November 27, 2005

タッチダウン!「はやぶさ」


「ゴルゴ13」が新宿の高層ビルの屋上から、超高性能のライフル銃を構え、2万キロメートル離れたサンパウロ上空を飛ぶ全長5ミリの暗殺メカを撃ち落とすことが可能か・・・。
そんなあり得ないようなことを成し遂げたのが、日本の科学技術の結晶である惑星探査機「はやぶさ」だ。
小惑星「イトカワ」が太陽の周りを回る公転速度は秒速30キロメートル ! それと同じ速度でぴったりマークしてランデブー飛行する「はやぶさ」を、例えるとそんな感じになるのだろう。

近距離から写真を撮るだけでも快挙なのに、地球から3億キロメートル離れた小惑星「イトカワ」へ、再度着陸に成功した。
しかも「サンプラーホーン」から秒速300メートルで金属球を打ち出し、舞い上がった砂などを採取することにも成功した。
地球からの指令電波は片道約17分かかるそうだが、おんぼろ施設の内之浦宇宙空間観測所の関係者は、ハラハラドキドキの時を何度も繰り返したのだろう。
成功の瞬間の喜びは如何ばかりか。

故糸川英夫博士にちなんで名付けられた小惑星「イトカワ」(1998SF36)は、1度溶けて丸くなった巨大な惑星と違い、オヤジの好きな芋焼酎の芋のような格好をしている。
なぜそんなヘンな形のちっぽけな(長さ540メートル×270メートル×210メートル)惑星に行ったのかというと、溶けずに丸くない天体は、太陽系の創世や地球の起源を知る上で、非常に有効な「材料」を秘めている可能性が高いのだそうだ。
その土や岩石を調べれば、ひょっとすると地球や太陽系の秘密がわかるかもしれないという。
地球の「核」まで届く穴を掘って調べることが技術的にまだ出来ないので、宇宙から逆に発想するということだ。

「はやぶさ」が地球に帰還するのは2007年の6月。
高効率の「イオンエンジン」で順調に飛行を続けても、1年半先だ。
無事に帰ってほしい、と「アルマゲドン」のリブ・タイラーのような心境であります。

人類がこれまで持ち帰った地球外の天体の一部は「月の石」のみで、NASAと比べると遥かに小粒だが、科学的成果のはかり知れないこのミッションにかかった費用は、たったの約127億円だ。
「ホリエモン」や「村上ファンド」が操る金よりもずっと経済的。
「ヒルズ族」のみなさんよ。自分らの懐を膨らますことばかり考えないで、こういった事業にもポンと金を出しなさいよってんだ。
吉本興行の宇宙船が飛び回るのもなんだかなと思うが、なるほど世の中は適材適所にお金が運用されていないもんだと、つくづく考えさせられる。

がんばれ「はやぶさ」!!


15:48:08 | mogmas | | TrackBacks

映画禁止令


  カウンターに若いカップルが座り、昼間見た映画の話なんぞをしている。
楽しそうだ。
向かいでせっせとお好み焼きを焼くオヤジは、興味のある会話だけはなぜか耳に入る。
カップルはホラー映画の話で盛り上がっている。
“王様の耳はロバの耳”・・・。

男性「『リング』こわかったよねぇ」
女性「貞子が出て来るところが超怖い」
オヤジ?貞子が出てきたら思わず笑っちゃいました」?

男性「『呪怨』も超怖いよねえ」
女性「アメリカ版も超怖かったァ」
オヤジ?白塗りの少年が出てきたとき、思わずビールを噴いちゃいました?

その後もカップルは“超、超”を連発して、怖い映画の話でキャッ、キャッと盛り上がっておりました。

こういうたわいもない話には、口を挟んだりしません。
でも、チラッとかあちゃんの様子を伺うと、“ダメ、ダメ”というように首を横に振っています。
オヤジがちょっとでも茶々を入れようものなら、たちまちイエローカードが出されてしまうでしょう。
いいなぁ、若い人って、ああいうので怖がれるんだから。
アメリカ人のレベルって低いよなァ。
「サム・ライミ」も焼きが回っちゃったのかねぇ。
と、心の中で考えながら、手は忙しくコテを操るのであります。

過去に、お客様の映画の話に割り込んで、彼氏をケチョンケチョンに打ちのめしてしまったことがあって、かあちゃんにこっぴどく怒られたのであります。
それ以来、気心の知れない人の映画の話に乱入するのは当店では御法度なのです。
もちろん、聞かれれば答えますが、けっして突っ込んでヒートアップしてはいけないのです。
うっかり話のツボにハマったら、朝まででも弁舌を振るってしまうので、危険なことこの上ないのです。
そういうどうでもいい話に付き合えるのは、やはり“悪魔のあっくん”ぐらいしかいないのです。

でも以前明け方までやっている飲み屋で、“悪魔のあっくん”と映画談義をしていたら、隣りの席のお客さんが割って入ってきたことがありました。
彼は、映画の公開年から、役者の詳細な履歴まで正確に把握していて、見過ごしてしまうような細かなことまで記憶しており、さすがの“蟒蛇コンビ”も脱帽してしまいました。
世の中、上には上があるものです。
飲み屋からの帰り道、シュンとへこたれたオヤジ2人は、ねぐらまでトボトボと歩いたのでした。
あとで飲み屋のママさんに聞いたら、彼はある焼き鳥屋の厨房に入っている人だとか。
あの豊富な映画の知識では、きっと営業中に聞くお客様の話に舌打ちの連続だろうと思います。
そんな辛い毎日に、生半可な映画通の私たちと遭遇したため、格好の餌食と襲いかかったのかもしれません。
気持ちがわかるだけに、なんともはぁ、師匠と呼ばせてもらいたいですな。

カウンターのカップルは、まだ盛り上がっています。
男性「トム・クルーズの吸血鬼の映画、何だっけ、ヴァン・ヘルシ・・・、えーと」
女性「・・・?」
オヤジ?ああ、じれったい。「インタビュー・ウイズ・ヴァンパイア?
かあちゃんがこっちを見て首を振ります。





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