February 09, 2007

らん、乱、蘭


叔母の顔は、眠っているように穏やかだった。
横たわる姉の体を揺すり「起きなさいよ。ひとりにしないでよ…」と、ばあさんが泣くと、周りはみんなもらい泣きだ。

その様子を見て、ハッと気づいたことがあった。
6日の夜、auちゃん一家が来てくれて、マラソンマン・パパに「東京マラソン」の激励を兼ねて、メニューになぜか載せていない芋焼酎「蘭」をすすめた。
飲みやすいのに、通も納得する旨い酒だ。
途中からオヤジも加わり、当然ながら瓶は空になった。
そんな時、叔母の訃報を知らせる電話があったのだ。
叔母の名前は「蘭子」という。

そのことを、突然思い出し、お通夜まで3時間ほどあるので、姪っ子に車を出させ、近所の酒屋という酒屋を「蘭」を手に入れるために走り回った。
叔母と同じ名前の「蘭」を墓前に供えたかったのだが、どうやら千曲市は叔母の喪にふくして「蘭」を店頭に置いていないらしい。
折角なので、店で使いたい酒を沢山買ってしまった。

自宅でつつましく行われた通夜の後、身内だけで飲みだし、「蘭」を供えられなかった自分に腹が立ち、ひたすら酒を煽り、周りを巻き込み、記憶をなくしながら飲み続けた。
親ほども年の違う酒飲みの叔父が、「蘭」を知らないことに腹を立て、説教口調でウンチクをたれて、大酔っぱらいの悪魔に変身したらしい。
こんなに見事に長時間記憶をなくしながら飲んだのは、ほんとうに久々だ。
叔母も棺桶の中であきれたことだろう。

帰ったら絶対「蘭」を送ろう…。



Posted by mogmas at 21:51:40 | from category: Main | TrackBacks
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