June 27, 2006
ガムとタコ焼の一気食い
雨がシトシトの月曜日、あばら骨がシクシク痛むわたくしは、イトーヨーカドーに行ったのであります。
陽気のせいでお客様は少なく、わたしくしは目当ての「辛み大根」を求め、店内を回遊していたのであります。
わたくしは、以前より「歯竹つよし」になるべく、グリコの「POsCAM」を噛む習慣がありました。
その時も2、3粒口の中に放り込み、クチャクチャしながら物色していたのであります。
探してはみたものの「辛み大根」は発見できず、どうでもいいものをカゴの中に入れ、レジに向かおうとすると、妙齢のユニホームをまとった婦人が、わたくしを呼び止め、「ご試食いかがですか?」とにこやかに微笑み、小さなアルミのトレーにのせた「タコ焼」を差し出したのであります。
わたくしは一瞬戸惑いながらも、反射的にトレーを受けとり、口中のガムを右奥へ押しやり、見つめ続ける婦人の視線を受け止めながら、楊枝に刺さった「タコ焼」を仕方なく口の中へ押し込みました。
クチャクチャと柔らかい生地が口中にあふれ、隅に追いやった筈のガムと融合し一体となり、えも言われぬ食感を持て余し気味に口を動かしているわたしくしは、なおも視線をそらさない婦人の手前、ゴックンと飲み込んだのでありました。
あとに残ったのは、行き場の無いモロッコ産かインド洋のタコのみで、縮こまった足をわたくしの歯に噛みちぎられ、味あうヒマもなく胃の腑へ飲み込まれていきました。
試食の成果を見届ける義務でもあるのか、微笑みながらわたくしの前を動こうとしない婦人は、あろうことか「もう1ついかがですか?」と「タコ焼」のトレーを差し出すのである。
わたくしは妙齢の婦人を失望させるような愚を犯す、野暮な“もののふ”にはなりたくないので、小さく頷きトレーを受けとり、一口に「タコ焼」を平らげたのでありました。
マヨネーズとオカカで彩りされた「タコ焼」は、わざわざ試食しなくても、縁日やイベントでおなじみの「まあ、タコ焼かな・・・」という類いのお味で、とても目の前の婦人を抱きしめて「ブラボー!」と叫ぶほどのものではありませんでした。
婦人もそんなことは先刻承知であるのか、ヒマな時間にノルマの「タコ焼」2個をさばいたことに満足したのか、先ほどとはうって変わったドライな態度で、わたくしの前を去って行ったのであります。
放心したわたくしは、ガムと「タコ焼」の奇妙な後味に戸惑いながらも、レジで会計を済ませ、イトーヨーカドーを後にしたのでありました。
“ウン”がよければ、わたくしの体内でガムと「タコ焼」がコラボレーションを繰り広げた結果が、明日の朝拝めるかもしれません。
好奇心の強い御仁は、ぜひこの違和感の無い組み合わせをお試し頂きたく、イトーヨーカドー千住店へガムを噛んでお出かけになってはいかがでしょうか。
ガムは「お口の恋人」ですが、「タコ焼」との相性はどうでしょう?
百聞は一見にしかず、ご自分の身をもってご体験ください。
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