・・、はい、旭町のPB、ブッ、エッ、そうです、ブッ、はい、はい、わかりましたぁ・・・ブッ、えー、もしもし」(注: ブッ、はおならの音ではなくて、無線の音ね。念のため)
「はいはい」
「えー、申し訳ありませんが3、4分お待ちいただけませんか ? 」
「まあ、しょうがない」
「すいません。大至急向かいますんで・・・」

待っている間、監視カメラにあっかんべーしたり、千住警察の内線電話の番号表をみたりしてヒマをつぶした。
やがて、白いおまわりさん専用自転車ではなく普通の実用車で到着したおまわりさんは、若く、爽やか系だがやや眠そうな好青年で、さっそく書類を取り出し、オヤジの所番地と氏名、電話番号を尋ねた。
オヤジにやましいことはないのだが、若干ためらい、かた通りの受け答えをして書類にサインした。

以前、小僧が携帯電話を落としたとき、拾って交番へ届けてくれた親切な人に感謝したことがあったので、オヤジもそれに習ったのだ。
落とした人はさぞや戸惑い、慌て、不安だろうと想像できる。
諦めかけた携帯が出てきた時の安堵感は、経験しているのでわかる。
しかし、相手からの電話やお礼などを求める気はさらさらないので、すべての権利を放棄するということで手続きは終わった。

無罪放免(そりゃそうだ。なんにも悪いことをしていないのだから)で交番を出たのは、深夜2時10分前くらいだった。
千住警察にまたしてもたっぷり「足あと」をつけて、善良な市民の酔っぱらいは、帰路についた。
だが、かあちゃんがいなかったら状況はどう変わっていたかわからない。
ひとりで交番にいる深夜の酔っぱらいは、客観的に見てもかなり怪しい。
もし、若く、爽やか系の眠そうな好青年のおまわりさんじゃなくて、マル暴系のゴツイ警官だったらどうだろう。
腕力と権力を匂わすような輩は大っ嫌いだから、ヘンにひねくれて事が荒立ってしまうかもしれない。

う〜、まったく、帰り道だってうっかりしてらんないね。
すっかり酔いが消えてしまった。



10:07:00 | mogmas | | TrackBacks