August 18, 2007

「幕末 維新の暗号」 謎のフルベッキ写真

  
なんどもマスコミで取り上げられたり、通販で10万円以上の価格で販売されていたりと、話題には事欠かない写真がある。
「幕末の志士全員集合〜 !! 」ともいうべき、いわゆる「フルベッキ写真」だ。

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キャプションに並ぶこの豪華な顔ぶれはどうだ。
この時代のことにまったく興味がない人には、なんということもない記念写真くらいにしか思えないかもしれないが、多少でも幕末・維新に関心がある人は、
「フン、またか。馬鹿馬鹿しい」
と一刀両断か、
「どっえ〜っ !! ありえねぇー。でも、ひよっとして、ひよっとすると・・・」
と、疑心暗鬼をかき立てられ、深みにはまりそうになるか、どっちかだ。

このオヤジの場合、最初は前者だった。
が、魔が差したのだろう。
この写真の謎について書かれた加治将一著「幕末 維新の暗号」を読んで、後者になってしまった。

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なんと、なんと、驚愕のトンデモ説と、天皇まで巻き込む大陰謀に、好奇心はガンガン揺さぶられ、一気に朝まで読んでしまった。
テロと謀略が横行する幕末は、謎のオンパレードだ。
だが歴史はその時だけの流れではなく、遥か過去からの経緯、しがらみで動いていると、時代の転換期に怒濤のように溢れ出した過去の亡霊が告げる。
その得体の知れないパワーで、憑かれたように若者たちは疾走したのだ。
闇を抱えたまま近代国家に突き進んで行った「日本」という国は、だから綻びから膿みが流れ出し、応急処置では間に合わなくなってきているのだろう。
嘘か真か、それは読者の判断によるが、この本に登場する幕末の志士たちをみれば、昨今のスットコドッコイな発言やさもしい言い訳を繰り返す政治屋が、とても小者に見えて、謎の中心地、長州出身のおぼっちゃん総理には、とても未来は託せないとため息が出てしまう。
また天皇をここまでおとしめる話は、戦前には出版さえできないし、著者は不敬罪で逮捕もしくは暗殺されてしまうだろう。
今だって、女系天皇がどうのでもめたり、万世一系などと時代錯誤なことを宣う知識人がいるのだから、マスコミでもタブーみたいなことをよく出版できたと感心するし、“そっち系”の人からの妨害やら脅迫めいたことを受けているんではないかと想像してしまう。
なるほどねぇ・・・、とため息まじりに読了した朝は、汗びっしょりだった。
汗をかきながら夢中になって本を読んだのは、じつに久しぶりだ。

だからといって、フリーメーソンの陰謀だとか、秘密結社の世界支配や、UFO・超能力・霊・血液占いなどのように、妄信してしまう愚はおかさない。

すぐさま、ネットという便利な環境があるので、調べてみた。
そして

フルベッキ写真

というサイトを発見。
とても詳しく、写真が撮られた経緯や、「幕末 維新の暗号」についての反論が解説されていて、これまたためになる。
1枚の写真もない西郷隆盛が、本当に写っているとしたら、こりゃ世紀の大発見なんだけど、上野や鹿児島の銅像とはちっとも似ていないし、検証のしようもないみたいだ。
他の志士たちも、現存する写真と比較してみるのも楽しい。

本の最後にこんな謎が提示される。
天皇のお妃は「皇后」だが、なぜか明治天皇のお后は「皇太后」になっている。
つまり、「昭憲皇太后」だ。
「皇太后」とは天皇の母親という意味なので、この呼び名はおかしいということなのだが、なぜか現在まで訂正されずにいる。
この事実に困惑する明治神宮の見解は、ホームページの-Q&A-に掲載されている。

明治神宮HP

明治神宮-Q&A-

正月の初詣だけじゃなく、明治神宮に触れてみるのもいいんでないかい ?

ふーっ、それにしても歴史はミステリーですな。
「フルベッキ写真」の龍馬は、似ているような気もするが、どことなく迫力に欠ける。
なんでもちょっと咬みの龍馬だから、こんな写真に写っていても不思議じゃないような気もするが・・・。
「ち、ち、ち、おんちゃんよう。おんしいい年してなにを血迷ってるんぜよ。わしはふりーめーそんてなもんでもなけりゃ、暗号なんぞも書かんぜよ」
「りょ、りょうま・・・」
「昔、司馬のおんちゃんが書いてくれたようにの、わしゃぁ世界の海を行きたいだけじゃ。勝手な思い込みは迷惑ぜよ」
「りょ、りょうまぁぁぁ・・・」

寝汗べっとりで、朦朧とした頭で目が覚めた。
龍馬はああ言っていたが、性懲りもなく「あやつられた龍馬」加治将一著を買ってしまうだろう。
また眠れない夜がくるのだ・・・。

16:00:59 | mogmas | | TrackBacks