July 30, 2008

親不知のリサイクル

人の体には無駄がない。

糞尿だって肥料になるし、爪の垢だって煎じて飲めば、馬鹿野郎には効くかもしれない。

何の取り柄もなさそうな親不知も、リサイクルすればまだまだ役に立つのだということを先日行きつけの歯医者さんで知らされた。

今年の始めに抜いた右下の奥歯のあとは、長らく穴ぼこが空いたままになっていて、まともに噛むことができず、早いとこなんか入れてほしかったが、銀歯や金歯はイヤだったし、隣の歯にブリッジをかますのも年寄り臭くってスッキリしないから、いっそインプラントにしてほしいとお願いしていた。
顎の骨がそれに適応しているか、レントゲンを撮って確認してもらったところ、なんと、親不知がちょうどいい感じで収まりそうだとわかり、急遽親不知の移植手術が決まった。

どうせいずれは抜くことに決まっていた親不知だ、日陰の身が一歩前へ出て役立つというのなら、願ったりかなったリじゃぁないか。
まさに、捨てる神ありゃ拾う神ありとはこのことですな。
高額のインプラントと比べると、約1/30の金額で自前の歯が利用できるなら、それにこしたことはない。
そんなことが可能なんて、まさか思いもしなかった。
どうですかと院長先生から問われて、「ああもうぜひ。とっとと抜いちゃってください」と二つ返事。

子供の頃は歯医者さんが恐くて仕方がなかったけれど、最近じゃぁすっかりリラックスして、歯を削られる音が子守唄のようで、ついウトウトして起こされるほど恐いもの知らずになっていたから、親不知の抜歯といっても別段びびることもなく、インプラント代が浮いたことの喜びの方が勝っていた。

当日。
一応手術ということで、先生以下若いお姉さんの助手が2人ついて、まずは麻酔の注射をバシバシ打たれ、恐くはないが気持ちの悪い、ペンチでグキグキ抜く音が聞こえるかと思いきやさにあらず、拍子抜けするほどあっけなく、何の取り柄もなく歯の奥に収まっていた親不知は抜き取られた。

抜歯された親不知は生理食塩水に浸され、根っこが乾かないように処置され、続いて、メスで歯ぐきを切って回りの掃除をし、さらに歯を埋め込む穴を空ける。
麻酔で痛みは感じないが、いやぁな感じはする。
口の中にネバネバした血が湧くので、バキュームされ、時おり舌までズキュッと吸われて“あへっ”となる。

一通り下地が整うと、スーパーボンドだかウルトラボンドとかいう接着剤を塗られて、整理食塩水で気持ちよくなっていた親不知が穴の中に埋め込まれた。
噛み合わせを確かめ、隣の歯を削り、穴をさらに掘り、ようやく親不知はレギャラーの歯列に収まったのである。

最後の仕上はメスで切り開いた歯ぐきを縫合するのだが、口の端と歯ぐきを糸がスルスル這って縫い合わされる感触は、これまた痛くはないがいい気持ちはしない。
なんだか、釣り上げられた魚になったような気分だ。
口の中を血だらけにして約1時半、親不知のリサイクル手術は終わった。
これでしめて7千円とちょっと、リーズナブルだ。

止血の綿を噛み、右半分だけの中途半端な昔の「宍戸錠」みたいになって、今後の説明を聞いた。
一週間硬いものは食べてはならず、手術箇所は歯磨き禁止、食後3回化膿止めと痛い場合は痛み止めを飲むこと。
一週間経過後に抜糸、移植箇所の調整が行われる。
ではお大事に、てなもんだった。

もっと大げさなことになるのかと思ったら、以外と呆気なかった。
この先生、けっこう腕がいいのかもしれない。
少なくとも手際はいいし、冷静だと感じた。
それに、歯科助手の女の子たちもべっぴんさん揃いだし・・・。

かくて、摂生中の超少食オヤジは、さらに固形物の食べられない身となったのである。
どっちにしても、手術後夜9時を過ぎても口の中の血は止まらず、ネバネバと気持ち悪く、うがいをしたら固まったスーパーボンドだかウルトラボンドのかけらが出てきたりして、とても何かを食べる気にはならなかった。
結局その日は、朝ジューサーで作った野菜と果物のミックスジュースのみで、夜の体重は62.1キロに落ちた。
先日小僧の体重を抜き去ったばかりだが、早くもかあちゃんの体重までもロックオンした。

翌朝、案の定体重は61.5キロに降下、もはや目標体重まで3キロ余り。
おそらく、この一週間で目標達成すると思われる。
これは天恵に違いない。
早く人並みになって、酒の海を泳げるようになれ、というバッカスの神の思し召しなのだ。
喜んで !!
まっててね、生ビールちゃん、ウイスキーちゃん、焼酎ちゃん、日本酒ちゃん、いろんなお酒ちゃ〜ん !!!




Posted by mogmas at 21:10:12 | from category: 前頭葉発熱親父 | TrackBacks
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