November 24, 2005

日比谷公園のヘンな人・物

「松本楼」のカレーを手づかみで食べる誘惑に、なんとか耐えた。
サイコロステーキよりも大きい牛肉がゴロッと入っていて、味はマイルドで辛くない。
この辛くないという一点で、オヤジの評価はちょっと落ちる。
だが、レトルトになったカレーは段ボール箱に入れられ、大量に配送のトラックへ積まれ、各地の有名百貨店に運ばれ、紅白粉つけたお姉さんが「いかがですか、どうですか」の売り声とともに多くの人が買っていくのだろう。
インド人もびっくりだ。

さて、結構なごちそうを腹一杯に詰め込んだ我らは、秋の公園を腹ごなしに散歩する。
画像の表示「松本楼」のテラスの脇にそびえ立つ見事なこの銀杏は、「首かけイチョウ」という。
ここの料理のあまりのうまさに感激して、自信を無くして首を吊った料理人がいた、というのではない。
もともと日比谷の交差点にあったものが、道路拡張のため伐採されると聞き、公園の生みの親である博士が、自分の「首をかけても」移植させるといって議会に掛け合ったということからきたのだそうだ。

東京都民でありながら、今まで知らなかった日比谷公園を次々と目にする。

画像の表示この亀の頭状の物は、京橋の欄干だそうな。

画像の表示南太平洋「ヤップ島」の石貨。これで千円くらいの価値だったそうな。

画像の表示なんてことのないこの石は、南極の石。昔「ペギラ」によって運ばれたのかもしれない。

画像の表示謎の石盤発見。これに触れると猿がパンツを穿いて直立歩行するのかもしれない。

引力に逆らって、舟を漕ぐおじさん。画像の表示

画像の表示「心」という字を象って作られた池に泳ぐ、旨そうな鴨たち。

“あんちゃん”みたいなジャンパーにねじり鉢巻のおじさんが、ビル街に向かって何か叫んでいる。画像の表示
「オレの金を返せ!土下座してあやまれ!」とだみ声でがなっている。
咽が嗄れるらしく、時折ベンチに置いた荷物の中から、ペットボトルの“液体”をグビクビやって、ふたたび大演説に向かう。
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“天皇、皇后、小泉のバカ、国民に土下座して謝れ”というような内容のプラカードに混じって、誰かの遺影らしき写真が飾ってある。
いつからこの演説を始めたのか知らないが、俄に皇室人気が高まる中、危険な存在かもしれない。
皇居と桜田門のお膝元で、大胆な行為というほかはない。

「あっ、」と言って小僧が立ち止まる。
苦痛を顔に滲ませ、右手を尻に回す。
「おい、やめろよ、こんなところで・・・」
出物腫れ物所嫌わず。
普段食べ慣れないご馳走を腹いっぱい食べたため、腸がびっくりしたのだろう。まったく貧乏人の子供はこれだからしょうがない・・・。
誰の子だ。
しまった、ワシの子だ。
緊急事態の親子は、公衆トイレを目指して、一目散に走る。
“う〜っ”とうなりながら、手を尻に当て全力疾走する小僧に、ベンチのアベックも不審な視線を送る。
トイレまでおよそ7、800メートル余り、最悪の事態を考えて、木陰の茂みにどこか適当なところはないかと探しながら走るオヤジは、生ビールが腹の中でタップンタップンと音を立て、すでに息が上がっている。
口では「がんばれ、もうちょっと」などといっても、自分が吐きそうになってきた。
走りながら、バッグの中のティッシュをまさぐる。
目指すトイレはあと少し。
もしトイレに先客がいて、個室が塞がっていたら、その時は“ウン”の尽き。
どうだっ!!
ラッキー、人がいない。間一髪セーフ。
扉も閉めずにズボンを下ろす小僧。
壁に手を付き、ハアハア、ゼイゼイのオヤジ。
3、2、1、発射!!!
ああ、臭い仲の親子にならずにすんだ。

一安心して歩き出したが、呼吸が元に戻らない。
ベンチに座り込み、汗をぬぐい、息が落ち着くまで一休み。
ケロッとしている小僧に、
「なんでもっと早く言わないんだよ。もうお前とは遊んでやらない」
「やだ、遊んで」
「遊ばない」
「遊んで」
「遊ばない」
「遊んで・・・」
まるで場末の風俗のお姐さんと客の掛け合いみたいなやり取りに、木々の絵を描いていた老人も不審の目で見てくる。

