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悪魔全員集合＝東京蟒蛇倶楽部定期集会

金曜日の夜の当店は、すべて予約で席が埋まった。
申し合わせたわけでもないのに、悪魔が全員勢揃いしてしまった。
ここであらためて東京蟒蛇倶楽部と悪魔の関係を整理しておきたいと思う。

東京蟒蛇倶楽部のメンバーには、悪魔軍団とスチャラカチーム、一般会員の3つがあり、スチャラカと一般は望んで認められれば悪魔にグレードアップ?できる。
また、東京蟒蛇倶楽部と連携している会が、「日本混浴学会」と「手づかみカレーの会」だ。

悪魔軍団のメンバーは、
1号＝元祖悪魔、理不尽大魔王、階段落ち名人「悪魔のあっくん」。普段は黄金町が縄張り。永久不滅会員。
2号＝カウンター・イナバウアーの名手「ヒトリモン」。全日本千鳥足選手権タイトル保持者。泡盛大魔王。
3号＝龍の女悪魔Cちゃん。一刀両断、擬音の使い手であり、階段落ちなどオールマイティーな技をつかう。キングギドラ色の髪で、浅草の女に変身することもある。
4号＝4は縁起悪いと敬遠され、現在欠番。
5号＝刈り魔王こと「バーバー」くん。最近めきめきと頭角を現してきた若手のホープ。激高すると唾をまき散らす「唾三十郎」に変身。飲み過ぎた翌朝は顔がアンパンマンになってしまう。
6号＝チッチキチーの関西人「梅さん」。“わしも悪魔にいれてぇな”と志願したコテコテの悪魔。トルマリンボンバー、通天閣ドロップで回りを浪速ワールドに塗り替える恐ろしいパワーを持つ。
7号＝微笑みのイケイケどんどん「ミカ」ちゃん。並みいる悪魔どもをにこやかにへこまし、平然とけしかける天然技が絶妙である。

以上の6人に悪魔00のオヤジを加えて7名。予備軍は何人かいるが、未だ名乗りを上げない。

スチャラカグルーブは現在2名。
元祖踊るスチャラカ旦那と、ヒッキー改め「おちょこくん」または「ちょこ兄」。
悪魔がクラッシュしたときのサポートに、酔えない夜もある。
可哀想だが、それもスチャラカの生きる道。

一般会員には、マラソンマンのNくん、バイク乗りになったAさん、チッチキチーの関西人にはなくてはならない「トモさん」、「横浜のふとっちょくん」など、多彩な人材が揃っている。

おかげさまで「アルツ」の泡盛はすべて飲干された。
スチャラカ旦那がわざわざ評判を聞いて買ってきた芋焼酎「覇龍神」もひとしずくも残っていない。
なんと燃費の悪い人たちなのだろう。
しかしありがたいことではある。

イチローの内助の影にオヤジあり???

イチローはやっぱりすげぇや。
きちっと自分の仕事をこなし、それ以上のパワーを回りに及ぼしている。
“サムライ”と言いたいね。
昔、三ツ矢サイダーのCMにでていた頃とは、顔つきもだいぶしまっていい男だ。
アメリカの環境の中でストイックに見えるのは、ほんとうにそういうところもあるのだろうけれど、アメリカ自体が病んでいるからだとも思う。
しかし、毎日の食事やメンタルな部分には、内助の功が欠かせないと想像出来る。
あの細くって小さな奥さんが、よくやっているのだなァ。

なに、知ったようなことを言ってる、とお思いか?
うん、あながち知らなくもない。

オヤジのお勤め人時代のある時期。
通勤や営業には赤坂TBS前を通って行く千代田線をよく使っていた。
ある日、ドアのところに立っていたオヤジは、赤坂の駅から乗ってきて向かいに立った若い女性を見て、おやっ、どこかで見たことのある顔だと思った。
華奢でおとなしそうなその女性は、TBSの女子アナ、福島弓子さんであった。
２人は電車の窓に映るお互いを見て、一瞬目が合った。
それが最初の出会い。

次も千代田線の車内で、同じようにドアの脇に立っているオヤジの傍らに彼女が立ったのだ。
ほのかに香る良い匂いは、まさしく旬の女子アナの香り。
こんな所でサインなど求める野暮はしないが、またしても窓に映るお互いの姿を見つめ合ってしまったのである。
このタイミングで、にっこり微笑み「貴女は先日の・・・」などと紳士的に話しかけたりしちゃったら、もしかして、もしかするかも知れなかったのだ。
だが、ことはドラマのようには進まない。

もしもう一度出会ってしまったら、その時は運命の赤い糸が２人を引き合わせたと思うしかない。
だって、「二度ある娘とは、三度ある」というではないか。
しかし、運命の女神はオヤジには微笑まなかった。
ほどなくして彼女はイチロー夫人になってしまったのだから。
それでいいのだ。
イチローの活躍を支えているのは、まぎれもなく彼女に他ならないのだから。
あの時オヤジが大人を押さえられなかったら、彼女はしがないお好み焼屋のかあちゃんになっていたかもしれない。

などという話を現実のかあちゃんにすると、フンと鼻を鳴らし、「もう寝るよ」とさっさと布団に入ってしまった。
かくて酔っぱらいはオヤジは、世界一の選手達の栄光を称え、一人寂しく飲むのであった。
がんばれイチロー。
女房を大事にしろよ。