May 23, 2008

めんくい小僧の感想

  
小僧は好き嫌いなく何でも食べる。
小さい頃は食が細く、その場の雰囲気や、他人の作ったものはまったく受け入れられなくて、ガリガリに痩せてしまったこともあるが、いつの頃からか食欲大魔王が目覚め、それこそ獣のように何でも喰う。

「どう ? 」
と問われれば、
「オッケーです。ウマいですねぇ」
と、まず間違いなく答え、完食する。

そうなってから、小僧が心ならずも残した食べ物は、とにかく間違いなく不味い。
記憶しているだけで三度、どこかのとんでもないラーメン、いずれかの驚愕の親子丼、記憶から消し去りたい定食。
箸を止めてしまった小僧の前に、当然一緒にいるオヤジたちも喉を通らずにため息をついている。
どうしてこんなにおそろしい味のものを、半ば腐っているようなものを出すことができるんだろうと、親子そろって悲しい気持ちで店を出たのだった。

「これはダメですねぇ。イマイチですねぇ」

めずらしく小僧が言った。

なんでも行列のできるラーメン屋さんなんだそうだ。
ラーメンは大好きだが、ラーメン通ではないからその店の名を聞いたこともなかった。
ましてつけ麺は積極的には食べない。
大勝軒やその流れのラーメンを食べたことはあるが、開けっぴろげでおいしいと思ったことはない。
十人十色だから、無理矢理好きになる必要もないし、だいたいつけ麺というものは中途半端だからイヤなのだ。
汁の中に麺が入っているもの、食べながら熱くて汗をかけるものこそラーメンと信じている、汁好きの麺食いオヤジなのだ。

だから、いらないと言ったのに、ラーメン好きの「ヒトリモン」先生がそのつけ麺を持ってきてくれたのだ。
肉を食わないアーユルベータ男なのに、どうしてあんなに肉のエキスが溶け込んだラーメンが好きなのだろう。
“業”ですな。

で、もう食べたか ?  どうだったか ? と聞かれるので、せっかくだから作ってみた。
冷凍の麺と具材の入ったスープを寸胴で茹で、解凍し、小僧がキッチンタイマーとにらめっこして、うれしそうにカウントダウンするなか、説明書に書かれた通りに作った。
しかし麺を水でしめて冷たくしてしまうのはイヤだったので、さらに熱い湯を通して所謂「あつもり」にしてみた。

店のカウンターに、「へい、おまち ! 」などとラーメン屋さんごっこをして、熱々のつけ麺を置いた。
若干の期待とともに、ひとくちすすった ? 感想は「なんじゃい、こりゃ」だ。
のどごしと歯切れの悪いうどんみたいな極太麺、みょうに甘ったるく感じるスープ、思わず小僧と顔を見合わせてしまった。
もともと太い麺は好きだが、これはいただけない。
これを個性というのなら、どうぞご勝手に、だ。
熱々にしたつもりが、二口三口でもうスープがヌルくなる。
麺の量は、まあこういう感じだから多めだが、それが仇になって最後はすっかりスープが冷めてしまった。
残ったスープにご飯を入れて食べてもおいしい、と書かれてあったので、炊きたてのご飯をぶち込んでかっ込んだ。
こっちの方がむしろ旨い。

最後まで熱々を保って、汗をかかせてくれて旨いと感じた数少ない店は、「Cちゃん」の「スチャラカ旦那」が連れて行ってくれた柏の「大勝」だけだ。
そこもテイクアウトがあって、それもいただいて作ってみたけれど、店で食べたのと同じ状況で満足がいった。
申しわけないが、「ヒトリモン」先生と三度ほどおすすめのラーメン屋さんに行ったと思うが、ただの一度も満足できていない。
今回も残念だ。

その店の意図がどこにあるのか知らないが、まあインパクトは少なくともあるのかもしれない。
しかし麺食い小僧様も納得いかないようなものに、なぜに皆の衆が群がるのか正直首を傾げざるを得ない。
並びたい人はどうぞ、というしかない。
好みは人それぞれだから、本人がよければいいさ。
その店の名は「六厘舎」というのだそうだ。
たぶんもうすすめられても食べないだろう。



Posted by mogmas at 15:02:00 | from category: 前頭葉発熱親父 | TrackBacks
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