October 10, 2005

30年前の招き猫

場所や情報を教えたからといって、始めての人は必ず躊躇してしまう店もある。
できればそっとしておいてほしい、というのが本音。
オヤジにとっての最後の砦は、そんな店なのだ。
店には店の暗黙のルールや、約束事というものが存在する。
ミーハー的に(絶対あり得ないだろうが)カウンターに止まっていい店ではない。

今夜は最後の砦で締めたい気分だった。
ガツ刺しが最高。
ニンニクのタレで、今夜は誰も近寄れないのだ。
目の前には年季の入った招き猫が。
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この場所で40年、先代が引退してから30年の長きに渡り、煙と油にさらされて、鎮座ましましている。

無数の酔っぱらいを見つめ、その瞳は、生半可な泣き言なんて意にも介さないのだ。

この間なくなっちゃった例の焼酎も、ちゃんと補充してくれているありがたい状況に、オヤジは安らぐのであった。

21:36:00 | mogmas | | TrackBacks

お好み映画No.16 「お父さんのバックドロップ」

中島らもさんに追悼。

遅ればせながら、らもさんもちょこっと出演している「お父さんのバックドロツプ」を見た。

短編のお話を膨らまして1本の映画にするというのは、簡単なようでそうでない。
大抵どうでもいいようなエピソードがついて、緩慢な話になってしまいがちだ。
そんな意味で言うと、この映画の神木くんと南果歩さんの起用はいい感じなのだ。

東京育ちのおぼっちゃん風の神木隆之介くんと、わけありの焼肉店店主の南果歩さんの存在感で、宇梶くんのレスラーらしくない演技も、まあ許せるのだ。

で、なんでこの映画が「お好み映画」かといえば、売れないプロレスラーのお父さんと、チャンバラトリオの南方英二扮するおじいちゃんと、神木くんの3人が、ちゃぶ台に乗せたホットプレートで「お好み焼き」を焼きながら食事をするシーンがある。

一雄(神木くん)、ふてくされたように薄っぺらなお好み焼きを、手前ではなくて向こう側に引っくり返し、ホットプレートからはみ出してしまい・・・
南方「へたやなぁ」
と言われ、俯いてごはんを食べない。
宇梶「食わんのか?}
神木「ごはんとお好み焼きじゃ、食べれない・・・」
南方「そんなことじゃ、りっぱな大阪人になれんぞ」
と言われてしまう。

でもね、私が思うに、あの映画のお好み焼きはいかにも不味そうで、ご飯のおかずにはならんと思うのですよ。
よけいな炭水化物はどけて、ソースご飯でもいいかもね。

と、このようにたった1カットでも「お好み焼」あるいはそれを連想させるようなものが出てくる映画を、お好み映画と認定し、ここで紹介していくことにしました。

さて、この映画のオヤジ的見所はといいいますと、もう1つ。
神木くんが大事にしていた亡き「お母さん」のビデオを、あっささりと消されてしまい、何とかならないかと、「鶴瓶」演じる町の電気屋さんに相談するシーンで、その背後の電柱に貼られているチラシに注目。
「丹下拳闘倶楽部」の練習生募集のチラシなのです。
泪橋下の丹下段平会長直筆のような筆書きで、ジョーと共に燃えつきそこなった、“悪魔のあっくん”必見のお遊びがちりばめられているのです。

らもさんの原作を読んだ人も、そういった映像のお遊びを見るのも一興かと存じます。

さらにオヤジ的所見。
神木くんは将来末恐ろしい美少年になると思いますが、かつて我がモグランポでアルバイトをしてくれた「エリカ」ちゃんとよく似ているのです。
してみると、美少年と美少女は紙一重ということでありますな。
うーん、戦国武将のお小姓好きがちょっと解りかけた夜なのであります。





13:49:00 | mogmas | | TrackBacks