June 28, 2006

プレデターX

たいへんな駄作にまた巡り会ってしまった。
「尻怪獣アスラ」以来の産業廃棄物だ。
「尻怪獣アスラ」はまだオバカを前提に低予算のお遊びとして成立するが、このしょーもないDVD作品「プレデターX」は、一応まじめに作っているふりをしているところが許せない。
あまりのダメダメさ加減に、腹の立つのも忘れて最後まで見てしまう。

新作で出ていたときからそのタイトルは知ってはいたが、今回魔が差したのは、よくよく手に取ってパッケージを見たら、「あのプレデターのVFXスタッフが結集・・・」「コッポラファミリーの新たなる才能・・・」云々と、よくまあ、臆面も無く見え透いたことを書き並べたもんだと、あきれついでに借りてみることにしたのだ。
だいたい本家「プレデター」にしたって、「エイリアンVSプレデター」に至る長い道のりにも様々な紆余曲折があり、一筋縄ではいかなかったのだから、コッポラ・ブランドをかさにきたって、そうそう「プレデター」を名乗れるもんじゃないだろう。
案の定原題は「ザ・クリーチャー」だ。

クリストファー・コッポラという監督が、ファミリーの中のどういう位置づけなのかは知らないが、ワイン工場での辛い労働の日々に耐えられなくなって、「ねぇ、おじさん、僕にも映画を撮らせておくれよぉ」とおねだりするような甘ったれた若造に違いない。
制作者サイドも、ソフィア・コッポラの成功があったので、コッポラ・ブランドでいくらかは稼げると思ったのだろう。
しかし、やらせてみたらとんでもない、運動会のお父さん並の技術とセンスしか持ち合わせていないのがさらけ出され、もう後戻りできないから、アメリカじゃあ、本編に出てくるような田舎のドライブインシアターでお茶を濁し、あとは何にも事情をしらないジャップに、コッポラの「プレデター」ものでござい、と売り込んだ、ということですかい?
買い付けてきたヤツもしたたかで、パッケージは「東スポ」ノリで煽りまくり、レンタルならではのパクリ商品の出来上がりだ。

まあ、こんなことをいっていますがね、B級、C級好きは見てくださいな。
まちがいなくこれはD級のトップですよ。
よくまあ企画、シナリオの段階で「やめようよ」とならなかったかと、アメリカ映画産業の奥の深さを考えさせられます。
この映画に関して、ネタバレなどということはまったく気にしなくてもいいでしょう。

「プレデター」とは似ても似つかぬ弱っち〜ぃ化け物は、人の頭を丸かじりするほど獰猛で、空も飛べる能力を持ちながら、ほとんどプー太郎同然のスキンへッドの白と黒の中途半端にガタイのデカイお兄さん二人に、こともあろうに素手で葬られてしまいます。
砂漠の田舎町にある謎らしきものは、ついにわからずじまいのハッピーエンドであります。
このクソ映画が数年して「カルト」などと言われていたら、もはや人類は文化や芸術というものを完全に喪失したといっていいかもしれません。
そんな意味では記念碑的な作品だったりして。

・・・わたしの貴重な時間を、かえせーっ!!

18:26:00 | mogmas | | TrackBacks

小僧の石


夕方、いつものように、働いている福祉作業所から小僧がニコニコしながら帰ってきた。
店に入って来るなり「でた!でました!」と大声をあげ、満面の笑みでバッグをまさぐり、小さなビニール袋を取り出した。
「何がでたの?」と訊ねると、「石がでました。本日11時45分にでました」という。
「トイレででたの?」と聞くと、「そうです。作業所のトイレで11時45分にでました」と答えた。
うーん、正確に時間まで記憶しているとは、よほどうれしかったのだろう。

ビニール袋に入っている鼻クソほどの大きさの物体は、軽石のような質感で、しかしこれが体内で成長し、尿道を通って排出されるまでには、どれほどの時間を要したのだろうかと思う。
痛み止めと、石を溶かすクスリを飲んでいたことと、若さのために、苦痛を訴えてからさほど時間がかからず異物はでてきたが、入院も手術もすることなくて本当によかった。

若いから放尿にも勢いがあるのだろうが、よくまあ痛みも無く飛び出たものだ。
それをキンカクシに手を突っ込んでつまみ上げた小僧も冷静だったが、袋に入れてくれて持たせてくれた作業所の職員の方にも頭が下がる。
オヤジを筆頭にかあちゃん、ばあさんと続く石の犠牲者は、しかし誰もまだ現物の石を見たことはなかったのだ。
「でたぁ、ついにでたぁ」と凱歌をあげて、石の苦しみから解放された小僧は帰って行った。

その夜、あらためて石の鑑賞会がおこなわれた。
画像の表示爪楊枝と比べてもこの大きさ。
こんなもの一つで、大の男が脂汗を流し、七転八倒の苦痛を味わうのだから、巨大な胆石を抱えた人はそれこそ地獄だろう。
人間は残念ながら、ニワトリとか恐竜のように、石を利用できないのだ。
今後も「砂肝」を食べるのは要注意だな・・・。

眠る前の一時、オヤジの頭の中では「吉田拓郎」の「ローリング30」の一節、「ローリング30 動けない石になるな ローリング30 転がる石であれ」が流れていた。


10:50:00 | mogmas | | TrackBacks