もはやすっかり生ビールは消し飛んでしまったのだ。
やはり日比谷公園には、辛い思い出だけが残るのである。

15:09:00 | mogmas | | TrackBacks

ウルトラマンエンドレス

「ウルトラマンマックス」が、ますます面白い。
硬軟使い分けたストーリー。
朝7時半の子供番組にしては、演出も凝っているし、今までの路線とはひと味違う。
続々と登場する元祖ウルトラ怪獣も懐かしく、アンドロイド「エリー」のへそ出しタンクトップや若いお姉さんたちのサービスショットには、お父さんも大喜びでしょう。

ついにというか、やっぱり、な感じだが、「モロボシダン」も登場。
考古学者に扮し、老眼鏡をかける仕草が「ウルトラアイ」のジュワッ!なのだ。
最後に「ハヤタ」長官と拳をぶつけあって別れるカットなど、オールドファンへのアピールですな。
しかし、いつかは「ウルトラマン」もM78星雲へ帰らなくてはいけない時がくる。
そしてまた新たな「ウルトラマン」が来るのだろうが、いったい
いつまで続くやら。

「ウルトラマンコスモス」の後に何が来るのかって、甥っ子に聞かれた時、「ウルトラマンチューリップ」か「ウルトラマンスイートピー」とこたえ、冷ややかな目で見られたことがある。
では今度は何かっていえば、「ネクサス」「マックス」ときたので、「エンドレス」ではどうでしょう。
「ウルトラマンエンドレス」、いいんじゃないの。
完璧。

カラータイマーが点滅して、ピンチに落ち入った「エンドレス」は、「バトンタッチ光線」を天空に放つ。
すると時空の彼方からまばゆい光が降り注ぎ、歴代ウルトラマンが状況に応じて出現し、「エンドレス」に替わり敵を撃破する。
あのウルトラマンがもう1度見たい、あの怪獣と戦ってほしい、そんな期待にバッチリ応えてくれる。
けっこう間が持つと思うんだけどなぁ・・・。

それではここで、ウルトラマン初心者のよい子のために、ウルトラなお兄さんがみんなの疑問に答えましょう。
「やあみんな、毎日戦ってるかあ〜い」
「なに、このシト。舞い上がってんじゃないの」
「そこで小理屈こねているよい子は、みっちゃんだね。このお兄さんになんでも質問してごらん」
「じゃあさ、ウルトラマンと怪獣が戦ったとばっちりで壊された建物とかはどうなるのさ」
「うん。いい質問だね。それはね、壊される建物はみんな悪い人の持ち物や危険な建物だったり、よくない物を垂れ流したりしている工場なんだ。“じあげ”で騙したり“たいしんせっけい”を誤摩化したりする悪い大人のことをウルトラマンはちゃんと知っているんだよ。だから壊したっていいんだ」
「ふーん、お目出度いね」
「よい子は疑っちゃいけないよ。さあ、次に質問のあるよい子はいるかな?」
「あのさぁ、自分のピンチを敵に知らせる“カラータイマー”って、どうよ」
「今の小馬鹿にしたような声は、ちえちゃんだね。でもよい子らしい質問だから答えちゃうよ」
「ふん、こたえてみろよっ」
「いいかい。ちえちゃんやみっちゃんのお父さんやお母さんは、お酒を飲み過ぎたりお給料の前の日なんかは、顔が赤くなったり青くなったりするよね?人間は顔色で色々なことがわかるけど、ウルトラマンは表情が変わらないだろ。でもピンチのときに涼しい顔じゃ、ドラマに“きんちょうかん”がなくなってしまうんだ。それに、もうちょっとで終わるよっ、て合図があれば、おしっこだってがまんできるだろ。みんなのためにウルトラマンはあのへんなランプを着けているんだよ」
「けっ、わっかりやすいヤツ」
「そんな態度だと、将来酔っぱらって階段からおっこっちゃうよ。よい子は謙虚じゃなきゃね」
「ねえお兄さん、もういいよ。面倒くさい」
「あれ、しげちゃん。もうおネムかな?あと3時間ぐらいお話したかったんだけどな。残念、じゃあよい子のみんな、いい夢見ろよ。シュワッチ!」
こうしてウルトラなお兄さんは、T28星雲へ帰ってゆきました。
よい子のみんなは、いつまでも好き勝手にくっちゃべっていましたとさ。

