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大福とナポリタン

　　
こんにちは、潛野夢増です。

毎年この時期になると銀座のチャンスセンターは長蛇の列で、それも験をかついで１番の窓口に並ぶ善男善女か慾深者が後を絶ちません。
皆様、暑いのにご苦労様でございます。

さてワタクシ潛野夢増も、富クジ様におすがりしたい者のひとりで、過去の栄光、夢よもう１度とばかり、所定の場所にいそいそと夢掘りに出かけたのでございます。
ワタクシの夢掘りの穴場は、新橋は烏森口。
過去12年ほど、ここからエントリーさせて頂いておるのでございますが、人生たった一度の運をすでにつかいはたしてしまったのでありましょうか、最近は泣かず飛ばすの落ち目の三度笠。
それでもエントリーしないことには話にならず、本日も「ピンクの売場」で大枚を叩いて富クジを購入したのでありました。

実は密かに今年は“いける”と予感しておりますのは、積年の悪行が祟って医者通いをしているものの、摂生に節制を重ねて体調は改善されつつあり、この暑い最中冷たい泡も控えているなんて、この30年なかったことなので、これは天の神様に願いが届いてもよさそうだと思っているからでございます。

ふと見ると不信心者のかあちゃんは、ワタクシが口を酸っぱくして言っているにもかかわらず、月並みなチャンスセンターに並んでいるではありませぬか。
しかも1番窓口がすいているのに、わざわざ見当違いの列のしんがりについて・・・。
かあちゃんは、ワタクシが過去に引当てた栄光にすがる、天草の兄貴たちの大量買いの代理人としてここに来ているのに、しばらく前から勝手に夢掘りの場をチャンスセンターに鞍替えしているのでありました。

ちょっとした辞書ほどの厚みにもなった富クジをバッグにしまいこむかあちゃんに、不実をなじると、へろっとした調子で真相を白状したのでありました。

「だって、ここで3万円以上買うと、大福がもらえるんだもん」

大福 ???
な〜んじゃ、そりゃ ?
チャンスセンターじゃそんなサービスをやって、慾深なおばさんを吊っていたのか !
たかが冷凍の大福の2、3個でたぶらかされおって・・・。

仕方なく，ニュー新橋ビルの1階にあるチャンスセンター支店 ? まで付合って、大福の受け渡し現場を確認したのはいうまでもありませぬ。
だが、そのおかげでグッときちゃうお店を発見致しました。

「むさしや」創業明治拾八年 !!

見かけはどこの駅のそばにもあるようなスタンド飯屋のようでありますが、ここのおすすめは昔懐かしのナポリタンー650円也。

どうですかこのボリューム。
具はピーマン，ベーコン，玉ねぎのみの潔い正当派。
なぜかワカメの味噌汁がついてくるが、イタリア人にはわかるまいて。

富クジを買いにきて、大福をもらうたびにこの「むさしや」さんが気になっていたというかあちゃん。
おばさんの特権、遠慮なく入ればいいのに、今まで入りそびれていた申します。
摂生の成果あって、温泉後に1.5キロ増えた体重はあっけなく落ち，ただ今62.8キロで体年齢44才に若返ったワタクシですから、ここぞとばかり喜んでお供したのであります。

長い暖簾をかき分けてハイスツールに腰掛けたとき、初心者と常連さんとではすぐに見分けがついてしまうのでご注意。
白く長いニューハーフのカツラのような暖簾なので、初心者は肩にまだ暖簾がかかったままで席につき，中途半端なオカマのような間抜けさを晒してしまいますが、常連さんはきれいに暖簾を背に垂らし、自分の居場所を確保するのです。

さて、かあちゃんは理屈抜きにナポリタンをオーダー。
ワタクシは様々なメニューから、「ソース焼そば」500円か、「酢辛丼」または「酢辛タンメン」がそそったのですが、この店では最高級のお値段の「オム焼そば」700円に決定しました。
いずれもキャッシュ・オン・デリバリーの正しい決済方法。

ウムを云わさぬこのボリューム。

このオムの中にはソースで味付けして細かくされたソバと、ご飯が仲良くおさまっているのであります。
これはもう「そばめし」の変型ではありませんか。
う〜ん、勉強になりますです。
イタリア人や、小川軒を有り難がって並んでいる向きには、理解できないでありましょうが、このボリュームでこの価格はさすがにお父さんたちの聖地・新橋ならではのグルメであります。

このようなすばらしいお店を、なぜお勤め人時代に発見できなかったのでありましょうか。
今さらながら悔やまれます。
今度からは、富クジ帰りにはぜひ「むさしや」さんのナポリタンと心しておきましょう。
そして富クジが当たったあかつきには、必ず「むさしや」さんの全メニューを制覇しようと思います。

みなさまお試しあれ。