June 06, 2008

muscle heart


すぐ効くよく効くと処方された睡眠薬はぜんぜん効かず、胸がムカムカし、首の後ろを鈍器で殴られたような不快さを伴い、眠れずに迎えた朝、フラフラしながら2度ほど吐き、顔を洗って気合いを入れて、いざ出陣。

長いこと休んでしまったが、常連の皆さんの顔を見てホッとし、心配のタネの生ビールを積極的に飲んでくれたのでさらに安心した。
一昨日は汗もかかず、頭もボヤッとしていて口もあまり回らなかったが、昨日はかなり回復して、オバカな冗談も言えるようになった。
ビールも美味しいと感じられて、調子に乗って「akkoちゃん」が持ってきてくれたユンケルを焼酎で割って飲んじゃったりして、検査をひかえてるっちゅうに、相変わらずなオヤジでした。

でもこんなオヤジを気遣ってくれて、みなさんどうもありがとう。


そして、本日。
またまた眠れずに迎えた、朝9時。
病院で心臓のエコーを撮られた。

予約しているので待つほどのこともなく、すぐに殺風景な6畳間ぐらいの広さの検査室に呼ばれた。
壁際に診察のベッドが置かれ、シャツを脱いでTシャツをまくり上げて横になると、シャ〜ッとカーテンが引かれて4畳半ぐらいに狭められ、照明が仄暗くなった。
検査技師は40代、ひょっとするとオヤジの側に近い年格好で、人の心配よりも髪の毛の心配をした方がよさそうな逞しい腕の男性。
ベッドの端にちょっこっと腰を下ろし、横向けになったオヤジの裸の胸にヌルヌルするものを塗りたくり、エコー装置のスキャナーというか、ジョイスティックのようなものをグリグリと押し付ける。
半袖の白衣から剥き出した逞しい腕の生温かさが、いやでもオヤジの横っ腹に感じられる。
横抱きにされたような格好で、胸の周辺をグリグリされる。
CRTモニターのファンの音と、“ポッ、ポッ”というキーを押す音にまじり、

「ふん、ふん、なるほど、うーん、まてよ・・・」

などという独り合点の呟きがもれる。
片腕を邪魔にならないように頭の上に上げ、ひたすらヘンな感じに耐えるオヤジ。

朝の9時に中年男が、狭い室内で肌を触れ合わせている異様さ。
安手の風俗店を連想してしまうお下劣なワタクシ。
もしおネェな患者だったら、ちょっとときめいちゃいそうなシュチエーション。

「あん。もっとうえ、そ、そこぉ。おして、ぐりっとぉ、ぐりっ・・・・」

妄想を振り払い、横目でモニター画面を見る。
モノクロに映る心臓が鼓動するたびに、青や赤の光が明滅し、波形が上がったり下がったり。
今日も元気に心の臓は活動中。

そこでまた妄想。
もし検査技師が、若くて綺麗なお姉さんだったら・・・。
そらもう、心臓ちゃんだって張り切ってバクバク動いちゃうし、モニターはクラブみたいにチーカチカで、ジェットコースター並みに波形は急旋回だ。
思わず“延長でお願いします”なんてほざいちゃうかもしれない。
却って危険だ。
ご同輩みたいな歳の男性でよかったのだ。

だいたいにおいて、医者より検査技師の話の方が信じられる。
医者は営業トークと脅しで大袈裟に言うきらいがあるが、技術者は数値や機械が示す有りのままを脚色しないでおしえてくれるからだ。

40分ぐらいかかってエコーを終えて、検査技師が言うところによると、オヤジの心臓は血液ドロドロ、中性脂肪を貯めに貯めたあげくの「肥大」なんではなく、激しいスポーツをする選手にありがちな、「筋肉質」な心臓なんだそうな。
つまりブヨブヨの不健康な「肥大」ではなく、ガッシリした「筋肉質」=マッチョな心臓さんだということだ。(心臓に毛が生えているかどうか、聞くのを忘れた)
致命的な問題は見当たらないが、ただなんらかの原因で「不整脈」を起こしているのでしょうとのこと。
四半世紀ぶりの高熱を伴う風邪により、極度の体調不良から「不整脈」を起こしたことは間違いなさそうだが、もっと問題なのは、「ストレスをため込んだ結果」ということの方が大きいのではないかとも言われた。

「ストレス」・・・。
森高千里が嫁にいっちゃったのもストレスの原因のひとつかもしれないが、まあこう見えても、なんやかんやあるんですな、最近。
やっぱり心はバリケード、いや、デリケートなんですな。
のんびりしてください、と。
根をつめて仕事をしないように、と。
“ビールの次は、ビール”などという人にあまりつき合わないように、と。
調子コキを上回るような調子コキはしないように、と。

で、この有り様サ。画像の表示

これで「普通」に生活していいということだが、「普通」ってなによ !
15メートルの高さのビルの屋上から飛び降りたり、東京湾で水死体になってくださいという仕事を「普通」にしていたらどうするんよ。
草津温泉の湯揉みするような熱い湯に、リアクションで落ちてくださいとか、200度以上になる鉄板の前で7時間ほど仕事をすることは「普通」か ?

画像の表示携帯心電計。ほんとうはケースから出さないでくださいということなのだが、好奇心には勝てないのだ。

時刻も分かるし、24時間心臓ちゃんの動きを記録できるすぐれもの。
ただし、熱や衝撃は御法度、水にも弱いから入浴はできません。
万が一機械を壊しちゃったら、けっこう高くつきそう。
おとなしくしていた方がよさそうだ。

しかし、眠れないし、家にいるとばあさんの精神衛生上よろしくないので、思い切って外へ出ることにした。
朝から何にも食べていないが、あんまりお腹も減らない。
思いついて「ランボー 最後の戦場」を観ることにした。
映画を観て興奮して、心電図に異常が出たら、

「いゃぁ、ちょっとランボウなことをしでかしちゃいまして」

とかなんとか言いたかったのだけれど、ダメだぁ。
もう少しランボウでもよかったのに。
スタローン、老いたり !

明日の朝再び病院へ行って、装置を外せば取りあえず自由になる。
夜は営業しちゃうぞい。
なんせマッチョな心臓だもんね。
そうそうへばってはいられませんよ。
新しい試みも早く実行に移したいし。
おっと、ノンビリ、ノンビリ、ストレスをためないように。





19:59:49 | mogmas | | TrackBacks