November 29, 2007
お客様の都合により・・・
今日現場(かつての店ですな)へ行って見たら、廃材もだいぶ片付けられ、階段がバラされるところだった。
大工の棟梁がニヤッと笑い、
「おれぁ大工じゃなくてさ、解体屋さんになっちゃったみたいだべ」
と東北訛りでいうと、
「じゃぁおれたちは設備屋じゃなくて、ゴミ屋だな」
と設備屋さんのお兄ちゃんが返す。
奥の壁はすっかりなくなり、古い柱だけが残ったところは新築そっくりさんの現場みたいで、風がひゅうと通り抜ける。
「すいませんねぇ。毎回面倒くさい現場ばかりで・・・」
恐縮して言った。
この職人さん達に現場をお願いするのは、これで2度目だ。
車を横付けできない狭い現場で、いつも本業以外のこともやってもらって、タイトなスケジュールとタイトな予算で、文句も言わずに(ちょいとイヤミは言われる)朝早くから夜遅くまで仕事をしてくれる。
それでいて仕事は早く、丁寧で、気が利き、仕上げも確かで、ご近所の受けもいい。
すばらしい職人さん達なのだ(これだけ言っておけばいいだろう)。
棟梁がチクチクとオヤジをいじる。
「階段バラすよ。ほんとにいいね。あとで組み立ててくれって言ってもだめだかんね」
「ああいいよ、バーンとやっちゃって、バーンと」
「おれぁ大工なんだよ。作るほうがほんとなんだかんね」
ガラをズタ袋に入れていたお兄ちゃんがニヤニヤ笑う。
取りあえず今のところは現場はうまくいっている。
オヤジのやることなんて何にもないから、邪魔にならないようそうそうに退散した。
こんな状態なので、当然電話はつながらない。
モグランポにかけても
「お客様の都合により電話を取り外しております・・・・」
という応答メッセージが流れるだけだ。
もうちょっとマシなメッセージを流すことは出来ないのかと、NTT 116番に電話してみたら、
「だだ今電話が混み合っています・・・」
というお馴染みの機械のお姉さんの声が流れ、「エリーゼのために」が流れ出した。
なんじゃい、電電公社の頃とちっとも変わらんじゃないか。
しばらく待たされてオペレーターの本物のお姉さんにつながったので聞いてみたら、
「移転のため」「番号が変わりました」と「電話を取り外しております」の3種類しかないとのことだった。
なんだい、会社名が横文字になって大分経つちゅうのに、まったくつぶしが利かないサービスは、電電公社のまんまじゃないかいな。
そりゃ「お客様の都合」だけどさ、基本料金はそのまま取られる上に、手数料だかなんだか知らないけど2100円も取るんだから、もうちょっと融通利かせてもバチが当たらんだろう。
機械のお姉さんの声でかまわないから、
「おかけになったモグランポ様は、ただ今店舗改装のため電話を取り外しております。新装オープンは2008年1月○○日の予定でございます。もうしぱらくお待ち下さいませ」
みたいなメッセージを流してくれよう。
出来ないわけないと思うんだけどなぁ。
ユニバーサルサービスなんてもんをちゃっかり取ってるくせに。
この電電公社のイケズめ。
「ご覧頂いているこのブログは、店主の都合により更新したりしなかったりすることがあります。内容が変わらなくても “チッ” などと言わず、コメントを入れるか、辛抱強くお待ち下さいませ」
17:02:00 |
mogmas |
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November 28, 2007
さらば鉄板 !!
ガスメーターはとっくに撤去され、ブレーカーを上げると仮設の裸電球がわびしく灯る廃墟のような店内で、埃にまみれた鉄板が寂しそうに眠っている、夜。
箒で鉄板の上の塵と埃を掃出し、水道の元栓を開けて水をバケツに汲んで、ザッと汚れを流す。
グリドルクリーナーをぶちまけ、パッドでゴシゴシこびりついた油を落してゆく。
この油汚れは、23日の夜、ごくごく親しい人たちだけに集まってもらい、「さよなら鉄板パーティー」をした名残だ。
22日で営業は終えたが、ほんとうに最後に思いっきり焼きたいものを焼いて鉄板に別れを告げようと、昼間食材を買っておいた。
でっかいステーキ肉や、縦だか横だかわからないような牛肉の塊や、貝やキノコなどなど。
厚さ22ミリの鉄板は、ステーキ屋さんに置いてもまったく見劣りしない代物だ。
その夜は存分に肉や魚介や野菜を焼き、残った生地を全部使って大きなお好み焼も焼こうと決めていた。
7時頃からみなさん三々五々集まって来て、最終的には総勢14人。
新しい人が来るたびに乾杯を繰り返した。
飲物は充分にある、とタカを括っていたが、15リッター樽の生ビールの残り3分の2はあっという間になくなり、未だ到着していない龍柄の女帝「Cちゃん」の怒りを恐れて、追加で新しい生樽を酒屋さんに持って来てもらう有り様。
中途半端に口の開いた焼酎も残らず飲み干し、さすが「東京蟒蛇倶楽部」とあきれるばかり。
これで最後だと思うと否が応でもテンションは上がり、厚さ2センチほどに切ったステーキもどんどん焼き、酔っ払い達は入れ替わり立ち替わり厨房の中に入り、にわか店員になって生ビールを注ぎ、酒を作り、お好み焼を焼いた。
酒を飲まないスコットランド人の「ジョニーさん」も、長身を折り曲げるようにして鉄板に立ち向かったり、「ナマイッチョ、オマチド !! 」などと怪しい居酒屋なセリフを叫び、調子コキの声のでかい「バーバー」店員は42センチの巨大お好みをひっくり返し、「auちゃんパパ」はそれを再び返そうとして失敗して二つ折りにし、調子コキの魔法使い「ポッターくん」は気色の悪い女装をして一同をドン引きさせ、完全にスイッチが入った女帝「Cちゃん」は壊れたオモチャ状態になった。
宴は深夜3時頃まで続いたが、オヤジは2時過ぎにはもう記憶は飛んでいたと思う。
店を閉めてどうやって帰ったのか、どうやって寝床に入ったのか、一切記憶にございません。
だから最後の鉄板掃除も出来ずに、油まみれに、埃まみれにしたまま27日の夜まで放置してしまったのだ。
力を込めて鉄板を磨く。
水気を拭き取り、乾いたタオルで仕上げ拭きをすると、こんな状態でも鉄板は輝きを取り戻した。
ありがとう鉄板。
翌日、朝7時半。
鉄板が撤去された。
10年間を感じさせないほどきれいに磨かれ、嫁いでゆく花嫁のように朝の陽に輝いていた。
2つに分けられ、台車に載せられて運ばれてゆく120キロの鉄板。
長い間ありがとう。
さらば、鉄板 !!!
