May 27, 2008

眠れない夜

  
最悪です。

ここまで最悪だと、もうどうにでもなれって感じで、からくも居候だけは逃れているけれど、小僧にもついに咳の症状が出た。

我が家は最悪のオヤジ風邪の巣窟であります。

四半世紀ぶりの高熱は、かあちゃんにうつり、40度近い熱が2日間続き、フワフワしたハイな状態で臥せっている。

ばあさんは枯れ枝のようにゴホゴホ咳き込み、それでもまだ熱は出ていないのが幸いだ。

オヤジの熱は去ったものの、まだ熱があるときの方がハイで見せかけの元気で動けたのだが、今やまるで木偶の坊で、あちこちが痛く、飯を食べる元気もない。
しかし目だけが異様に冴えてしまい、眠ろうとしても眠れない。
何度も寝返りを打ってようやくトロトロとしてきたと思うと、鳩尾のあたりをつかまれたように苦しくなって眠りから引き戻されてしまう。

そんなことを繰り返して、たまらず睡眠薬を飲んだ。
「睡眠誘導剤」と正しくは言うのだろうか ?
今回の風邪で、医者に処方してもらったものではない。
ちょっと前に、眠れないということをブログに書いたことがあったが、それを読んだ「こちょこちゃん」のママが、「試しにつかってみたら」と持ってきてくれたのだ。

睡眠薬というものを飲むのは初めてだ。
だいたい毎晩酒を飲んでいるので、睡眠薬を併用するのがためらわれたが、今回は驚くことに5日間も一滴も飲んでいない。
まっさらクリーンに酒っ気が抜けた今をおいて、こんなチャンスは二度とないかもしれない。
1錠、もしくはその半分でいいと「こちょこちゃん」のママは言っていたけれど、死んだように眠りたかったオヤジは2錠飲んだ。
まあ、100錠も飲まなければ死ぬこたぁないだろう。

効果のほどをみるべく、横になって本を広げた。
なかなか眠くならない。
催眠術だってかかりにくいと言われた偏屈オヤジだ。
睡眠薬の1錠や2錠ごときで・・・・・、れむくなんふぁなりゃない・・・・あれ ?
まぶたとはぁぶたがふっつきそうれ、あれ ? 
よられがれてもわからないくりゃいれ、れれれれ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

爆沈 ! 昇天。

眠りを無理矢理剥がされる、鳩尾のあたりの閉塞感は堪え難く、このまま窒息して死ぬんではないかという妄想でなお眠れなかったのが、この小さな錠剤で解消された。
これはクセになる。
次の日も飲んでしまった。
ただひたすら眠る。
ふと目を開けたと思ったら、次の瞬間には眠りの中にいる。
昼夜の区別も、時間の感覚もわからず、ウトウトし続けた。

カラカラになって目が覚めた。
渇きを癒し、しまらない病人面を鏡に映してふと気がつき、体重計に乗ってみた。
すばらしい。
3キログラム減。
食わなきゃ痩せるのは自然の摂理。
ヒヒヒ、とニヤケて再び布団へ直行。
もうオヤジの体内の風邪の菌は、ほぼ駆逐されたと思う。
あとは睡眠を充分にとれば何とかなる。
だが頼みの綱の睡眠薬はもう残っていない。
明日、かあちゃんが医者へ行ったらもらってきてもらおう。
それまではなんとか自力で寝る努力をしよう。

ダメだった。
額に「冷えピタ」を貼ったせいかスースーして、目が異様に冴えてしまい、無理矢理目をつぶるよりはと、本を開いた。
文庫本を一冊一夜で読んでしまった。
読んだ本もいけなかった。
小林泰三という作家の「Nephilim ネフィリム 超吸血鬼幻想譚」というデログロな小説だったから。
この作家のデログロ度は、病気の時には相応しくない。
「玩具修理者」や「ΑΩ」というウルトラなデログロ小説よりはインパクトに欠けていたが。

悶々と眠れる方策を考え、やっと少し眠れたのが翌日のお昼頃だった。


川の字で眠る外れに、倫敦帰りのあの調子コキが、尻を出して寝ているのもかまわず、ひたすら眠ろうと目をつぶった。

調子コキにも風邪がうつるのか ?
楽しい倫敦、愉快な倫敦、ロンドン、ロンドン・・・・・




16:50:59 | mogmas | | TrackBacks