過去ログ倉庫

親不知のリサイクル

人の体には無駄がない。

糞尿だって肥料になるし、爪の垢だって煎じて飲めば、馬鹿野郎には効くかもしれない。

何の取り柄もなさそうな親不知も、リサイクルすればまだまだ役に立つのだということを先日行きつけの歯医者さんで知らされた。

今年の始めに抜いた右下の奥歯のあとは、長らく穴ぼこが空いたままになっていて、まともに噛むことができず、早いとこなんか入れてほしかったが、銀歯や金歯はイヤだったし、隣の歯にブリッジをかますのも年寄り臭くってスッキリしないから、いっそインプラントにしてほしいとお願いしていた。
顎の骨がそれに適応しているか、レントゲンを撮って確認してもらったところ、なんと、親不知がちょうどいい感じで収まりそうだとわかり、急遽親不知の移植手術が決まった。

どうせいずれは抜くことに決まっていた親不知だ、日陰の身が一歩前へ出て役立つというのなら、願ったりかなったリじゃぁないか。
まさに、捨てる神ありゃ拾う神ありとはこのことですな。
高額のインプラントと比べると、約1/30の金額で自前の歯が利用できるなら、それにこしたことはない。
そんなことが可能なんて、まさか思いもしなかった。
どうですかと院長先生から問われて、「ああもうぜひ。とっとと抜いちゃってください」と二つ返事。

子供の頃は歯医者さんが恐くて仕方がなかったけれど、最近じゃぁすっかりリラックスして、歯を削られる音が子守唄のようで、ついウトウトして起こされるほど恐いもの知らずになっていたから、親不知の抜歯といっても別段びびることもなく、インプラント代が浮いたことの喜びの方が勝っていた。

当日。
一応手術ということで、先生以下若いお姉さんの助手が２人ついて、まずは麻酔の注射をバシバシ打たれ、恐くはないが気持ちの悪い、ペンチでグキグキ抜く音が聞こえるかと思いきやさにあらず、拍子抜けするほどあっけなく、何の取り柄もなく歯の奥に収まっていた親不知は抜き取られた。

抜歯された親不知は生理食塩水に浸され、根っこが乾かないように処置され、続いて、メスで歯ぐきを切って回りの掃除をし、さらに歯を埋め込む穴を空ける。
麻酔で痛みは感じないが、いやぁな感じはする。
口の中にネバネバした血が湧くので、バキュームされ、時おり舌までズキュッと吸われて“あへっ”となる。

一通り下地が整うと、スーパーボンドだかウルトラボンドとかいう接着剤を塗られて、整理食塩水で気持ちよくなっていた親不知が穴の中に埋め込まれた。
噛み合わせを確かめ、隣の歯を削り、穴をさらに掘り、ようやく親不知はレギャラーの歯列に収まったのである。

最後の仕上はメスで切り開いた歯ぐきを縫合するのだが、口の端と歯ぐきを糸がスルスル這って縫い合わされる感触は、これまた痛くはないがいい気持ちはしない。
なんだか、釣り上げられた魚になったような気分だ。
口の中を血だらけにして約1時半、親不知のリサイクル手術は終わった。
これでしめて7千円とちょっと、リーズナブルだ。

止血の綿を噛み、右半分だけの中途半端な昔の「宍戸錠」みたいになって、今後の説明を聞いた。
一週間硬いものは食べてはならず、手術箇所は歯磨き禁止、食後3回化膿止めと痛い場合は痛み止めを飲むこと。
一週間経過後に抜糸、移植箇所の調整が行われる。
ではお大事に、てなもんだった。

もっと大げさなことになるのかと思ったら、以外と呆気なかった。
この先生、けっこう腕がいいのかもしれない。
少なくとも手際はいいし、冷静だと感じた。
それに、歯科助手の女の子たちもべっぴんさん揃いだし・・・。

かくて、摂生中の超少食オヤジは、さらに固形物の食べられない身となったのである。
どっちにしても、手術後夜9時を過ぎても口の中の血は止まらず、ネバネバと気持ち悪く、うがいをしたら固まったスーパーボンドだかウルトラボンドのかけらが出てきたりして、とても何かを食べる気にはならなかった。
結局その日は、朝ジューサーで作った野菜と果物のミックスジュースのみで、夜の体重は62.1キロに落ちた。
先日小僧の体重を抜き去ったばかりだが、早くもかあちゃんの体重までもロックオンした。

翌朝、案の定体重は61.5キロに降下、もはや目標体重まで3キロ余り。
おそらく、この一週間で目標達成すると思われる。
これは天恵に違いない。
早く人並みになって、酒の海を泳げるようになれ、というバッカスの神の思し召しなのだ。
喜んで !!
まっててね、生ビールちゃん、ウイスキーちゃん、焼酎ちゃん、日本酒ちゃん、いろんなお酒ちゃ〜ん !!!

