April 30, 2008

こちょこちゃんから熱いチューをされた夜

  
若い娘は気まぐれだ。

“女心と秋の空”どころか、年がら年中気まぐれで、男心を傷つけるのだ。

およそ1年ちょっと、会うたびに泣かれ、顔を背けられ、拒否され続けてきたが、ようやくオヤジの魅力に目覚め、彼女は笑顔を振りまいてくれるようになった。
そうなるともうムチャクチャ可愛くて、なんだって許せちゃうグニャグニャオヤジになってしまう。

この世に産まれて1年ちょこっとの女の子に、疲れ切った心も身体もホンワカ癒されていく。
まさに ♪ 無条件幸福 ♪

ママのしつけがよろしいようで、口に手をあててお上品に“オホホホ”な感じで笑う。
それがまた愛くるしくたまらんのです。

かあちゃんはもう前々から「バァバ」の気分だったが、もうこうなったらオヤジもいっそ「ジィジ」と呼ばれたい。

「こちょこちゃん」が笑ってくれるなら、どんなオバカなことでもやりませう。
「おちょこ」パパがこの幼子を叱ったら、「ジィジ」がとっちめてやる。
嗚呼、親バカならぬ「ジィジ」バカ・・・。

で、極めつけはホッペに“チュ〜〜”だ。
もうメロメロでございまするぅ。

ありがたいことに、結婚前から店に来てくれて、夫婦になって子供ができてからも来てくれる常連さんが何組もいる。
来るたびに子供が成長している様が見られ、疑似“孫”体験ができてとてもうれしい。
この子たちが店でアルバイトをしてくれるような歳になるまで、あと10年、20年、店を続けられるだろうか ?
“おかえり”と、あと何百回迎えられるだろうか ?


「こちょこちゃん」の熱い“チュ〜〜”ですっかりいい気分になっていた夜が、この後一瞬で生臭い現実に取って代わった。

「おちょこくん」ファミリーがお帰りになった後、カウンターに4人の男性が陣取った。
漏れ聞こえる話の内容から大手ゼネコンの社員だとわかったが、サラリーマンの話に口を挟むような野暮なことはせず、ただ黙々と仕事を続けた。
だが、その中の1人の男性の視線が時おり、オヤジに何か言いたそうに向けられるのを感じていた。
よく飲み、かつよく食べていた4人の会話が一段落、だれかがトイレに立ったその間隙に、件の男性が口を開いた。

「マスター、こちらの設計は○○設計ですよね ? 」

一瞬なにを言っているのかわからなかった。

「こちらの店舗の設計施工は○○設計でやられたんですよね ? 」

「はぁ、まあそうですけど。それがなにか ? 」
「じつは、私の自宅も今○○設計でやっているんですけれど、もうかれこれ1年もかかってまして、すっかりまいっちゃって・・・」
「1年 ? お住まいで、ですか ? そりゃずいぶん長い。よっぽど大きな家なんですか」
「いえ、お恥ずかしい話、16坪そこそこなんですれど、やり直しばっかりでちっともはかどらなくて・・・」

うわっ、なんという巡り合わせ。

詳しく事情をきけば、多摩の方に自宅を新築するために、1年前に近所の「○○設計」に依頼したところ、担当の女性(モグランポでもトラブルの火種になった彼女 !! )のミスやら、業者の不手際でやり直しの連続だったが(こちらも当店と同じく設備とクロスだ)、仮住まいの費用もかさむので、半年前に工事半ばの家に移ったのだそうだ。
そうなってからも工事は中途半端で遅々として進まず、きちんとやっている業者からも不満が漏れ、男性の勤務地が千住だということから、モグランポのことを聞いたのだそうだ。

やっぱり。
モグランポの工事でさんざん煮え切らない受け答えと、予定の立たない中途半端な工事をしていると思ったら、やはり他の現場でも同じトラブルを抱えていたのだ。

「なぜ1年も我慢していたんですか ? 」
「いやぁ、取りあえず同業者でもあるし、職人の立場もわかるので、その、つい、長くなってしまい・・・」

人が良いのか、余裕があるのか、とにかくオヤジだったら完全に切れまくっている状況だ。
絶対に妥協せず、損害賠償を請求すべき、と妙な連帯感で励まし合い、その男性はお帰りになった。

そうは言っても当店も、3月15日に見切り発車で開店して、約束では3月末までに残工事を終わらせる予定だったが、なんのかんのと言い訳して延び延びになり、ようやく4月の16日に工事が終わった。
昨年の11月24日に締めて以来、実に4ヶ月半もかかったことになる。

人も仕事もひとつ歯車が狂い、見え透いた言い訳で取り繕うと、どんどんよくない方向に走り出してしまう。
武士の情けで「○○設計」の実名は晒さないが、そんなしょうもない仕事をする人たちじゃなかったのだ。
どこでどう曲がってしまったのか、一度狂った歯車を戻すには、相当な代償が必要だ。

工事の残金はまだ支払っていないが、正当にかかったものは支払う。
だが理不尽なものは断固拒否する。
そのうえで損害賠償も請求してやるつもりだ。


大人の生臭い現実に、天使のような「こちょこちゃん」の熱い“チュ〜〜”はすっかり冷めてしまった。

あのね「こちょこちゃん」、今度きたときにまた「ジィジ」のホッペにお願いネ。
近頃ちょっと辛いことが多くてね。
癒してくださいね。
ヨロチク・・・・。



14:01:40 | mogmas | | TrackBacks