September 06, 2007

かあちゃんの里帰り

  
昨日の朝、かあちゃんが九州に帰った。
北千住の駅前から羽田までの直行バスが出ているので、以前と比べるととってもラクチンだが、飛行機で熊本まで飛び、そこからバスで3時間余り、ハワイよりも遠い天草までの道のりは相変わらずだ。

かあちゃんが急遽里帰りすることになったワケは、82歳になるばあちゃんの胆嚢やその周辺に、石がたくさん発見され、手術して取り除くために入院したからだ。
うちのばあさんの時は、それほど大げさでなく、開腹せずに外からレーザーで破壊できたのでよかったが、ばあちゃんのはかなり厄介らしく、腹を切らなければならなくて、生まれて初めての手術に緊張しまくりだというのだ。

ばあちゃんはものすごく早口の天草弁の使い手で、かあちゃんですら時々聞き取れないほどなのだが、すっかり気落ちして言葉数少なく、
「恐ろしかぁ・・・・」
と呟くのだそうだ。
それは手術そのものの恐怖ではなく、麻酔から目覚めた時に誰もいなかったらどうしようという「恐ろしさ」らしい。
命に別状はないとは云われるものの、大正11年生まれのじいちゃんも入院中で、アニキ達の嫁さんがついてくれるよりも、やはり実の娘が側にいてくれるという安心感が一番なのだ。

というわけで、予定では来週の月曜日まで、モグランポはオヤジひとりで営業します。
ちょうどいい塩梅で台風なんぞが迫って来ちゃって、ほんと「どうもならんばい」。


15:19:18 | mogmas | | TrackBacks

でっかい父ちゃんとちっちゃい母ちゃん

  
店を開けてすぐに、「でっかい父ちゃん」がお盆にお皿を2枚のせて入って来た。
なんと、上半身裸だ。
「いやぁ、暑くてさあ。服なんて着てらんないよう」
そう言って笑う。
お盆を置き、
「いつものやつね。7時頃お願い」
代金を頂くと、杖をつきつき帰って行った。
だいたい月に1度の割合で、そうしてテイクアウトをしてくれる。

店の前の路地をずーと奥へいった所に、「でっかい父ちゃん」と「ちっちゃい母ちゃん」の家がある。
「でっかい父ちゃん」は元・国鉄マンで、腰が曲がった今でも身長は175、6センチはありそうだから、若かりし時は180センチを超えていたかもしれない。
保線の方の仕事をしていたらしく、身体つきはがっちりとして、手も大きく声もバリトンだ。
なんでもカラオケ教室に通っているということで、演歌大好き、キャンペーンで町場にやって来る演歌歌手の情報通で、追っかけが楽しいんだよと話してくれた。

かたや「ちっちゃい母ちゃん」は、身長は140センチ余り、いつもニコニコと話し好きで、大股で歩く「でっかい父ちゃん」に合わせてチョコチョコと歩いていく姿が微笑ましい。
ふたりとも東北訛りがあるから、同郷なのかもしれない。
どこへ行くのもふたり一緒で、たまに「でっかい父ちゃん」はバシッと和服をきめて、シャッポをかぶった粋な姿を見せてくれる。
「ちっちゃい母ちゃん」もお化粧をして、とても嬉しそうに出かけて行くのを何度か見送ったことがあった。

先月、いつものテイクアウト「モダン焼」と「そばめし」を注文する時に、「でっかい父ちゃん」はもう一品「明石焼」を加えて、しかも「そばめし」の回りに「明石焼」を並べてほしいと言った。
ワケを聞くと、その日が「ちっちゃい母ちゃん」の誕生日だそうで、いつもと違うことをしたかったんだそうな。
ではと、たまたまあったケーキ用のロウソクを差し上げると、子供のようにうれしそうに笑った。

かあちゃんは出前する度に、「でっかい父ちゃん」からカラオケを誘われたり、上がってお茶飲んでけと口説かれている。
演歌歌手の街頭キャンペーンに誘われたこともあった。
「ちっちゃい母ちゃん」からも「一緒に行こうよ」としょっちゅう言われるらしい。
何はともあれ、とっても気さくで、素敵なご夫婦なのはまちがいない。
そのうち一緒にカラオケに行ってみるのも面白いかもしれない。
千住に何年住まいしているのかは知らないが、もはやすっかり下町の父ちゃん、母ちゃんだ。
いつまでも元気でいてほしいと願うばかり。



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