大福とナポリタン

　　
こんにちは、潛野夢増です。

毎年この時期になると銀座のチャンスセンターは長蛇の列で、それも験をかついで１番の窓口に並ぶ善男善女か慾深者が後を絶ちません。
皆様、暑いのにご苦労様でございます。

さてワタクシ潛野夢増も、富クジ様におすがりしたい者のひとりで、過去の栄光、夢よもう１度とばかり、所定の場所にいそいそと夢掘りに出かけたのでございます。
ワタクシの夢掘りの穴場は、新橋は烏森口。
過去12年ほど、ここからエントリーさせて頂いておるのでございますが、人生たった一度の運をすでにつかいはたしてしまったのでありましょうか、最近は泣かず飛ばすの落ち目の三度笠。
それでもエントリーしないことには話にならず、本日も「ピンクの売場」で大枚を叩いて富クジを購入したのでありました。

実は密かに今年は“いける”と予感しておりますのは、積年の悪行が祟って医者通いをしているものの、摂生に節制を重ねて体調は改善されつつあり、この暑い最中冷たい泡も控えているなんて、この30年なかったことなので、これは天の神様に願いが届いてもよさそうだと思っているからでございます。

ふと見ると不信心者のかあちゃんは、ワタクシが口を酸っぱくして言っているにもかかわらず、月並みなチャンスセンターに並んでいるではありませぬか。
しかも1番窓口がすいているのに、わざわざ見当違いの列のしんがりについて・・・。
かあちゃんは、ワタクシが過去に引当てた栄光にすがる、天草の兄貴たちの大量買いの代理人としてここに来ているのに、しばらく前から勝手に夢掘りの場をチャンスセンターに鞍替えしているのでありました。

ちょっとした辞書ほどの厚みにもなった富クジをバッグにしまいこむかあちゃんに、不実をなじると、へろっとした調子で真相を白状したのでありました。

「だって、ここで3万円以上買うと、大福がもらえるんだもん」

大福 ???
な〜んじゃ、そりゃ ?
チャンスセンターじゃそんなサービスをやって、慾深なおばさんを吊っていたのか !
たかが冷凍の大福の2、3個でたぶらかされおって・・・。

仕方なく，ニュー新橋ビルの1階にあるチャンスセンター支店 ? まで付合って、大福の受け渡し現場を確認したのはいうまでもありませぬ。
だが、そのおかげでグッときちゃうお店を発見致しました。

「むさしや」創業明治拾八年 !!

見かけはどこの駅のそばにもあるようなスタンド飯屋のようでありますが、ここのおすすめは昔懐かしのナポリタンー650円也。

どうですかこのボリューム。
具はピーマン，ベーコン，玉ねぎのみの潔い正当派。
なぜかワカメの味噌汁がついてくるが、イタリア人にはわかるまいて。

富クジを買いにきて、大福をもらうたびにこの「むさしや」さんが気になっていたというかあちゃん。
おばさんの特権、遠慮なく入ればいいのに、今まで入りそびれていた申します。
摂生の成果あって、温泉後に1.5キロ増えた体重はあっけなく落ち，ただ今62.8キロで体年齢44才に若返ったワタクシですから、ここぞとばかり喜んでお供したのであります。

長い暖簾をかき分けてハイスツールに腰掛けたとき、初心者と常連さんとではすぐに見分けがついてしまうのでご注意。
白く長いニューハーフのカツラのような暖簾なので、初心者は肩にまだ暖簾がかかったままで席につき，中途半端なオカマのような間抜けさを晒してしまいますが、常連さんはきれいに暖簾を背に垂らし、自分の居場所を確保するのです。

さて、かあちゃんは理屈抜きにナポリタンをオーダー。
ワタクシは様々なメニューから、「ソース焼そば」500円か、「酢辛丼」または「酢辛タンメン」がそそったのですが、この店では最高級のお値段の「オム焼そば」700円に決定しました。
いずれもキャッシュ・オン・デリバリーの正しい決済方法。

ウムを云わさぬこのボリューム。

このオムの中にはソースで味付けして細かくされたソバと、ご飯が仲良くおさまっているのであります。
これはもう「そばめし」の変型ではありませんか。
う〜ん、勉強になりますです。
イタリア人や、小川軒を有り難がって並んでいる向きには、理解できないでありましょうが、このボリュームでこの価格はさすがにお父さんたちの聖地・新橋ならではのグルメであります。

