February 13, 2007

こだわらない !!

  
松尾貴史が新聞のコラムで、オヤジも最近常々思っていたことを的確に書いてくれた。
「こだわり」というテーマで、彼は『「こだわり」にこだわる理由』と題して、いきなり『私は、「こだわり」と言う言葉が嫌いだ。』とはじめる。
「こだわりの料理店」「職人のこだわり」「こだわりの逸品」という使われ方が「みっともない」と断じる。
広辞苑を調べてみて、1991年版ではおよそいい意味の言葉ではない解説が、1998年版になると、「時流に媚びた表現が加わっている」ことを発見する。
そして「この言葉が褒め言葉として跋扈している風潮が、どうにも不快なのだ」と、さらに断じる。
「言葉は生き物だから、変化も洗練もする」と理解していても、それがテレビというメディアで「何千万人もの視聴者に瞬時に広まる」ことは、「生身の人間のコミュニケーションの過程で自然と進化していく」のとは違い、「退化」だと憂う。
だから彼は「こだわり」という単語を、「決していい意味のときに使わないようにしている」という「こだわり」で締めくくる。
テレビやマスコミというメディアで活躍している彼にしても、グルメリポーターやお笑いタレント、CMなどでも、やたらと「こだわり」が連発されることに我慢がならなかったのだろう。

まさに、オヤジの気持ちを代弁してくれた。
が、かつて安易な気持ちで「こだわり」という言葉を、便利に使ってしまったことがあるので、今、とても深く反省をしている。

あらためて電子辞書で「こだわる」を調べてみると、
1. さしさわる。さまたげとなる。
2. 些細なことにとらわれる。拘泥する。
3. 些細な点にまで気を配る。思い入れする。
4. 故障を言い立てる。なんくせをつける。
確かにいい意味と悪い意味が併記してあった。
しかし、松尾貴史が言うように、3.のようないい意味は「時流に媚びて」あとで付け加えられたのだと思わざるを得ない。

それにしても便利な言葉だ。

「当店は厳選された材料を使い、ひと手間かけた“こだわりの”料理をお出ししています」

よくテレビなどで、お高い飲食店の料理人やオーナーが胸をはってこんなセリフを吐く。
このセリフに違和感を感じない人は、たぶん「あるある〜」なんかにも踊らされてしまうんじゃないだろうか。
ヘンですよ、この使い方は。
なぜなら、人様の口に入るものをそれなりのお金を取って提供しているのだから、当然材料は厳選するだろうし、ひと手間もふた手間もかけるのは料理人としてあたり前のことでしょう。
そういうのを「こだわり」と言ってほしくない。

以前雑誌の取材を受けたとき、「お店のこだわりはなんですか ? 」と聞かれて、言葉に窮した。
浮ついた「こだわり」を使いたくなくて、「あたり前のことを、あたり前にやっているだけです」といったら、怪訝な顔をされた。
当然雑誌にはそんな言葉は載らず、ライターがうまい具合に書いていた。
作り手も受け手も、みんな「こだわり」を求めている。
だから、へそ曲がりなオヤジは「こだわらない」ことに決めた。
店の中から「いい意味の、こだわり」の言葉を消そう。
「こだわりの云々・・・」などと宣伝しているようなモノは買わないようにしよう。
「こだわりの云々・・・」とうたっている店には入らないようにしよう。
「こだわりの云々・・・」などをありがたがる人は信用しないようにしよう。

そうして、どんどん「頑固オヤジ」になっていくのかもしれない・・・。

Posted by mogmas at 14:11:54 | from category: 前頭葉発熱親父 | TrackBacks
Comments

ジョーンズ:

ふふふつ モグ親父・・・本当だな!!!
ビールの銘柄にも「こだわらない」???
当然、何処のメーカーも原料は厳選するだろうし、
ひと手間もふた手間もかけているのだから。
よしこれからはア○ヒ、モ○ツでGO!!!
(February 13, 2007 16:02:22)

mogmas:

やはり宇宙人には、ポリシーとデリカシーがないらしい。
「ケン・ワタナベ」似の「京都の老舗の和菓子屋の若旦那」は、頑固一徹で、頑で、融通が利かず、白のものを黒と言う、一途で純情で、肝のすわった、昭和の酔っぱらいである。
アサヒの牙城、長野県でも鷹揚とション○ンビールを飲み、駅でようやく生ビールにありつけば、サント○ーだとしても、テーブルを引っくり返すようなこともなく、きちんと飲干す紳士なのだ。
そんなことを「こだわる」なんざ、小せぃ、ちいせぃ、ぞい !
(February 13, 2007 23:24:11)
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