April 14, 2006
滑って当たり前だと思っていた
むかーし、むかしのことじゃったぁ。南千住に「東京スタジアム」という野球場があったんじゃ。
そのころは高い建物もなくて、ナイターの照明が付いていると、そこだけまるで光りに浮き上がっているように見えたんじゃ。
だから人々は「光の球場」と呼んで親しんでいたんじゃ。
じゃが、野球というものは夏場の風物詩で、冬になると球場も寂しくなってしまう、そこで頭のいい人が考えたんじゃ。
客席の回りに足場を立てて、ぐるりとドーナツ状にアイススケートのリンクを作ったのじゃ。
グラウンドではリトルリーグの少年たちが練習などをしている上を、スケート靴を履いた人々が思い思いに滑っていく。
なんとのどかな風景ではないか。
古き良き時代のお話じゃあ・・・。
スケートをしなくなってから、もうどのくらいたつだろう。
高校生ぐらいまでは毎年冬になるとどこかしら出かけていったように思う。
南千住に球場がなくなっても、後楽園や池袋にはスケートリンクがあったし、神奈川や富士急ハイランドなどへも行って滑った。
さすがにカウンターで酔っぱらはなければ「イナバウワー」はできないけれど、後ろ向きに滑るぐらいはできた。
氷は滑るのが当たり前と、何の疑問も持っていなかったら、実はなぜ滑るのかは未だに科学的に解明されていないのだそうだ。
現在広く信じられている説は、「圧力融解説」と呼ばれている1886年に英国で提唱されたもので、「氷の上にスケート靴を履いて乗ると、細いブレード(歯)にかかる体重で氷の表面がとけて水になり、滑りやすくなるため」という説だ。
しかし、圧力で融点(水がとけ出す温度)が下がる効果は小さく、普通の靴を履いていても滑りやすい理由は説明出来ない。
また、零下30度の極寒でもスケートができる理由も説明出来ないというのだ。
その他にも「摩擦融解説」や「疑似液体膜潤滑説」という氷がとけた水が滑りやすさの原因だという考えと、滑りに液体の水は必要ないとする「凝着説」などがあるが、いずれも決定打となるには時間を要するらしい。
そんな学者たちの疑問をよそに、氷上の妖精たちは華麗に舞う。
なぜ滑るかということよりも、いかに美しく滑り、技を決めるかということの方が見ている方も楽しいに決まっている。
荒川静香ちゃんはたしかに素晴らしかったけれど、オヤジはあの「イナバウワー」を美しいとは思わない。
あれを見ると、映画「エクソシスト」の中で悪魔に取り付かれた少女リーガンが、あの体勢で階段を下りてくる“スパイダー”歩きを思い浮かべてしまうからだ。
無理しすぎだって、し〜ずかちゃん。
ま、「ヒトリモン」先生のようにひっくり返って後頭部を打つようなヘマはしないんだろうけどね。
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