このようなすばらしいお店を、なぜお勤め人時代に発見できなかったのでありましょうか。
今さらながら悔やまれます。
今度からは、富クジ帰りにはぜひ「むさしや」さんのナポリタンと心しておきましょう。
そして富クジが当たったあかつきには、必ず「むさしや」さんの全メニューを制覇しようと思います。

みなさまお試しあれ。

出張温泉床屋

高湯温泉の名物「玉子湯」も堪能して、酒も飲んだし、蕎麦もたらふく食った。

帰り道に、高血圧にも二日酔いにもいいという (全然二日酔いにはなってないけど・・・) 、収穫量全国第2位の名物・桃もたくさん買い込み、JAで地の野菜などを見つくろっていたら、グッときちゃうネーミングの種を発見した。

最近野菜ばかり食べるので、いっそ自分で作ろうなどと思っていたから目に付いたのだろう。

「楽園シティYR青春二号 !!」

これがなんとアナタ、ぜんぶキャベツの種の名前ですがな。
これを育てて「青春キャベツ入りお好み焼」なんてのを焼いたら，名物になりますかいな ?
他にもユニークなネーミングの種がたくさんあったので、こんど種パッケージコレクションでもしましょうかねぇ。
名物に旨いものありかもね。

さて、久しぶりに満喫した温泉を後にして，「バーバーくん」とも福島駅でお別れだ。
今回彼に付合ってもらった目的のひとつは，オヤジの伸び切った髪の毛をカットしてもらうことだった。
だから彼は愛用の仕事道具一式を持参して，夕食後に一杯入っているにもかかわらず，洗面所に新聞紙を敷き詰め，パンツ一丁で汗だくになってオヤジと小僧の髪をカットしてくれたのだ。
いゃぁ、さっぱりして散髪後にもう一杯いっちゃいましたね。
高湯名物「温泉床屋」、これはクセになりそうだ。
「バーバーくん」ありがとう。
また、よろちくネ。

帰りの電車は偶然にもポケモン新幹線で，小僧は大喜び。
「Cちゃん」が、車内販売を「Suica」で買うとポケモンファイルがもれなく貰えることを知っていて、カードを持っていないオヤジの代わりに自分の「Suica」で缶ビールを買ってくれて、もれなく小僧にファイルが渡った。
小僧も大喜びで，オヤジも再びビールを飲めて大喜び。
そして「Cちゃん」は、この旅行の間中ず〜〜〜〜〜っとしゃべりっぱなしで、新幹線の中でもずずず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっとしゃべり続けた。
さすがに人間ドック帰りの姐さんは強い。
お見それしやした・・・・・。

この2日間で、体重1.5キロ増 !!
またこれからしばらくは、摂生生活です。

温泉水酌姐さん

　　
高湯温泉　　はとてもアクセスがいいのに俗っぽくなく、ひなびていて静かでなんにもない。

浴衣を着て温泉街をそぞろ歩く楽しみはないが、白濁した硫黄泉が豊富に湧き（「何もしない手を加えない」高湯の給湯方式を言葉で表すと「自家自噴源泉完全放流型掛け流し方式（加水加温無し）」というのだそうだ），ヒグラシの鳴き声を聞きながら露天風呂に浸るにはもってこいのロケーションで，このまま手垢がつかずにいてほしい気持ちのいい温泉地だ。

宿　　は料金の割にはとてもきれいで、従業員の人当たりもよく，アクセスの良さとお湯の良さが気に入ったので，常宿にしたいくらいだ。

チェックインしてから時間があったので，宿からほど近い共同浴場「あったか湯」で、青白く濁った露天風呂に漬かってのんびりしていたら，相次いで携帯に連絡があった。
しかし山深くひなびた温泉地ゆえ、電波の状態があまりよろしくない。
簡潔に用件だけメールして，ふたたびマッタリしていたら，絶好調の２人組が到着した。

１人は午前中から人間ドックに入って，隅から隅まで検査してベストな状態でこの地に乗り込んだ蟒蛇の女帝「Cちゃん」。
いま１人は福島から新幹線でわずか20分の仙台に住まいしている，もと浅草の「刈り魔王」こと調子コキ，何の取り柄もない自称色男の「バーバーくん」。
２人が我が家の温泉旅行に参加することになったのは、ほんの偶然のようなものだが，この２人がいて、オヤジが飲まないでいられるわきゃぁハナからないのだ。
ホテルのベランダに出て「うわっ、玉子くせぇ」と叫び、一服つけて盛大に屁をこいた「バーバーくん」と、濁り湯大好きな「Cちゃん」とともに、ホテルの温泉でまたひとっ風呂浴びた。

