August 01, 2008

恥じらう新妻

  
先日、2階席の予約が入っている夜に、英語ペラペラの自称女子大生の新妻「ヒカルちゃん」にお手伝いに来てもらった。

ほんとうにありがたいことに、気心の知れた常連さんは、仕事や用事の合間を縫って、モグランポのピンチを救ってくださる。
これはまったく、バイト代だけではかえられないご恩でございます。
これでオヤジはいつ死んでも悔いがなく・・・、ちがうか。

えー、この「ヒカルちゃん」英語はペラペラで、「ジョニー」さんと結婚する前は仕事で海外へしょっちゅう行っていたというほどの実力なんですが、さすがに若いだけあって、昔の日本の物事についての解釈は若干弱い。
だから勉強熱心な「ジョニー」さんの探究心に添えない、説明できないこともあったりする。
が、まあそれはしょうがない。
これから夫唱婦随で学んでいくことも多かろうて、それでいいんじゃないの。

問題は、彼女が「日本天然党」国際部長だということだ。
この実力は、すごい。
「日本天然党」現党首の「ヨウコリン」も、思わず肩が上がっちゃうほどの素晴らしさなのだ。
その武勇伝に聞き入り、「いゃぁ、お見事。さすが新妻」などと持ち上げていると、彼女はなぜか顔を赤らめている。
その理由も、まさに天然党なのある。

「だって、新妻って、なんだか淫微な響きなんだもん。ニ・イ・ヅ・マ・・・・、ね、なんか、こう、こっ恥ずかしくって・・・」

と、何を想像したんだか、ますます顔を赤らめる新妻「ヒカル」。
新妻のときめきも蛍の一生も、儚く短いということを、彼女はまだ知らないのが幸いである。

そんなこっ恥ずかしい新妻の天然エピソードを、ご主人「ジョニー」さんの了解のもとに、ここに披露しませう。

◎episode-1
彼女がまだお勤め人時代、広い会場に人を集め、マイクを使って商品説明をする場面になった。
後ろの人までちゃんと声が届くか、マイクテストに簡単な単語を読み上げる役目を仰せつかり、紙に書いてあるひらがなをゆっくり口にした。

「ぶどう。 きりん。 ひ・・・」

隣にいる同僚に、次の言葉を本当に読むのかと目配せするが、早く読めと顎でせかされる。

「ぶどう。 きりん。 ひーこき・・・」

首をかしげもう一度。

「ひーこき」

彼女がおかしいと信じた単語、それはまちがいなく“ひこーき”でありました。
それ以後、社内では「ひーこきのヒカル」として珍重されたのはいうまでもありません。

◎episode-2

彼女は、フジテレビの夕方やっている5分ぐらいのニュース番組が大好きだ。
6年ほど前からお気に入りで、家にいるときは欠かさず見ているという。
ある日友達が大勢遊びにきている時に、ちょうどその時間になった。
彼女は思い出したように言った。

「そろそろ レインボー 一発 始まるよ」

その番組を知っている友達は、真顔で言う彼女の顔をマシマジと見つめて絶句した。
その番組名は「レインボー発」で、「レインボー一発」ではないからだ。
それ以後、友達の間では「一発のヒカル」として通ったのはいうまでもありません。

◎episode-3

彼女が家族と、あるレストランへ食事に行ったときのこと。
メニューには彼女の聞いたことのない料理名が書かれてあった。
彼女は海外経験も豊富で、いろいろな国で数々の料理を食べているのだが、その料理には出会ったことがなかった。
彼女はそのメニューの読み方を一生懸命考えた。
英語なのか、日本語なのか、はたまた未知の言語なのか ?
英語が堪能で、帰国子女を気取ってみようかなと考えていた彼女は、ウエイトレスに急かされると、苦し紛れに、しかしスマして平然と言い放った。

「この、〜ロステーキをお願い」
「はあ ? 」
「だから、〜ん ロステーキ」
「ああ、一口ステーキですね」

彼女的には、一口は漢字でも、ん〜ろと発音すべきなのである。
ちなみに、その時の彼女の言い訳は「サイコロステーキは知ってるが、一口ステーキというものがあるのは知らなかった。紛らわしい表記をせずにサイコロで統一すべきだ」というもっともなものであった。
それ以後、そのレストランでは「ん〜ろのヒカル」としてもてなされたことはいうまでもありません。

◎episode-5

彼女はお客様としてモグランポに何年も通ってくれているおかげで、スタッフとして内側に入っても、ある程度のことは指示しなくても動けるので助かる。
伝票の書き方もお手の物だ。
しかし先日、メニューにないものが書いてあった。

「こらー」

オヤジのことを怒っているのか。
まさか他のお客様のことに腹を立てているとは考えにくい。
なにか気に障ることでもあったのかと、新妻に聞いてみた。

「あ〜、ごめんなさいコーラです。すかっとさわやか」

それ以後、モグランポでは「こらーのヒカル」として親しまれたことはいうまでもありません。

日本人でも「はあ ? 」となる天然党のニュアンスを、スコットランド人の「ジョニー」さんはよく理解して、愛すべき妻として迎えたのである。

嗚呼、麗しきインターナショナルカップル !!




11:10:00 | mogmas | | TrackBacks