February 11, 2006

悪魔の誘惑・或いは自業自得

体調が悪かったのは、本当です。
同情をかうためとか、かまってほしいからではありません。
なんとか平静を保っていても、本調子ではないのです。
しかし、週末の夜にそんな言い訳めいたことを言っても、東京蟒蛇倶楽部所属の悪魔たちには通じないのであります。

来てくれるのは大変ありがたいのですが、なにも口開けからいなくてもいいのに、悪魔2号「ヒトリモン」は先生のくせに相変わらず学習が出来ない。
サッと飲んでサッと帰るなんてことは、出来たためしがないくせに、今夜も上機嫌。
前夜、オヤジの体調を気遣ってくれた「バーバー」くんは、果物を持って来てくれて、帰り際に「明日は誘われても来ませんから」と断っていった。
そりゃそうだ。彼は今週3回も来店してくれているのだ。
いかに週末といえども、彼の仕事は休みではない。
悪い予感がしていたのだろう。
残念ながら、予感的中だ。
ちょいと目を離した隙に、「ヒトリモン」は「バーバー」くんに誘惑のメールを送り、まさに悪魔のようににんまりと笑った。
可哀想な「バーバー」くんは、帰り道にこの店があるのが不運でもあるが、8時過ぎにやってくるという。
誘ったからには、それまで酔っぱらわずにシャンとしているのが礼儀だろうと、「ヒトリモン」に酔い覚ましの水をカパカパ飲ませているところへ、更なる魔手登場。

悪魔同士で通じ合うものがあったのか、龍の女悪魔Cちゃんは月曜日ぐらいから調子が悪く、腸炎になってしまったのだという。
ようやく回復して、4日ぶりに外で酒が飲めるようになったと、スチャラカ旦那とともにご来店だ。
「バーバー」くんを待つ間がこれでなんとかなると、「ヒトリモン」はほくそ笑む。
4日ぶりの生ビールを喉を鳴らすように飲むCちゃんは、摂生した4日間のお話を喋らないことには先へ進まないので、ハイ、ハイと一同聞き役になるのである。
しかし話を聞いていると、この人は本当に調子が悪かったの?と思えてしまうようなご気楽ぶり。
ニャンだか、聞いているニョが、アホらしくなってくるニャァン。
先週の水曜日、このメンツで飲んだ時の行動を、やはりスチャラカ旦那は一部憶えていないらしい。
素晴らしい。
夫婦円満の秘訣は、それぞれが都合よく記憶を無くすことなのだろうか。

杯を重ねるうちに8時を回り、「バーバー」くんはやって来た。
煮えたぎった鍋の中に入れられるように、悪魔2号と悪魔3号の間に座らされ、恐怖の夜はさらに先へ進む。
オヤジにはわかる。
この状況は、犠牲者なしには終わらないことを。
だがそれは自業自得でもあるので、学習と記憶ができないとしても、翌朝にはなんらかの痛みが残るのだ。

きっかけは〜、Cちゃんのワガママである。
すでに何の役にも立たない、という自覚がない人は強引だ。
この後に及んでカラオケだという。
しかも縄張りのスナックではなくて、ボックスでガンガン歌いたいのだそうだ。
もう酒を飲むのに苦い顔になってしまっている「ヒトリモン」は操り人形のように、「バーバー」くんは拉致されて、Cちゃんとスチャラカ旦那は意気揚々と引き上げていった。
もちろん、後で電話するからオヤジも来るようにと念を押して・・・。

店の片付けをしている最中に、何度も酔っぱらった声で誘いの電話をかけてくるたちの悪い人たちに、「この電話は現在使用されておりません・・・」などと声色を使っても無駄だった。
仕方がないのでちょっとだけ顔を出すことにした。
その前にかあちゃんは魔の手から逃がしてやった。

実に久々のカラオケボックスだ。
郷に入れば郷に従う、毒を喰らわば皿まで、だ。
部屋に入る前から覚悟は出来ている。
どうせ結果は見えているのだ。

案の定・・・
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ジャケットを頭からすっぽりで、ご臨終の悪魔2号。

“よし、眠りを覚まさしてやる”とばかりに、本人の映像が流れる「キャンディーズ」メドレーをかけたら、ムクッと目を覚まし「ランちゃぁ〜ん!!」と叫んだ。
うーん、悪魔1号、2号そろいも揃って「ランちゃん」ファンであったか。
やはり悪魔には共通点があったのだ。
ちなみにオヤジは「スーちゃん」ファンでした。

Cちゃんはコロナビールの瓶を落として割り、次に生ビールをぶちまけ、「倖田來未」版「キューティーハニー」のテンポについてゆけず、演歌「キューティーハニー」になってしまい、“これ、おかしいよ”を連発するが、おかしいのは貴女ですから。

そんな女房もナニスルモノゾ、スチャラカ旦那は「クリームシチュー」の有田みたいな髪の毛と形相で、最高学府出身の嫌らしさを見せつける英語の歌なんぞを熱唱。

まともなのは若者「バーバー」くんだけかと思いきや、桑田圭祐の“赤茶けた、クリ、クリ〜”などという卑猥な歌を歌ってしまう。
でもオヤジのリクエストで、自他ともに認める「ウルフルズ」のトータス松本似の顔で、「サムライソウル」もガツンといく。
よーし、今度オヤジも覚えちゃおう。

オヤジといえば、進化したDAMにびっくり。
イコライザーなしに音場補正できるようなアンプや、電話帳並みに分厚くなったメニュー本をサポートする電子メニューが組み込まれたリモコンやら、多機能この上ないシステムに戸惑うばかりだ。
もはや「バーバー」くんのような若者抜きにはカラオケボックスには来られない。
それは他の酔っぱらいどもも同様で、まるで老人ホームのヘルパーのように気を使ってくれる「バーバー」くんに、なんでもおまかせの体たらくだ。

宴は1時半頃まで続いた。
CちゃんはFBIに連行される宇宙人のように旦那に引きずられて帰り、「ヒトリモン」の腕はオヤジががっちりホールドして道ずれだ。
1人「バーバー」くんは自転車で、今夜も酔っぱらい運転だ。

すまんのう。
気は使わせたが、お金は使わせなかったから、せめてそれで勘弁して下さい。
こんな中年にはくれぐれもならないように。
昔のやんちゃは伊達でない、いい根性見せてもらいましたァ。
でも、ほとぼりが冷めたらまた遊んでね。
悪魔一同より。                  かしこ

14:07:07 | mogmas | | TrackBacks