January 27, 2006

落陽オヤジ

約2年ぶりぐらいにやって来た男がいた。
我がモグランポの設計デザインをした「ジップス」のI氏だ。
彼とはお勤め人時代からの知り合いで、会社の看板を背負っていた頃からこちらが発注者だ。
あんまり儲からなかったかもしれないが、取りあえずいくつか仕事をした仲だ。
そんな訳で、モグランポの仕事は格安の無理難題でやってもらった。
もう9年も前のことになる。

髪の毛はすっかり白髪が目立ち歳をとったが、怪しい髭面と黒づくめのファッションは変わらない。
初対面の人は妙に説得力のある内容と熱弁にころっと騙されてしまうが、もはやオヤジは酔っぱらい暴きに長けているので、しゃべりの裏側のダメダメオヤジぶりを見通してしまう。
彼の事務所は昔から若い女性スタッフばかりで、だから現場へ来ると職人たちが喜ぶ。
それも作戦かと思うが、何かトラブルが発生したときは髭面オヤジの出動だ。
硬軟使い分けて現場を丸く納めてゆく。

会社はますます順調らしいが、娘と息子の学費に金がかかるので頭が痛いとこぼす。
芸術家肌の奥さんとインドへ新婚旅行に出かけ、砂漠でテントを張り、満点の星空を見上げて将来の子供の名前を考えたという。
お姉ちゃんがルナちゃん、弟くんが潤う星と書いてジュノウくんだ。
めちゃくちゃ個性的。

最近酒が弱くなって、と言いながら、泡盛の瓶に手を伸ばす。
欲しかったローランドのキーボードを予約注文し、70年代へタイムスリップしてやると宣う。
ならば、今年の9月23日に開催されそうな「吉田拓郎&かぐや姫 つま恋2006」へ行くかい?と誘うと、2つ返事で行く行くと乗り気。
チケットを2枚予約してくれというので、誰と行くのだと問うと、その時に愛人がいるかもしれないからと調子に乗る。
オープニングで拓郎が歌う曲はなんだという話になり、ヒゲオヤジは「落陽」で、オヤジは「ああ、青春」か「今日までそして明日から」と主張。
歌詞を見ないで歌えるか?と問えば、“あったりめぇよ”とリズムを取る。
だか、その先が続かない。

♪しぼったばかりで・・・陽が沈んでゆく・・・さいころじいさん・・・♪

もうメチャメチャのダメダメだ。
次回からあんたのことは「落陽オヤジ」と呼びませう。
“奥さんに怒られるっ”と重い腰を上げて、自由が丘までの長旅に帰ってゆく「落陽オヤジ」は、千鳥足選手権にエントリー出来るほど見事なジグザグ歩行で駅を目指すのであった。
覚えていたら、また2年後に来るがよい。

Posted by mogmas at 14:58:54 | from category: 前頭葉発熱親父 | TrackBacks
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