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お先にＮＥＴ

すっかり亀有ＭＯＶＩＸの初回割り引きが気にいってしまった。
しかも事前にネットでピンポイントで座席を指定している。
前回チケットを購入するのに並んだという教訓を生かしたのだ。

さてさて本年８本目の映画にして、本日最初の作品は「ダ・ヴィンチ・コード」だ。
おっと、渡辺謙さんの映画は早くもチケット完売だ。ここでは負けてるゾ、ロン・ハワード。

帝王に泣かされた夜

祭の日に相撲は千秋楽、はるばる仙台からそれを見に、国分町の「帝王」ことディオールとクリスチャンのご夫妻がお祭り男の「バーバー」くんとともにおこしになった。
一瞬にして店の中は帝王の色に染まる。
神輿を担ぎながらさんざんでかい声を張り上げていた「バーバー」くんを上回る声量は、「みのもんた」と対等に渡り合えるだろう。
「もう還暦だから」とおっしゃるが、そのテンションはまだまだ現役バリバリです。
それに対しておかあさ・・・いやクリスチャンは、控えめで若くてきれいな人だ。
まあ、世の中凹と凸、陰と陽、ボケと突っ込み、なかなかどうしてよく出来ている。

お酒が入ればさらに舌好調。
とどまることを知らないオヤジギャグとシモネタギャグの連発、息子・・・いやおとうと「小帝王」の過去の悪さの数々を暴露、爆笑の連続である。
まったくこの関係を知らない他のお客様も、つり込まれて笑ってしまうほど、「帝王」の多彩なトークは熱を帯びる。
当然この舌鋒は、いずれオヤジにもやってくるのを覚悟しつつ、注文の品を次々と仕上げていく。

写真で見ると顔の骨格が赤の他人に見えない「バーバー」くんと「ヒトリモン」先生だが、「帝王」の隣りに座ってみるとやはり他人だ。
きっとおかあさ・・・いやクリスチャンの穏やかなDNAが入ったせいで彼は“ちょい、ニシキノアキラ”を脱したのだろう。
「ヒトリモン」先生のお母さんとお姉ちゃんも穏やかな感じの人なので、そんなところから似てきたのだろうか?

「帝王」は世界中を旅したのか、中国やインド、ローマ・バチカンのことまで詳しく、おかあさ・・・クリスチャンとともにローマ法王にも謁見したらしく、「ヒトリモン」先生のインド修行の云々にも精通しているようだった。
様々な話題を縦横無尽に操りながらも、「帝王」はきちんと状況を見ている。
一段落しそうなオヤジに向かって、「もういいんでないかい。酒注ごうとおもって待ってんだけどよぉ」
と、片方の眉毛を上げて焼酎のボトルを差し出すのである。
き、きたーっ!
さあ、そろそろオヤジがいじられまくる番なようであります。

「梅さん」ほどでないにしろ、たっぷりグラスに焼酎を入れられたらもう飲むしかありません。
ありがたく頂戴します。
一杯飲んだら完全に「帝王」マジックの術中にはまったも同然なのだ。
オヤジに向かって、「そのバンダナの下は毛がないんだべ、このアルカイダみたいなヤツだって（注:息子、いや・・・おとうと）、髪切るのが大変だ」から始まって、まあ、いじるいじる。
「帝王」流の愛情表現だと「ハ、ハァ〜ッ・・・」と受け止めます。
しかし受け止めきれない強烈なジャブが炸裂し、オヤジの笑いのツボに入った。
ちょうどお好み焼の仕上げに入ったところだったが、とても堪えきれずにコテをほっぽり出して腹をかかえる。
笑いの涙で横隔膜が苦しい。
目が涙でグジョグジョだ。
チクショウ、やられちまったい。
さすがに老練なテクニシャンだ。
ダテに長年あちこちの飲み屋で授業料を払ってないわい。

「帝王」はオヤジに「さっさと仕事を終わらせて、カラオケいくべ」と、オヤジの行きつけのカラオケスナックが当然あるかのごとくおっしゃるが、残念ながらオヤジには「最後の砦1、2」しか行き場がないのである。
「そんじゃぁ、だぁめだ。カラオケがなくっちゃだぁめだべ」
と、美声を披露できないことを一応がっかりし、腰を上げるタイミングを見事に作るのである。
おかあさ・・・クリスチャンと、「バーバー」くんがいささかすまなそうに頭を下げるなか、「帝王」は颯爽と肩にかけたサマー・セーターの両袖を、ゴルフに穿くようなスラックスにたくし込んだ。
おおっ、何十年ぶりに見る伊達男のファッションスタイル。
今じゃ石田純一だってやらない、テレビのプロデューサーのような格好だ。

意気揚々と店を出る「帝王」ご一行を見送り、「ヒトリモン」先生と共に、「強烈だなぁ・・・」とため息をつくのであった。
しかし親子関係が稀薄な昨今、なんでも人前で言い合えて、笑いのネタにできて、対等に酒が飲める親子ってすばらしい。
亡くなった親父とそんな関係が築けなかったオヤジは、つくづく「バーバー」くん親子が羨ましいと思う。
おとうさ・・・いや「帝王」、イカしてるぜ!!
機会があったら朝まででもカラオケに付き合いましょう。
さて、音を上げるのはどっちだ。
わたしも悪魔00として、明け方がつお〜いんですぜ、ヒッ、ヒッ、ヒ・・・。