January 31, 2008

巡り合わせの悪さ ?

  
最近、お昼の外食が多くなってしまった。

朝から現場に入って(引き渡し前だから、まだ自分の店ではない)、そのままずっとバタバタやっているため、いったん家に帰って食事をして戻ってくるというその時間すら惜しいためだ。
食べる物といえば、手っ取り早く食べられる蕎麦や中華やテイクアウトのファーストフードなどで、正直もうどうでもよくなっている。
しかし、腹減りと借金取りは確実にやってくるわけで、一息入れて仕切り直さないと煮詰まってしまうのも事実だから、「どうしようか ?」とかあちゃんと顔を見合わせてため息をついている始末。

日曜日のこと。
「腹へったー。飯にしましょうか ! 」
半泣きのような顔で、小僧が現場にやって来た。
時計を見ればもう3時を回っている。
朝から何も食べていないオヤジは、さすがに腹が減っていることに気付いた。
放ったらかしにされた小僧が文句を言うのも当然だ。
そこでまたまた外食することになった。
ちょうど東急ハンズで買う物があったので、丸井の下のフードコートでササッと何か腹に詰めてしまおうと出かけてみた。
しかし腐っても日曜の昼下がり、フードコートは超満員で騒がしく、席があくまで待って食べようとはとても思えず、すごすごとそこを後にし、表へ出たところで吉野家に目がいった。
どうする ? と聞くまでもなく、小僧は食べる気満々だ。
かあちゃんは狂牛病以来食べていないと、ちょっとうれしそうだ。
3人並んでカウンターについた。
でも、それが間違いだった。

「早い、安い、うまい」のキャッチコピーは、BSEとともに消えてしまったのだろうか ?
5分待っても牛丼は出来上がってこない。
すると店員が表に立って、入ってこようとする客にこう言った。
「すみません、ご飯が売り切れてしまって、いまちょっと召し上がれないんですよ」
なにぃっ !!
そんなこたぁ、ワシらが入る前に言えよ。
てことはなにかい、ワシらの牛丼ちゃんはどうなっちゃうんよ。
厨房をみれば、腕組みした店長らしき男と店員2人が炊飯器を囲んで難しい顔をして立ちつくしている。
ええいっ、もういらんわい !
オヤジ1人だったらそう言って席を立っただろうが、すがるような目をした腹減り小僧がいるので、仕方なくおとなしく、がっかりと座っていた。
15分後、牛丼が目の前に置かれた。
一口食べて、後悔が高波のように襲ってきた。
ぜんぜんうまくない。
べちょべちょのご飯は蒸らしが足りず、べちょべちょなのに芯がある。
ご飯のツユだくなんて、まったく有り難くない。
久しぶりに食べたのに、なんでこんな仕打ちを受けなければならないのだ。
味よりも食欲の方が勝っている小僧にほとんどをあげて、怒る元気もなくお茶をすすった。
ご飯が売り切れちゃうほど繁盛して、こらまたよござんすね。
しかし、なんて巡り合わせが悪いんだろう・・・。

またある日のこと。
駅ビルに入っている和食系のお店で。
真ん中にディスプレーのある大きな相席のテーブルに座った。
オヤジたちのすぐ斜め向かいに、ビル・ゲイツを和風にしたような顔の男性が座った。
彼は度の強い眼鏡でメニューを入念にチェックすると、日替わり定食を頼んだ。
そしてどこか楽しげに、指先で空中に何かを描くように振りながら小声でブツブツつぶやいている。
どんな仕事をしているのだろうか ?
タイプ的には、よく言えば学者のような、数学の教授のような、悪く言えばマザコン・オタク・ヒトリモンのような、いずれにしても真面目な感じの30代後半から40代前半と見受けられる。

しばしマン・ウォッチングをしていると、オヤジたちの注文の品が出てきた。
同じテーブルについていた他の人たちのオーダーも出されたが、そのゲイツさんの日替わり定食だけが一向に出てこない。
こちらが食べ終わる頃になっても、ちっとも彼の日替わり定食はお出ましにならない。
店の従業員がお茶のおかわりを注ぎにやってくるが、彼の日替わり定食に疑問を持たずに去ってしまう。
さすがにゲイツさんの顔にも不審な色が出て、次に従業員が回ってきたときに小声で何事か告げた。
そして待つことしばし、従業員が「申し訳ありません」とマニュアルのお詫びをして、彼の日替わり定食を持ってきた。
じっと待ちわびた日替わり定食を見つめるゲイツさん。
と、ため息をひとつ、日替わり定食にひと箸もつけずに、席についたときとは打って変わった機敏で断固たる動作で伝票を取り上げ、真っ直ぐレジに向かった。
レジの店員に何事か訴えるゲイツさん。
彼が財布を取り出した様子はなかったから、きっと「ざけんな、このっ ! もう二度と来るかこんな店」的な不満をぶつけたのかもしれない。
レジの店員と年かさの男性の店員が、ゲイツさんの座っていたところに顔を向け何事か話している。
取り残された彼の日替わり定食を、店員が首を傾げて下げる。

オヤジとかあちゃんは思う。
彼が何をしたというのか ?
ちっとも悪いことをしていないのに、なぜそんな仕打ちをされてしまうのか。
気の毒で、巡り合わせが悪いとしか言いようがない。
チェーン店のマニュアルの飲食店ではありがちなミスだが、当事者はたまったもんじゃない。
これは教訓である。
我がモグランポでは、そのような巡り合わせの悪いお客様をつくってしまてはならない。
ミスは多々あるかもしれないが、誠心誠意、アニュアルでないサービスを提供することを旨とすべし。
以上、肝に銘じるべし。

しかし考えてみると、今もっとも巡り合わせの悪いのはモグランポかもしれない。
なんにも悪いことをしていないのに、こんなに工事が遅れているのは、巡り合わせが悪かったとしかいいようがない。
つくづく思い、ため息をつく深夜1時36分現在なのである。

 



01:40:26 | mogmas | | TrackBacks