May 15, 2006

チェーンソーは楽しいよ

「おちょこくん」が「テキサス・チェーンソー」のDVDを貸してくれた。
お疲れの時の一服の清涼剤とばかりに、深夜に酔っぱらって見た。
2枚組ということでちょっとめげてしまい、案の定15分で睡魔が襲って来た。
借りた時にはうかつにも気づかなかったが、名作「悪魔のいけにえ」のリメイクじゃないか。
原題は「Texas Chainsaw Massacre」なのに、邦題に「悪魔のいけにえ」なんて素敵なのをつけてくれたもんだから、30年もたったら原題なんかどうだってよくなってしまったのだ。

オヤジがもっとも愛する映画「明日に向かって撃て!」だって、原題は「BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID」なんておもしろくもなんともないタイトルだ。
当時の配給会社の邦題を考えた人のセンスが素晴らしいじゃないか。
CGなんて言葉も知らなかった時代に、ステディカムを駆使し縦横無尽なスピーディな映像を見せてくれた「赤ちゃん泥棒」の原題は、「RAISING ARIZONA」だ。
これじゃ日本ではヒットしないでしょ。
コーエン兄弟だって、邦題の方がいいっていうかもしれない。

おっと脱線。
「テキサス・チェーンソー」の話ね。
リメイクしなくてもよかったよね。
原作のブランドが今でも根強く残っているから、そこそこ観客をよんだみたいだけど、トビー・フーパーだって13年後にパート2をつくったらコケちゃったんだから、しょせん超えられないし、ジェイソンやら「羊たちの沈黙」などですっかり亜流が出尽くして、今更レザーフェイスっていってもなぁ。

かつてのホラーといえば、ジワジワと忍び寄り、追い込まれ、恐怖が長らく持続するタイプのものが多かったような気がするが、最近のは音楽や効果音でギャッと脅かすタイプのものばかりで、パターン化しているので、観客が先読みできてしまう。
考える間もあたえず、気持ちよく観客を裏切る展開がほしいものだ。
なんだかミュージックビデオを見ているような、そんな演出はどうでしょう?

近頃は戦うヒロインものばかりで、この「テキサス・チェーンソー」もそうなっちゃっているんだよなぁ。
フックに吊るされるのはおびえきって泣き叫ぶ女子じゃなけりゃぁね・・・。
まあでも、この映画でよかったのは、「フルメタルジャケット」の保安官とヒロインのナイスバディーですな。

『悪魔のいけにえ』の映像表現は芸術的にも高く評価されていて、映画表現の分野に新たなる地平を切り開いた作品として、ニューヨーク近代美術館に永久保存されているほどなんだって。
ね、デロデログジャグジャのホラーばかり見ていたって、ヘンな人になるとは限りませんよ。
「狂気を演じられるのは理性だけ」という名言をかつて山城新伍はいいました。
理性の目をもってホラーを見て、正しい大人になりましょう。
えっ、おまえのどこが正しいんだって?
いやいや、もののたとえですがな。
わたしはすでにデロデログジャグジャの悪魔のいけにえですから。
青年よチェーソーを抱け!

Posted by mogmas at 16:05:12 | from category: 映画の引出し | TrackBacks
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