September 18, 2007

う〜ん、寝てみたい

  
ばあさんもかあちゃんも出かけていたお昼前に、宅急便で大きな荷物が届いた。
かあちゃんの名前とテレビの通販番組で見かける会社名が印刷された送り状が貼付けてあるその箱は、90センチ四方のでかさだが、その割にはさほど重くない。
どうせまた大量にパンツでも買ったんだろうと思ったが、それにしちゃ箱がでかい。
ま、どっちにしてもおばさん向けのだっさい服とか下着なんだろうと、もう関心も無くその辺に箱を放っぽっといた。

夜仕事から帰ってきた時には、もうその箱のことも忘れていた。
かあちゃんも何一つ言わないし、こっちも聞きもしない。
風呂上がりに林檎と格闘して、目も肩もくたくたになって寝室に上がると、かあちゃんはすっかりご就寝だった。
テレビのリモコンを握りしめて力つきたような格好で寝ていることが最近多いのだが、今夜はちゃんとテレビを消して、スヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。
ん ? 、なんだかあちゃんの布団が一段高くなっているではないか。
牢名主のようにオヤジのセンベイ布団を見下し、真新しいシーツもいかにも快適そうだ。

その瞬間、忘れていた箱の中身と布団がピピッとつながった。
コイツか、この気持ち良さげな布団が入っていたのか。
布団に手を伸ばし、そっと押してみる。
フンワリと沈むこの感触は、低反発マットレスではないか !!! 。
ずっるーい !!
自分だけ密かにお買い求めになりおって、内緒にしやがってからに、クソずるーい !!
ちっくしょう。
布団から蹴落として奪ってやろうか、大音量でテレビをつけて起こしてやろうか、背中に氷でも入れてやろうか・・・・。
このような快適な布団が本当に必要なのは、万年肩コリコリちゃんのオヤジに他ならないのは承知しているくせに、くっそう、低反発にちょっと反発。

いいんだ、もういいんだもーん、拗ねてやる、センベイ布団で爆睡してやる。
どうせ安物買いの見せかけだけの商品にちがいない。
本物のテンピュールであるわけがない。
よーし、オヤジも対抗して密かにおこづかいを貯めて、最高級の憧れのウォーターベッドを購入してやる。
そしたら、「一度でいいから寝かせてほしい」と言われたって寝かせてやるもんか。
見ておれっ !!

翌日になっても、そのまた翌日になっても、かあちゃんは「寝心地を試して見る ? 」とは一度も言わない。
そればかりか「2枚目からはちょっと安く買えるのよ」と挑発気味に言う。
そして毎晩牢名主様から見下ろされるようにして、オヤジの浅く短い眠りは続くのである。

15:58:16 | mogmas | | TrackBacks