部屋に戻ってくると，先に出たばあさんと「Cちゃん」がすでにビールで一杯やっていた。
来る直前まで調子が良くないみたいなことを言っていたばあさんは、オヤジがすすめても飲まなかったくせに，お気に入りの「Cちゃん」とは喜んで飲むのだ。
これは遅れてはならじと、「バーバーくん」と駆けつけ一杯、そして2本，3本とビール瓶を空にするのであった。

そうこうしているうちに夕食の時間になり，食事処で仕切り直しの生ビールで乾杯。
久しぶりのお食事をつまみに生ビールをおかわり，夕食後に部屋へ戻って再びビールを飲み，「バーバーくん」持参の日本酒になだれ込んだ。
「ビールの次はビール」の女帝は、一応オヤジの身体を気遣ってくれるようで，
「水を飲みなさい。酒の次は水を飲め」
とコップに水を注いでくれる水酌姐さんになり、その合間を縫って「バーバーくん」が酒を注ぎ，酒を飲み水を飲み，水を飲み酒を飲むという、身体にいいんだか悪いんだかわからないようなお酌合戦に、それでもいい気持ちちゃんに酔ってくる心地よさで上機嫌。
やはり温泉のあとの一杯にまさるものはない。
ま、一杯じゃないんだけど・・・。

日本酒をペロッと飲んじゃっても、まだ時間は0時前。
しかしここは自制をきかせすっぱりと部屋に引き上げて、歯を磨いて直ちに就寝。
夜中に岩手で大きな地震があり，高湯温泉でも大きく揺れたらしいが，いい気持ちちゃんのオヤジは白河夜船でつゆとも知らず，翌朝そのことを聞かされた。

♪　ばばんば　ばんばんばん　は　びば　ののん　♪

臨時休業のお知らせ・・・＆・・・

来る７月24日の木曜日は、申し訳ありませんが臨時休業とさせて頂きます。



１ヶ月と少し前、ばあさんの80歳のお祝いを兼ねて出かけた万歳・草津温泉から帰った直後、かつてないほどの体調不良に陥り、店を休んで医者通いした結果、心臓肥大を伴った「死の四重奏」が体内で奏でられていることが発覚。

厳しい禁酒と減量を宣告されたオヤジは、不様に死ぬのも惨めに生きるのもごめんだったから、30数年欠かしたことのなかった酒を絶ち、減量生活に突入した。
これもそれも、すべては再び旨い酒を飲みたい一心からの摂生だ。
ダイエットなどという，流行もんとはわけがちがう。

そして、一時は上185ー下145もあった血圧は、現在までの平均で上127ー下87まで下がり、73キロを超えていた体重も10キロ落とし、ただ今63キロを下回る勢いで爆走中。
自宅で計れる数値は目に見えて下がっているが、さて体の内部はどれくらい変化しているのだろうか？

満を持して昼間病院へ行き，先日のトレッドミルや，もろもろの検査の結果を聞いた。
心電図を見た「ヨウコ先生」の診断は，少なくとも「虚血性心筋症」の線は消してもよさそうだと言うことだった。
しかし、依然として不貞腐れて態度がでかくなっている心臓ちゃんは、「高血圧性心筋症」を患っていたのだろうとのことで，辛抱強く改善していく必要があると言われた。
ただ、血圧が下がっていることは間違いなく，このまま3ヶ月，半年経過後に落ち着いていれば，薬も減らせるし，普通の生活（だから普通ってなんなのさ ? ）がおくれるのだと言う。
言いつけを守った良い子の患者に、心なしか「ヨウコ先生」の態度も軟化しているようだ。
ほうら、数値が下がると覚え目出たいと言ったでしょ。
しめしめ・・・。

ともあれ、家族全員＋英国帰りの調子コキまでも巻き込んだ体調不良は、少しは改善されたようなのだ。
そこで、前回の温泉のリベンジに出かけることにしたのであります。
（まいどまいど前置きが長いって，はぁ、すんませんね・・・）

お湯はもちろん前回同様の濁り湯、白濁した掛け流しに限ります。
今度こそ、“医者いらず”の温泉効果を堪能したい。
それと、長らく我慢していたビールを、少しだけ解禁しょうと思っているのであります。

温泉入って一杯も無しじゃ、何のために生きてるんだかわかりゃしない。
ほろ酔いぐらいなら、きっとバッカスの神も「ヨウコ先生」も許してくださるのだ。

と，言うワケで言いワケしつつ，いつものように、温泉レポートは現地からしたいと思います。

では。