June 03, 2007

海賊と蜘蛛男だリンコで人喰い主人公は僕だった

  
親爺的映画週間、月曜〜金曜までの鑑賞作品総括。

『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』

前作はあまりにも退屈でウトウトしてしまったので、次回作は見るまいと決めていたのに、あっさり心変わりしてしまったのは、それはひとえに「チョウ・ユンファ」様が出演なさっていると知ったからだ。
「ジャック・スパロウ」が死のうが生きようが、そんなことはどうでもいい。
「チョウ・ユンファ」様が2丁拳銃をぶっ放し、白い鳩の2羽でも飛んでくれたら、気分もスカッとすると思ったのだ。
が、しかし・・・・。
やはりチョウ・ユンファ」様にしても「「バットマン ビギング」の「ケン・ワタナベ」のような扱いでしかなく、たいして活躍もしないまま海の藻くずと消えてしまった。
せめてもの慰めは「キーラ・ナイトレイ」ちゃんが前作よりも可愛かったことだけだ。
ジャックの父ちゃんが「キース・リチャーズ」てのは、なによ !
もしウォルトが生きていたら、ゆるさへんでぇ。
さらば「ジャック・スパロウ」。
もう帰ってくるな。
まったく金のかかった産業廃棄物だ。


『スパイダーマン3』

テーマが重くシリアスになればなるほど、スーパーパワーを持つ登場人物たちを取り巻く細部の粗が目立ってしまうのは仕方がないことなのかもしれない。
突っ込みどころ満載でも、お約束事と静かに見守るのがマナーなのだろう。

善良なアメリカ人は、病んだアメリカ人に「許す」ことを知らせている。
憎悪は憎悪しか生まず、復讐は際限なく続き、嫉妬や焦燥で身を滅ぼすことを警告している。
アナキン・スカイウォーカーとダースベイダーの葛藤に、蜘蛛男も苛まれるのだ。

躊躇なき圧倒的なパワーの渇望に心を蝕まれる、悩み多きピーター・パーカー。
ブロードウェイ・デビューを果たすも儚く破れ、市井に紛れてしまう女優MJ。
心と身体に傷を負い、富裕でも満たされない親友ハリー。
メイ叔母さんだけが唯一変わらず、良心として若者たちを見つめている。

ブラック・スパイダーマン、サンドマン、ヴェノム、次々と襲いかかる強敵に、悩めるヒーロー「スパイディー」は、今回もズタボロの顔出しで戦う。
CGは圧巻だが、3作目ともなるとさすがに息切れがする展開に、次回はどうするんだ「サム・ライミ」 ?

『バベル』

とにかくやっぱりアメリカ人は、世界中に「許し」を請うているのだリンコ。
リンコがどうでもこの映画は見るつもりでいたのだリンコ。
なぜなら「ケイト・ブランシェット」様が出演なさっているからリンコ。
リンコばかりが注目されていたリンコ、やっぱり「ケイト・ブランシェット」様は素晴らしいのだリンコ。
それに子供たちもなかなかいいのだリンコ。
老いを感じさせる「ブラピ」が、「勝野洋」に見えてしまったのはオヤジだけリンコ ?
しかし、リンコはほんとうに脱ぐ必要があったのリンコ ?
怪しげなクラブの音と光の洪水のシーンは、かあちゃんや小僧には耐えられないと思うし、気分が悪くなる人がいたのもうなずけるリンコ。
さらに「役所広司」の役回りは、誰でもよいのだリンコ。

普段は善良な人々の、ちょっとした言動で世界は緊張し、意思の疎通が上手くゆかず、事態は険悪になってしまう。
心の原風景に響くような音楽は、どこか「パリ・テキサス」の「ライ・クーダー」を換気させ、微妙にズレながら交錯する時間軸の中で、原罪と向き合う人々の重苦しい声なき叫びが見えない糸で紡がれていく。

世界がひとつになればいいのか ?
通貨を言語を思想を統一すれば平和がくるのか ?
ちがう。
それは、神に届くべく塔を築き上げた民の虚しい理想にすぎない。
「バベル」はそれを知らしめるためにそこにあるのだ、リンコ。

『ハンニバル・ライジング』

人喰いの秀才博士が、どのように誕生したのかということに興味はある。
しかしこのお話は、単なるエグイ復讐劇の域を出ず、ひねりも含蓄もない。
まして、トンチンカンな「レディ・ムラサキ」なんて日本女性らしき人物が絡んで、
“ガイジン”好みの刀、鎧、兜をあしらい、首切りを日本から学んだみたいな展開はまったくいただけない。
「コン・リー」はきれいだけれど、中国人だって昔は首切ってたぞ。
日本人への当て付けか ?
青龍刀ではいかんのか ?
それにしても「レディ・ムラサキ」って何、せめて「エド・ムラサキ」とかにしてくれたらニヤッと楽しめたのに。
無理してでも、フルCGでも若き「アンソニー・ホプキンス」を作って描いてくれれば、それなりによかったかもしれない。
「レクター」モノに、もう後はないぞ。

『主人公は僕だった』

ハロルドは国税庁の会計検査官。
彼は過去12年間、毎日32本の歯を合計76回磨いている。
彼は過去12年間、毎日ネクタイをシングルで結ぶ。ダブルで結ぶより最大43秒節約できるから。
彼は過去12年間、毎日平均7,134件の会計書類を調べた。
彼は過去12年間、毎晩腕時計のアラームをセットし、11時13分きっかりに寝た。

しかしある水曜日の朝、ハロルドの生活は一変する。
それを知っているのは彼の腕時計だけだった。
この物語はハロルド・クリックと彼の腕時計の話である。

思いもかけぬ拾い物をすると、人間うれしくなるでしょう。
まったく予備知識も期待もないままに、「毎月1日は映画の日 1000円」の時間合わせに観たこの映画は、まさにそんな拾い物。
洒落ていてウイットに富んで、風刺も利いてハッピーで、音楽は心地よく、役者もみんなうまい。
こういう映画は好きだ。
DVDが出たらまた観てしまうだろうし、買ってしまうかもしれない。
ただひとつダメなのは、この邦題だ。
原題「Stranger Than Fiction」を直訳すると「フィクションより奇妙」となるので、これはちょっとヘンだが、「主人公は僕だった」もベタすぎる。
「私の頭の中の消しゴム」みたいにダサイ。
「明日に向かって撃て」や「俺たちに明日はない」のようにカッチョよく決めてほしかった。

主演の「ウィル・フェレル」と「エマ・トンプソン」は素晴らしいなあ。
「ダスティン・ホフマン」はジョヴォ子の「ジャンヌ・ダルク」に出てきた神様のコメディ版みたいで、こんなおっさんになれたらいいなぁと思わせるし、ハロルドの腕時計の可愛いことったら、まるでR2-D2だ。
過去12年間ぐらい腕時計をはめていないオヤジが、ほんと欲しいと思った。
やるな、「マーク・フォスター」監督。


てなことで、週間ランキングは〜〜〜〜〜〜〜

第1位  ジャン、『主人公は僕だった』 観るべし。
第2位  ボン、 『スパイダーマン3』 まあ、こうなるわな。
第3位  ベン、 『バベル』 ソンはないリンコ。
第4位  ペシ、 『ハンニバル・ライジング』ま、順番だからね。
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番外 カッキーン、『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』もう帰ってこなくていいぞ、ジャック・スパロウ。

うーん、映画禁断症状は解消されたのだ。
どうだ ! 「宇宙人ジョーンズ」。



10:57:00 | mogmas | | TrackBacks