19:14:42 |
mogmas |
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November 22, 2007
本年最後の営業です。
頭が禿げるほど毎晩悩んで、腹を括った。
妥協するぐらいならやめたほうがいい。
見切り発車を誰かのせいにして、無難なところへ落ち着くのは潔悪い。
良かれと思う気持ちを信じることで、前へ進む。
本日、今年最後の営業です。
10年続けたことの一区切り。
お好み焼と明石焼の生地、生ビールはまっさら口開け、それが10年の最後としての心意気。
思い残すことは、ない。
ハズだった・・・。
いろいろ片付けていたら、出てくること、出てくること、ディスプレー用にシコシコ作ったジオラマが。
まだ、ド老眼になる前の、作品の数々。
春夏秋冬のモグランポの四季の一コマを形にした粘土細工。
奥行10センチという制約のあるディスプレーの枠に、常連さんをモチーフにしフィギュアなども作って展示していた。
捨てるには忍びない。
なんとか新しい店でも展示したい。
そのためには手直しをして、色も塗り直して・・・、できるか ?
塗料はもう干涸びて、筆はヘロヘロ、粘土はカチカチだ。
なによりオヤジのド老眼では・・・・。
う〜ん、未練ですか ?
取りあえず、取り散らかした2階のソファーの上に置いてある。
さて、どうするか・・・。
本日ネタがなくなるまで営業します。
02:35:36 |
mogmas |
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November 21, 2007
今年はあと2日
本年のモグランポの営業は、いよいよ今日と明日だけになりました。
水曜日は定休日なんてこの際いっている場合じゃなく、しっかり営業致します。
改装工事の日程を申し上げる前から、毎日多くの方に来ていただき、事情をご説明できてほんとうにありがたかった。
オヤジの頭の中はいまや完全にテンパッていて、スキあらば記憶を無くさせてくれる楽しいお酒に逃げ込みたい誘惑に駆られている。
バタバタしている時には、これまたなぜか同時進行で別のバタバタがおこったりして、それでも解決の糸口はどこかにあるわけで、大きく深呼吸したら腹の虫がグーと鳴いた。
どんなに頭がパニクッていても、規則正しくお腹はへる。
ゆえに、血まみれの口でラーメンをすするのである。
この10年間様々なことがあったけれど、打たれ弱かったかあちゃんがなんとか元気で仕事ができるように鍛えられたのが、まあ、ぐでんぐでんのオヤジが一番助かっていることかもしれない。
常連さんたちにもずいぶんと助けられた。
客を客とも思わないような店主の悪態に、輪をかけた毒舌で応酬してくれるお馴染みの顔ぶれ。
皆さんのおかげで、なんとかここまでやって来れました。
これから年末年始を挟んで1ヶ月半くらいの間、どうぞ他のお店でブイブイいわせてくださいませ。
店もオヤジもさらにパワーアップして必ず戻って参ります。
では、残すところあと2晩。
10:30:16 |
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November 19, 2007
朝から血まみれ
お酒をたくさん飲んだ翌朝、歯医者で大口を開くのはちょっとツライ。
ましてや痛い箇所に麻酔の注射をうたれ、
グギッ、
メリッ、
というホラー的な音とともに歯を引っこ抜かれたら、さすがの蟒蛇オヤジもオエッとなってしまった。
被せてあった歯が取れて、そこが虫歯になったのかと思ったら、その奥の歯の根っ子から菌が神経の方にまで入り込んで痛んでいたらしい。
かなり大きな血まみれの奥歯を見せてもらい、歯科医の話しを神妙に聞いた。
「今後は残った歯をいたわりながやっていきましょう」
オヤジの隣で治療を受けていたおじいちゃんに言ったのとさして違わないセリフを言われて、反省期のオヤジの頭の中に初老の風が吹いてゆく。
鉄っぽいヌタヌタした血をすすぎ、脱脂綿を噛み締めた。
10分ほど綿を噛んでいれば血は止まると言われたので、血痰のようになった綿を吐き捨て、大穴の開いた歯茎を舌でさわると、またヌルヌルと血が出てきた。
だが、あっさり奥歯を抜かれて、さっきまでの痛みはすっかり消えていた。
新しい脱脂綿を口の中に入れて仕込みをしていたが、なかなか血が止まらなかった。
たぶん、いい歳をして血の気が多いのだろう。
今日はお酒を飲むまい。
お掃除ビールだけにしよう。
だが、しかし、今夜も誰かが誘惑に来そうな気がする。
いいや、でも飲むまい。
生まれ変わったら歯医者になってやろう。
スティーブ・マーチンのようなクレイジーな歯科医になってやる。
“say AAAAAAAAAAAAAAAAAA〜〜〜 !! ”
16:23:11 |
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