我が家のHDレコーダーで毎週録画になっているのは、「ウルトラマン」と「ウルトラマンマックス」だけなのである。


11:15:00 | mogmas | | TrackBacks

ハイカラさんは飲む

“悪魔のあっくん”との「東京蟒蛇倶楽部」横浜編は、彼の仕事の都合で中止になった。
いくら「蟒蛇」でも、仕事を蔑ろにしてまで飲むわけではない。
人生色々あらーね。
飲む機会も、飲み屋さんも、星の数ほどあるってもんよ。またの覚悟を期待しようじゃあーりませんか。

それにしても、朝っぱらから1杯やろうってことではないので、明るいうちはそれなりに用事もあるのだ。
でも、一家揃っての休日なんて久々なわけで、取りあえず銀座まで「三丁目の夕日」を見に行くことに。

なかなか人気だとは聞いていたが、とても甘かった。
有楽町マリオンは長蛇の列。
それもその筈、女性が割引になる水曜日で休日だ。
3時の回も席は保証できないと、メガホンでアナウンスする劇場のお兄さん。

小僧とばあさん連れではもはや無理とあきらめ、天気もいいので日比谷公園でもぶらぶらして、「松本楼」で昼にしようと決めた。
せっかくなので、たびたびお世話になった有楽町のガード下を通って、オヤジたちの憩いの場を案内する。
画像の表示ごらんの通り
画像の表示休日のお昼前は閑散としています。
でもやっている店もあるんだな、これが。
画像の表示残念だが口開けの客にはならない。
昔と比べるとずいぶん変わったが、平日の夜ともなれば相変わらず路上に椅子を出して、焼き鳥つまみに飲みたい人は跡を絶ちません。
だけどあまり安くないんだな。
ま、初心者は「ねのひ」あたりをお勧めしときましょうか。

先日はVIPと野次馬でごったがえした帝国ホテル前を通り、日比谷公園へ。
日比谷公園は、幕末は松平肥後守の屋敷だったと思うが、その後陸軍の練兵場になり、我が国初の洋式公園として誕生したのは100年あまりも前だ。
この公園で、オヤジや“悪魔のあっくん”が苦い思いをしたのはついこの間のこと(といっても、若者にすれば大昔)。歴史がちがいますなぁ。

画像の表示京都の庭園ではありません。
画像の表示紅葉は今が盛り。
噴水は日本で3番目に古いものだそうだ。1、2番がどこだかは忘れてしまった。

画像の表示年寄り連れでなければ絶対に入らなそうなイベント。
画像の表示見事と言う他はない菊です。
画像の表示画像の表示
こんな立派な菊を育てることに情熱を捧げる、たしか「あつもり」というタイトルだったっけか?「緒形拳」主演?の映画があったよなぁ?
「犬神家の一族」の首が飾ってなくてよかった。

で、「松本楼」。画像の表示
画像の表示10円カレーの日でもないのに、結構列が出来ている。

待ってまで食べたいという気持ちは、若干あった。
ここのハイカラカレーを手づかみで喰ったら、という誘惑に勝てるのか・・・。
画像の表示上品なビーフカレー。

倉本聰のドラマ「前略おふくろ様」で、サブちゃんに何が食べたいと聞かれたおふくろ様は、「オニオングラタンスープ」ってもんを1度食べてみたいとせがむ。
べつにばあさんにはせがまれなかったが、自分が食べたかったので頼んだ。
画像の表示絶品です。

小僧は一番ボリュームがある「ランチプレート」、ばあさんは「海老とホタテのドリア」、かあちゃんは「キノコソースのオムレツ」。
お行儀の悪さは今に始まったことではないので、少しずつみんなのをつまんだ。どれも旨かった。
画像の表示「オムレツ」はトロトロ卵で、浅草の「タマゴッチ」との違いは明白な旨さ。

やはり伝統と格式は伊達じゃない。
創業明治36年。日比谷公園と共にオープンし、文人、画家や政治家、中国革命の父「孫文」まで愛用したこの店は、しかし、気楽に入れてそれほど高くない。
銀座界隈のへたな洋食屋へ行くよりは、絶対外れはないと思う。
ビールの銘柄も選べるし、一番搾りの生ビールもあるのがうれしい。
画像の表示色づいた銀杏の木を愛でながら、駆け付け2杯。
アー、幸せ。

だが、この幸せないい気持ちちゃんは、30分後には消し飛ぶのである。

この顛末は次回へ。


03:08:17 | mogmas | | TrackBacks