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酸っぱいキムチのおいしい食べ方

暮れに安売りのお店で、瓶詰めのキムチがなんと10円で売られていた。
別にキムチに不自由している訳じゃないが、10円ならば失敗しても傷は小さくてすむ。
１つ買った。
だいたいスーパーなどで売られているキムチは、日本人向けのお子ちゃまな味で、オヤジは満足出来ないのだけれど、かあちゃんや小僧が食べるには丁度いい。

早速帰ってかあちゃんに自慢すると、瓶を裏返してラベルを確かめ、「賞味期限、明後日」と冷ややかに言われてしまった。
フン、醗酵食品は少々のことならへっちゃらだぜ。
とは言っても、その夜に少し食べただけで、その後はオヤジ以外誰も食べようとはしない。
可哀想なキムチちゃんは、冷蔵庫の中で年を越した。

夜のキムチ・納豆は身体にいいというので時々食べるのだが、なんせそこそこの量の瓶詰めで、１人で食べていてもなかなか減らない。
そこへもってきて、店で使っているキムチの半端まで家に持ち帰ったものだから、途端にキムチ大尽だ。
放っておけばじわじわキムチは酸っぱくなってくる。

*注　お店のキムチはもう15年来仕入れている本場のオモニのキムチです。もちろん賞味期限切れなどあろう筈がありません。念のため。
店のおばちゃんは、酸っぱくなったキムチを日本人は捨ててしまうので悲しいとこぼしておりました。そんなもったいないことをする輩は、オヤジがバッチギをかますぞぃ。

そこで酸っぱ目のキムチのおいしい食べ方バリエーション。
やる気のある時は、豚キムチ炒め。
野菜をたくさん入れるか、酒のつまみように更に辛みを足して炒めるかお好み次第。

火を使わず簡単に食べるなら、キムチ・納豆。
刻んだキムチと納豆を混ぜ、更に葱と青のりが定番。
そこへ大根おろし、シラス、竹輪を入れるとボリュームたっぷり。

変わり種は、キムチと納豆に刻んだトマトとパルメザンチーズを入れたもの。そのままでも、オーブンで焼いてもなかなかグッド。

で、色々やっていよいよ瓶の中身も終わりが見えてきたので、最後の横着メニューはすべて瓶の中で混ぜ合わせることに。
刻んだキムチと細かくした蒲鉾、ごま油と醤油を少々、マヨネーズを混ぜ合わせる。
別の丼に、天かすとすりごま、鰹節にシラスのふりかけをよく混ぜて醤油をかけ、ご飯とあわせる。
そこへ瓶のキムチ・蒲鉾をぶっかけ、まぜまぜする。
仕上げにきざみ海苔をパラパラ振りかけ、“日韓友好ネコマンマ”の完成であります。
これがなかなか旨い。
お試しあれ。

いつもウナギやイルカや焼肉ばかり食べている訳ではないのであります。
粗食に耐え、１日２食の毎日の積み重ねがあればこそ、きちんと食べ物の後始末もしてこその“食倒れ”なのだ。

真昼の月

ついに我慢が出来なくなって、「STAR WARS 3 REVENGE OF THE SITH」を見てしまった。
本当はスクリーンで見たかったのだが、スクリーンはばあさんのベッドのすぐ前に下りてくるので、“ばあさん元気で留守がいい”ときしか見られないのだ。
スクリーンを設置した最初の予定では「夜な夜な名画座」になる筈だったのに、ばあさんと同居することになり、部屋の半分をばあさんに明け渡したのだ。
今後ばあさんが順調に回復して、泊まりで出かけてくれるまで、「S・W」シリーズ全６話連続上映の時期は当分先になるだろう。

ところで、映画で最初に「STAR/スター」という言葉が使われたのはどのへんからなのか?
間違っても「スタア・ニシキノ」からではない。
1888年エジソンがキネトスコープを発明し、1895年12月にパリのカフェでリュミエール兄弟がスクリーンに映像を映し出し、映画が誕生した7年後の1902年、世界初の劇映画「月世界旅行」というSF・特撮映画の元祖を作ったジョルジュ・メリエスという人かいた。
このメリエスさん、実は奇術師でもあり、多分に山っけもあったのだろうが、衝撃的な発明品の映画に目を付け、最初に興行品、商品にした人だ。
そんな彼が興した「スター・フィルム」社の商標から、「スター」という言葉が使われ出したのだ。
しかし、最初は面白かったストップモーションや多重露光などのトリック撮影を多用したメリエスの映画は、次第に飽きられ、ついに「スター・フィルム」は倒産してしまう。
何でも出来るCGを過信し、ドラマがお粗末になっている昨今の映画は、草創期からあった教訓を生かしていないんじゃないかいな。
いずれにしても、テクニックや技術だけでなく、人＝スターを見せなければ映画は成り立たないと悟るのである。
映画スター不在の日本に、明るい銀幕の未来は来るのだろうか。

世界の渡辺謙よりも、アジアの大スター小林旭と殺し屋宍戸錠の対決をスクリーンで見たいと切に願うオヤジなのである。

またしても朝まで映画を見てしまったオヤジは、翌日ウダウダしながら昼近くなってようやく外出した帰り道、空を見上げれば、月齢11.39の宵月がぼんやりと浮かんでいた。

それはまるで、辺境の惑星タトウィーンに昇る巨大な衛星のようにも見えたのである。